大昔の王様や天皇のお墓!『古墳』の形状について一覧で紹介、解説!







日本全国、各地にある古墳。

古墳と言えば、『前方後円墳』や半球型の『円墳』が有名ですが、そのほかにも形にいろいろなバリエーションがあります。

 

本記事では古墳のタイプ(形状)について一覧にし、それぞれの特徴を紹介、解説します。

 

はじめに、『古墳』とはなにか?

仁徳天皇陵(大仙古墳)

古墳とは大昔の王様や天皇のお墓です。

古墳は弥生時代の次の時代に該当する古墳時代から聖徳太子(しょうとくたいし)が活躍する飛鳥時代にかけての約400年間盛んに作られました。

なんと1500年を経た今、現存する古墳は日本全国に16万基あると言われています。

日本全国にある古墳は考古学者や大学教授らが率いる研究チームにより、未だ毎年のように新しく発見されています。

 

学校教育で一般的に学習する古墳は、仁徳天皇陵(大仙古墳)が国内最大級の古墳として必修となっており、その古墳のタイプ(形状)である『前方後円墳』が有名です。

 

「仁徳天皇陵(大仙古墳)」「前方後円墳」というキーワードは古墳時代の超王道問題としてテストに出題される確率が大なので、学生の皆様はこの2つだけでもしっかり押さえておきましょう。

 

上記の前方後円墳が古墳の形状としては有名ですが、古墳の形状バリエーションは実は豊富に存在します。

それではここからは古墳の形状についてご紹介するとともに解説を行ってきます。

 

前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)~最も有名な古墳のタイプ(形状)~

 

前方後円墳という古墳のタイプ(形状)は古墳と言えば誰もがその形をイメージするほど有名です。

 

前部が四角形で後部が円形だったので、その名称がつきました。

前方後円墳の中でも、古墳時代前期は四角形の方がスリムで円形の部分に比べると高さが低くなっている形が多いです。

 

古墳時代中期、高貴になるにつれてだんだんと四角い部分が大きく高くなっていきます。

そのようなタイプ(形状)の変化は告別式を行う際に参列者がより多く古墳に登れるようにするためという説と、後部(円形部分)に位置する人からも儀式が見やすくなるように改良されていったという説があります。

 

前方後円墳に分類される古墳

  • 大阪府…仁徳天皇陵(にんとくりょうこふん)(大仙古墳:だいせんこふん)
  • 兵庫県…五色塚古墳(ごしきづかこふん)
  • 大阪府…誉田御廟山古墳(こんだごびょうやまこふん)
  • 奈良県…箸墓古墳(はしはかこふん)

など

 

前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)~東日本で流行した古墳のタイプ(形状)~

 

意外と知られていない古墳のタイプ(形状)が前方後方墳で、正方形に末広がりの長方形がくっついた形状をしています。

 

前方後円墳と同じように前後の部分に段差がつけられていることが多いです。

前方後円墳は主に近畿地方を中心として西日本に多く、東日本では前方後方墳のタイプ(形)の方が多く残されています。

 

前方後方墳に分類される古墳

  • 愛知県…東之宮古墳(ひがしのみやこふん)
  • 栃木県…下侍塚古墳(しもさむらいづかこふん)
    ※水戸黄門が発掘命令をした古墳

など

 

円墳(えんふん)~全国で一番多い古墳のタイプ(形状)~

 

古墳のタイプ(形状)の中で全体の約8~9割を占めるのが円墳です。

写真などでみるとただ土がこんもりと盛られているだけの丘だと思われますが、中にちゃんと王様の遺体を埋葬するための霊室と財宝や埴輪を埋めるための部屋とに分かれているケースもあります。

 

古墳群や陪塚(ばいづか:家来のお墓)も円墳のタイプ(形)が多いです。

日本全国で一番多いと言われる円墳の中で最も大きいものは埼玉県のさきたま古墳群のひとつ丸墓山古墳(まるはかやまこふん)で、映画「のぼうの城」にも出てくる名所です。

 

