足首が痛い、そんな時に有効な対処法は『テーピング』!







足首をくじいた……多くの人が経験するケガのひとつですね。

多少痛くても我慢して、湿布でも貼って様子をみようかと、つい放置してしまう人が多いのではないでしょうか。

 

自然に治るケースもありますが、なかなか良くならなかったり、痛みがだんだん強くなると心配になりますよね。

そこで今回は、足首の痛みの原因となる疾患とその対処法、特にセルフケアとしてのテーピングを中心にご紹介していきます。

 

足首をくじくと、靭帯を傷めます

関節を大きな力で捻り、関節を支える靭帯や、関節を包む袋を傷めるケガが捻挫です。

スポーツや階段、段差などで足首を強く捻ったときの損傷を、足関節捻挫と呼びます。

バレーボールやバスケットボールで特に多く、サッカーやラグビー、野球や体操、テニスなどでも受傷しやすいでしょう。

 

足関節捻挫は、スポーツ中のケガでは、一番頻度が高いといわれ、約8割が外くるぶしを傷めます。

足首を内側に捻ることで、外くるぶしの3本の靭帯、特にくるぶしの前、斜め下の前距腓靭帯が伸びたり、切れたりします。

外側の靭帯が内側より弱いため、内側に捻る捻挫が多いといわれています。

また、内くるぶしに比べ、外くるぶしの方が低い位置にあり、外側に捻じりにくいのも原因の一つでしょう。

 

ケガの程度により、傷めた靭帯の圧痛や腫れ、歩行障害などの症状がみられます。

靭帯が伸びる軽度の捻挫では、くるぶし周囲の痛みと圧痛がありますが、歩行や軽い走行は可能で、2~3日で痛みは軽減します。

靭帯の一部が切れる捻挫は、靭帯に沿っての圧痛と腫れがみられ、走行は不可能なケガで、保存療法で対処します。

靭帯が完全に切れる重度の捻挫では、圧痛と腫れ、熱感や皮下出血が強くあらわれ、歩くのも辛いです。

2~3週間のギブスや装具による固定と、手術が検討される場合もあるでしょう。

 

受傷直後は、足首を固定し冷却、圧迫して足を心臓より高い位置に挙げて、腫れを防ぎます。

X線検査で骨に異常がないか確かめ、靭帯の損傷の程度に応じてサポーターやテーピング、装具や副木、ギプスにより固定します。

軽度の捻挫では、早期の運動療法がすすめられますが、重度であれば、固定期間も長くなってしまいますね。

 

症状により、超音波や低周波などの電気治療や温熱療法、運動療法や薬物療法などの保存療法が行われます。

手術は関節鏡を使った、靭帯の再建術などが施され、手術後日常生活復帰に約1ヵ月、スポーツ復帰に約3ヵ月要するそうです。

 

固定後のリハビリは、回復期間や後遺症におおきく影響するので、担当医とよく相談しましょう。

しっかり治さないと、捻挫をくりかえしたり、関節軟骨を傷めやすいので、ご注意ください。

 

足首が痛い時は、こんな原因も

変形性足関節症

足関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形して足首に痛みを感じる疾患です。

足首の骨折や繰り返しの捻挫をした人、関節が不安定な人に発症し、年齢とともに進行するでしょう。

高齢の女性におこりやすく、内くるぶしから変形することが多いです。

くるぶしの周囲に痛みや腫れが生じ、歩くと悪化、進行するとかかとの骨が内側や外側に傾きます。

 

X線やCT撮影で診断、軽症の場合、靴の中敷きや薬物療法などの保存療法が施されます。

変形が進み、日常生活に支障がある場合は、手術(骨切り術、固定術、人工関節全置換術など)が検討されるでしょう。

 

足関節果部骨折(そくかんせつかぶこっせつ)

足関節にねじるような強い外力が加わり、くるぶし周辺が骨折するケガです。

高い所から落ちたり、転倒やスポーツ中のケガ、交通事故などでおこります。

症状は、足関節の痛みや腫れ、内出血や関節の変形、歩行困難など。

 

X線やCT撮影で診断、骨折のズレが少なく安定していれば、整復・固定による保存療法が可能です。

整復が困難だったり、骨折部が安定しない場合は、スクリュー(ねじ)固定などの手術が検討されるでしょう。

関節におきる骨折なので、ズレが残ると後遺症として、足首の痛みや動きづらさが、出ることがあります。

 

アキレス腱断裂

ふくらはぎの筋肉の下部で、かかとの骨につながる太い腱が、ジャンプやダッシュなどで、突然切れるケガです。

急な動きで、ふくらはぎの筋肉が強く縮んだり、着地などで急に筋肉が引き伸ばされた時に受傷します。

中年以降の人がスポーツ中(バレーボール、テニス、野球など)に受傷することが多いため、加齢変性が原因といわれています。

 

うしろからバットで殴られたような感じや、蹴られたような感じがして、腱が切れる音を自覚することもあります。

痛みはさほど強くなく、受傷からしばらくすると、歩けるようになる場合もありますが、つま先立ちはできません。

 

