動物絵本が魅力的な絵本作家!おすすめの作家5人を紹介







絵本が好きな人は、動物も好きだという人が多いのではないでしょうか?

動物絵本というカテゴリが存在するほど、動物が主役になっている絵本は無数にあります。

動物の描き方が、絵本そのものの魅力を大きく左右するといっても過言ではありません。

 

今回ここでは、動物の絵が特に魅力的な絵本作家を5人選んでみました。

代表作や人気作を添えて紹介します。

 

ミルコ・ハナーク(Mirko Hanák, 1921 – 1971)

動物たちのおしゃべり

ミルコ・ハナーク(Mirko Hanák, 1921 – 1971)はチェコを代表する絵本作家。

プラハの芸術工芸大学で水彩画を専攻し、学生時代から早くもポスターや切手、新聞などの挿絵を手がけていました。

迷いのない凛とした線。余白の美しさ。にじみとぼかしを巧みに組み合わせた水墨画のような力強い筆致が特徴です。

 

ミルコ・ハナークは動物を実際に見ながらスケッチするのではなく、自分の中にある記憶をもとに描いていたというから驚きです。

釣りや狩りが好きだったため、自然の中で目にした光景や豊富な体験が記憶として積み重なり、それが動物の描写に大きく影響しているのだといえるでしょう。

 

絵本のデビュー作は1951年出版の『狩人のおはなし(Lovcovy Povidky)』です。

複数あった絵本作品は長い間すべて絶版状態でしたが、2014年、『動物たちのおしゃべり』が待望の復刻を果たしました。この絵本はミルコ・ハナークの代表作でもあります。

表情豊かに描かれた動物たちの姿に、心地よい詩的な言葉がぴったりと合わさった、芸術性の高い動物絵本の傑作です。

 

 ブライアン・ワイルドスミス(Brian Wildsmith, 1930 – 2016)

Brian Wildsmith's Amazing Animal Alphabet

ブライアン・ワイルドスミス(Brian Wildsmith, 1930 – 2016はイギリスの絵本作家。

ガッシュの厚塗りや透明水彩のにじみ、彩色した紙のコラージュ、クレヨン、鉛筆など、さまざまな画材と技法を自由自在に使い、「色彩の魔術師」ともいわれています。

幾種類もの色を重ねた色鮮やかな美しい絵で、日本でも人気が高く、静岡県伊東市には「ワイルドスミス絵本美術館」があるほどです。

 

かつては多くの作品が日本でも翻訳・出版されていましたが、現在はそのほとんどが絶版状態で、洋書であれば新品で購入することが可能となっています。

洋書といっても、簡単な単語で構成されている絵本なので、辞書でちょっと調べれば容易に内容を理解できるはずです。

もちろん、絵を眺めているだけでもその美しさは十分楽しめるでしょう。

 

あべ 弘士(1948 – )

新世界へ

あべ 弘士(1948 – は北海道旭川市の生まれの絵本作家。

1972年から25年間、旭川市の旭山動物園飼育係として勤務。

子供のころから絵を描くことが好きで、実は旭山動物園に就職する前には、本格的に絵を勉強しようと東京への上京も考えていたのだといいます。

 

飼育係時代に、毎日の飼育体験を動物絵日記として綴り、タウン誌や北海道新聞などで連載。

園内の看板や、園の機関誌の絵も描いていたところ、福音館書店の編集者が、絵本の絵を描かないかと依頼してきたのが絵本作家を志すきっかけとなったのだそうです。

 

動物の内面を描き出すかのような躍動感あふれる力強い絵には、動物や自然への深い愛情と畏敬の念が込められています。

長年にわたり飼育係として、動物たちの生と死に直接向き合ってきた経験があってこその絵です。

 

2012年に出版された『新世界へ』(偕成社)は、北極で生まれたカオジロガンの若鳥たちが、親鳥とともに越冬地へと渡る旅の様子を描いたものです。

自然の雄大さが、ダイナミックな構図で、見事なまでに力強く描かれています。

 

 たしろ ちさと (1969 – )

ぼくはカメレオン

 たしろ ちさと (1969 – )は絵が趣味だった父親の影響で、子供のころから自然と絵を描いていたといいます。

明治学院大学卒業後、宝飾関係の会社に就職。

美術品の展覧会などの祭事を担当しているうちに、「自分自身も創りたい!」という思いが強まり、4年間勤めた会社を辞め、絵本作家を志すことになったのだそうです。

 

絵本作家としてのデビュー作は、2001年『みんなの家』(福音館書店)(おおきなポケット2001年9月号)ですが、代表作として紹介したいのは、さまざまな動物を色鮮やかに生き生きと描いた、『ぼくはカメレオン』です。

 

1998年、ボローニャ国際絵本原画展に応募したダミー本とその原画5枚が、世界的編集者マイケル・ノイゲバウアーの目に止まり、4年という歳月を経て、2003年に世界7カ国語(米、英、仏、和蘭、伊、日、独)で同時出版を開始しています。

日本国内では2007年に一度絶版となりましたが、復刊を望む多くの声により、2010年にグランまま社より「新装改訂復刻版」が登場。

ただしそれも2018年現在にあっては、在庫希少となっている模様です。

 

絵を描くときに心がけているのは、「よく見る」ことだと、たしろちさとさんは語っています。

表情豊かで、生き生きとした可愛らしい動物の絵は、本物をきちんと知っているからこそ描けるものなのかもしれません。

 

絵が魅力的なだけでなく、絵本としてのコンセプトが非常に優れていることも特筆すべき点です。

ストーリーの構成がユーモアたっぷりで、子供から大人まで年齢問わず楽しめる作品が多いことも、大きな特徴の一つといえるでしょう。

 

 いまい あやの (1980 – )

ベルナルさんのぼうし

いまい あやの (1980 – はイギリス・ロンドン生まれの絵本作家。

小5から中2の終わりまでをアメリカ・コネチカット州、カリフォルニア州で過ごし、その後は日本に居住。

武蔵野美術大学で日本画を専攻しています。

 

絵本デビューは2006年で、『The 108th Sheep(108ぴきめのひつじ)』がイギリスで出版されたのが最初です。

ボローニャ国際絵本原画展に2003、2004、2005、2006、2009、2012年度に入選し、そのうちの4作品が日本でも出版されています。

 

優しい色使いの繊細な描写と、ユーモアのある造形。日本画に通ずるような余白の美、穏やかな静けさの漂う独特の世界観があります。

動物の描写は写実的な要素を踏まえつつも、リアルすぎず、表情がなんとも可愛らしいのが特徴です。

 

2014年の『ベルナルさんのぼうし』(BL出版)でも、くまのベルナルさんのキョトンとした表情や、色とりどりの小鳥たち、そしてどんどん長くなっていく帽子の様子が、ユーモアをもって温かに描かれています。

 

【まとめ】

多種多様な動物の描き方があり、それが絵本作家の個性を特徴付ける一つの大きなポイントともいえます。

絵本の中に描き出された動物の姿を通して、作家自身の人柄のようなものも、少し感じ取ることができるかもしれません。










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