円墳に分類される古墳

  • 埼玉県…丸墓山古墳(まるはかやまこふん)
  • 栃木県…車塚古墳(くるまづかこふん)
  • 奈良県…藤ノ木古墳(ふじのきこふん)

など

 

方墳(ほうふん)~秦の始皇帝陵と同じ古墳のタイプ(形状)~

 

かの秦の始皇帝のお墓はこちらの方墳の形をしています。

秦の始皇帝陵、または秦の始皇帝兵馬俑としてその名が知られ、大規模な墳墓とその中に軍隊を再現した人形が埋められたことで有名です。

 

方墳は上から見ると正方形になっていて、大型のものだと正方形が鏡餅のように何段にも積み重ねられています。

方墳は円墳に次いで第2位の総数量を誇る古墳のタイプ(形)です。

 

方墳に分類される古墳

  • 千葉県…岩屋古墳(いわやこふん)
  • 島根県…大庭鶏塚古墳(おおばにわとりづかこふん)
  • 奈良県…五条猫塚古墳(ごじょうねこづかこふん)

など

 

帆立貝形古墳(ほたてがいけいこふん)~まさに帆立貝のような古墳のタイプ(形状)~

 

帆立貝形古墳は前方後円墳の四角い部分を極端に短くしたような形で、まるで帆立貝のような形をしていたことから帆立貝形古墳と呼ばれています。

このタイプ(形状)の古墳は円墳とよく間違われやすいのですが、ポイントは円形部分に四角い盛り土があるかないかです。

また、帆立貝形古墳は帆立貝式古墳とも呼ばれます。

 

帆立貝形古墳に分類される古墳

  • 東京都…野毛大塚古墳(のげおおつかこふん)
  • 奈良県…ホケノ山古墳(ほけのやまこふん)
  • 宮崎県…男狭穂塚古墳(おさほづかこふん)

など

 

八角墳(はっかくふん)~古墳時代末期に流行した古墳のタイプ(形状)~

 

古墳時代の末期になると八角形の形をした八角墳が多く作られるようになります。

 

仏教が入ってきたころに頃にも作られ続け土葬から火葬へと変化し、一般的には土葬が主流である古墳の中でもこのタイプ(形状)の古墳は骨壺が納められたレアケースもあります。

 

八角墳に分類される古墳

  • 奈良県…牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)
  • 群馬県…伊勢塚古墳(いせづかこふん)
  • 京都…御廟野古墳(ごびょうのこふん)

など

 

双方中円墳(そうほうちゅうえんふん)~キャンディーのような古墳のタイプ(形状)~

 

双方中円墳は円の両端に四角形がくっついたタイプ(形状)の古墳です。

長方形がくっついたタイプ(形状)のものもあれば台形がくっついたタイプ(形状)のものもあり、共通して言えることは円の中心に軸線を一致させて作られています。

 

双方中円墳は全国的にも少ない古墳のタイプ(形状)で、もともと前方後円墳だった古墳に増設して改良したのでは?と考えられています。

 

双方中円墳に分類される古墳

  • 岡山県…楯築墳丘墓(たてつきふんきゅうぼ)
  • 香川県…猫塚古墳(ねこづかこふん)
  • 香川県…鏡塚古墳(かがみづかこふん)

など

 

上円下方墳(じょうえんかほうふん)~全国で6基しかない古墳のタイプ(形状)~

 

上円下方墳は正方形の上に半球型の墳丘が乗せられたようなタイプ(形状)の古墳です。

昭和天皇のお墓である昭和天皇陵も上円下方墳を採用している墳墓であり、全国で6基しかない貴重なタイプ(形)です。

 

上円下方墳に分類される古墳

  • 奈良県…石のカラト古墳(いしのからとこふん)
  • 東京都…天文台構内古墳(てんもんだいこうないこふん)
  • 東京都…熊野神社古墳(くまのじんじゃこふん)

