絵本は子育てにおいて、親子のコミュニケーションを深める非常に重要なツールです。
赤ちゃんは生後3ヶ月くらいから目の焦点が合いはじめ、色の違いを徐々に認識できるようになっていきますが、それだけでなく、赤ちゃんは絵本を通して、読み手であるママやパパの声や笑顔、愛情をしっかり感じ取っています。
コントラストの強い絵柄や心地よい音の響き、くりかえしのリズムなど、赤ちゃん向けの優れた絵本はたくさんありますが、肝心なのは、単に読み聞かせるだけではなく、「親も一緒になって楽しむ」ということではないでしょうか。
そこで今回は、その点を踏まえながら、0歳の赤ちゃんから楽しめる絵本を5冊厳選して紹介します。
お気に入りの絵本ができれば、赤ちゃんとの過ごし方もより豊かなものになるはずです。
ぜひ赤ちゃん向けの絵本選びの参考にしてみてください。
『ぱたぱたえほん (エンブックスの赤ちゃん絵本)』 miyauni(著)
この絵本は「親子でスキンシップしたくなる」をコンセプトに作られた、画期的な絵本です。
この絵本の最大の特徴は、タイトルの通り、絵本をぱたぱた、開いたり閉じたりして楽しむこと。
「読んで聞かせる」だけではなく、「手遊び」が加わっている点がとても魅力的で、この楽しみ方は、製本された実際の本でなければできません。
書籍の電子化が進む中で、これは非常に大きな意味を持つのではないでしょうか。
小鳥や蝶々、ミツバチに始まり、ぞうの耳やイモムシなど、「ぱたぱた」の動きに見合った効果的な生き物の姿が、くっきりとした色彩で見開きいっぱいに描かれています。
それぞれの音にあわせて、本を羽ばたかせるように「ぱたぱた」させましょう。きっと赤ちゃんは、目を輝かせて大喜びするはず……。
赤ちゃんのお気に入りの1冊となったなら、そのうち自分で絵本を「ぱたぱた」させるようになるかもしれません。
そうなれば成長に伴う反応の変化も期待できそうです。
『Sassyのあかちゃんえほん にこにこ』Sassy/DADWAY (監修)、 La ZOO (著・絵)
0歳の赤ちゃんは一般的に、丸い形や「顔」のようなものを好む傾向にありますが、この絵本にはそれがたくさん登場します。
コントラストの強い、目に鮮やかな絵柄。赤ちゃんが喜びそうな音の響き。
そしてさらには、赤ちゃんの大好きな「いないいないばあ」の要素まで入っています!
赤ちゃん好みの可愛いものがぎっしりつまった、なんともお得感たっぷりの絵本です。
いろんな擬音がでてくるので、声のトーンや強弱、スピードに変化をつけるなどして、表情豊かに読んであげましょう。
「色」や「形」にこだわったSassyのあかちゃんえほんは、デザイン性が高く、ビタミンカラーもいっぱい。ママやパパも一緒に元気になれそうな、楽しさとパワーにあふれています。
『リズム (Rainbow books)』 真砂 秀朗 (作・絵)
西アフリカ(セネガル、マリ、ギニア)に暮らす人々の生活の中で伝えられてきた「リズム」を題材にして作られた絵本です。
アフリカらしい原色の色使いと、切り絵風のシンプルなイラスト。そして注目すべきは、なんといってもその独特な音の響きでしょう。
日本の擬音語や擬態語とは全く異なる、聞きなれないカタカナの連なりに、最初はちょっと戸惑うかもしれませんが、照れは禁物!
自分自身が「打楽器」になったつもりで、リズミカルに、踊りだすぐらいの勢いで読んであげるのがコツです。読むというよりも「歌う」と言ったほうがいいかもしれません。
正しく読もうとか、どんなリズムにすればよいのか…などと、頭で難しく考える必要はないのです。大事なのは、音を楽しむこと。
それが読む人それぞれのオリジナルの「リズム」となって、赤ちゃんの耳に、心に、響きます。
ママが読めば、ママの「リズム」。パパが読めば、パパの「リズム」。
おじいちゃんが読めば、もちろん、おじいちゃんの「リズム」になるわけです。
読む人によって、違う「リズム」が生まれ出る。それがこの絵本の面白いところです。
大人にとってわかりやすい、無難な絵本を選びがちですが、こういった一風変わった絵本もぜひ試してみてください。
「リズム」は体の中から湧き出るもの。その楽しさを赤ちゃんと一緒に体感しましょう!
『赤ちゃんのことばあそび 愛蔵版 だっだぁー』 ナムーラミチヨ(著)
「だっだぁー」、「ぶっひゃひゃぁー」、「むちゅむちゅ」……。
赤ちゃん言葉を擬音化したような、楽しい絵本。粘土で作られた丸い顔が、なんとも印象的です。
見開きに対し、左側のページにあるのが、カラフルな丸い顔のキャラクター。
これは作者曰く、“赤ちゃんの守り神”なのだそうです。
右側のページには、それを真似するかのように、赤ちゃんの丸いお顔が続きます。
“赤ちゃんの守り神”が、さまざまな言葉を、赤ちゃんに伝授していくかのようです。
この絵本も、読むときのポイントは、恥ずかしがらないこと!
“赤ちゃんの守り神”であるキャラクターの表情を真似しながら、大きく口を開けるようにして読んであげると、赤ちゃんの好反応を得る可能性も高まります。
絵本よりも、読み手であるママのほうに興味を示してしまうことも考えられますが、赤ちゃんの成長に伴い、絵本に対する反応は変わっていきます。
そのうち、赤ちゃん自身も、粘土のキャラクターの表情を真似るようになるかもしれません。
絵本を通して、赤ちゃんの成長を実感できるのも大きな魅力です。
『ごぶごぶ ごぼごぼ (0.1.2.えほん)』 駒形 克己 (著)
赤、青、黄、白、水色といった、色鮮やかな「丸」が、擬音語にあわせて形を変化させていきます。
「ぷーん」、「ぷぷぷ」、「ごぶ ごぶ」、「ごぼ ごぼ」……。
認識しやすいシンプルな絵と、破裂音を主体とした心地よいリズムの繰り返し。
赤ちゃんの目には、さまざまな「丸」が、まるで生命体のように動いて見えるのかもしれません。
絵本のところどころには「穴」があいていて、ちょっとした仕掛け的要素もあり、「穴」に指を入れるなどして楽しむこともできます。
シンプルだからこそ、デザイン性が高く、大人にしてみれば抽象画のようなアーティスティックな印象を受けるかもしれません。
「いったい何が楽しいんだろう」といった思いにとどまることなく、大人も想像力をもって絵の変化をみつめ、独特な音の響きの展開を一緒に楽しみましょう。
親が一緒に楽しむことで、赤ちゃんはより一層、絵本に夢中になっていくはずです。
【まとめ】
赤ちゃんの反応がイマイチだったからといって、がっかりすることはありません。
赤ちゃんの視力や聴力、認知力は、月齢と共にどんどん成長していきます。
あまり興味を示さなかったのに、数ヵ月後、突然開花したように笑い出すといったことは多々あることです。
声のトーンや表情を変えたり、体に触れたり、いろんな読み方を試しながら、自分自身が気分転換するくらいのつもりで、あせらずゆっくり、赤ちゃんと一緒に絵本を楽しみましょう。
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