など

 

長方形墳(ちょうほうけいふん)~方墳が進化した古墳のタイプ(形状)~

 

長方形墳は正方形の方墳が進化した古墳のタイプ(形状)ではないかと考えられている古墳です。

長方形墳は埋葬施設を複数持っていることが特徴であり、現存する長方形墳の多くは飛鳥時代に作られたものなので、古墳としては割と新しい方です。

 

長方形墳に分類される古墳

  • 奈良県…植山古墳(うえやまこふん)
  • 愛媛県…宇摩向山古墳(うまむかいやまこふん)
  • 茨城県…飯塚前古墳(いいづかまえこふん)

など

 

四隅突出型墳丘墓(よすみとっしゅつがたふんきゅうぼ)~山陰地方で流行した古墳のタイプ(形状)~

 

四隅突出型墳丘墓は正方形の四隅がニョキっと突出しているユニークなタイプ(形)の古墳です。

斬新なデザイン性から比較的新しいタイプ(形状)ではないかと思われがちですが、四隅突出型墳丘墓は弥生時代山陰地方を中心として作られたタイプ(形状)で、古墳の先駆けとも言えるものです。

研究者によっては四隅突出型墳丘墓が作られるタイミングからが古墳時代であると新しい考えを提唱しているようです。

 

四隅突出型墳丘墓に分類される古墳

  • 広島県…矢谷古墳(やだにふんきゅうぼ)
  • 島根県…阿弥大寺古墳群(あみだいじこふんぐん)

など

 

双円墳(そうえんふん)~日本でただ唯一の古墳のタイプ(形状)~

 

双円墳は大きい円墳と小さい円墳が合体したようなタイプ(形状)の古墳です。

このタイプ(形状)の古墳は日本にひとつしかなく、非常に貴重な古墳です。

 

双円墳に分類される古墳

  • 大阪府…金山古墳(かなやまこふん)

金山古墳の特徴は大きい円墳が3段式、小さい円墳が2段式の構造となっています。

 

横穴墓(よこあなぼ)~コンパクトな古墳のタイプ(形状)~

横穴墓は丘や山などの斜面に横穴を掘って複数の埋葬施設を作った古墳のタイプ(形状)です。

5世紀から8世紀にかけて長い間作られました。

 

起伏の激しい土地や山岳地帯などでは土を盛ることが難しかったため、この方法がとられたものと考えられています。

また、横穴墓の中には装飾古墳と呼ばれ壁に絵が描かれているタイプ(形状)の古墳もあります。

 

横穴墓に分類される古墳

  • 熊本県…鍋田横穴群(なべたよこあなぐん)
  • 静岡県…北江間横穴群(きたえまよこあなぐん)

など

 

まとめ

 

王様や天皇のお墓である古墳のタイプ(形状)について一覧化してきました。

 

学校で習う日本史では古墳について前方後円墳と円墳の2つのタイプ(形)しか学習しません。

ところがいかがでしょうか?日本全国16万基の古墳を見渡してみれば、今回一覧化した12種類のタイプ(形状)があり、予想以上にバリエーションが豊富です。

今後も新しい古墳は発見されていくでしょうし、新たなタイプ(形状)をした古墳が見つかることも期待されています。

 

最後に古墳の形状をおさらいしておきましょう。

  • 前方後方墳(ぜんぽうこうえんふん)
  • 前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)
  • 円墳(えんふん)
  • 方墳(ほうふん)
  • 帆立貝形古墳(ほたてがいけいこふん)
  • 八角墳(はっかくふん)
  • 双方中円墳(そうほうちゅうえんふん)
  • 上円下方墳(じょうえんかほうふん)
  • 長方形墳(ちょうほうけいふん)
  • 四隅突出型墳丘墓(よすみとっしゅつがたふんきゅうぼ)
  • 双円墳(そうえんふん)
  • 横穴墓(よこあなぼ)









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