ギプスや装具による保存治療か、腱を縫合する手術が検討されるでしょう。

完全にスポーツ復帰するまでに、約6ヶ月かかるので、綿密なリハビリテーション計画が重要になります。

 

アキレス腱付着部症

アキレス腱がかかとの骨に付く部位に、繰り返し引っ張る力が加わり、変性をおこして痛みます。

仕事やスポーツの負担、ふくらはぎの筋肉の柔軟性の低下、かかとの骨の形の異常や不適切な靴などが原因になるでしょう。

 

足首を反らしたときの痛みや腫れが生じ、腱に骨のトゲが認められるケースもあります。

また、アキレス腱周囲の押しての痛みや階段昇降、走行などでの痛みがみられます。

 

X線やMRI検査で診断、靴の中敷きやストレッチ、薬物療法などの保存療法が施されます。

重症例では、内視鏡による手術(切除形成術)などが検討されます。

 

距骨骨軟骨損傷(きょこつこつなんこつそんしょう)

すねの骨を下部で支え、足関節の土台となる距骨の軟骨を傷めるケガです。

足首の捻挫に合併することが多く、受傷後も痛みが長く続きます。

また、繰り返しの負担で発生したり、スポーツ後に痛みや腫れがおこる場合もあるでしょう。

 

足首のはっきりしない痛みや、関節がずれるような症状がみられます。

X線やCT、MRI検査で診断、松葉杖や装具で、患部への負担を軽減したり、ギプス固定などの保存療法が施されます。

受傷後時間が経過したものは、手術(関節鏡視下ドリンク法、骨釘固定術、軟骨移植手術など)が検討されるでしょう。

 

リウマチ足

関節リウマチが足首におこり、足関節が破壊されて、痛みや腫れが生じます。

関節の動きが制限され、かかとの骨が外側に傾いて、歩行障害がおきるでしょう。

 

変形が軽度の場合、薬物療法や靴の中敷き、サポーターや靴型装具などによる保存療法が選択されます。

変形が進んだ症例では、手術(滑膜切除術、関節固定術、人工足関節置換術など)が検討されるでしょう。

 

他に、捻挫のあとやスポーツなどで、外くるぶしの後のスジが外れる感じを繰り返す、反復性腓骨筋腱脱臼などでも足首が痛みます。

 

足首の痛みには、テーピングが効果的!

テーピングは、傷めた靭帯を保護して、足首からすねにかけての筋肉をサポートします。

ここでは一般向けに、伸縮性のあるキネシオテープを使った方法を紹介します。

スポーツ選手などのテーピングは、スポーツドクターやトレーナーの指導のもとに行うようにして下さい。

 

 

足首の外側を捻挫したときのテーピング

前脛骨筋テープ(幅5cm、長さ50cm)

足の甲の親指よりに、テープの一端を貼ります。

すねを伸ばすように足首を曲げ、足首からすねの前のやや外側の筋肉に沿って、膝下まで貼っていきます。

 

腓骨筋テープ(幅5cm、長さ45cm)

足首を伸ばした状態で、足裏の土踏まずにテープの一端を貼ります。

そのまま足底から外くるぶし、下腿(足首から膝まで)の外側にある細い筋肉に沿って、膝下まで貼っていきます。

 

靭帯補強テープ(幅5cm、長さ20cm)

外くるぶしの後のアキレス腱に、テープの一端を貼ります。

足首を反らして、テープで外くるぶしをおおい、足関節の前から内くるぶしに向かって貼っていきます。

 

※こちらの貼り方も参考にしてください http://www.pip-taping.com/movie/parts/ashikubi/

 

テープの長さは一例なので、体型にあわせて調節してください。

基本的には、筋肉を伸ばした状態で、テープを引っ張らないで貼ります。

痒みがなければ、2日間くらい貼っておけます。

お風呂でぬれたら、タオルで軽くたたくか、ドライヤーで乾かしてください。

 

テープを剥がす時は、肌を押さえながら、そっと剥がすとかぶれにくくなります。

かゆみが出たら、テープの使用を中止しましょう。

 

※かぶれやすい人には、ピップの「くっつくテーピング」がおすすめです。

貼り方はコチラ http://www.pip-taping.com/movie/nPePni2LMdA/

 

リハビリでは、筋肉トレーニングが大切

 

急性期は、固定による患部の安静が大切ですが、固定期間中も足首以外の、指先などの運動を始めましょう。

  • 足の裏を床につけ、つま先で床を押すように、指先を曲げます。
  • 足の裏を床につけ、つま先を持ち上げるように、指先を反らせます。
  • 足の指を開くように、力をいれます。
  • 足の指の間に手の指を入れて、足の指を閉じるように力をいれます。
  • 床に置いたタオルを、足の指でたぐり寄せたり、ビー玉をつかむ運動もよいでしょう。
  • 脚の筋肉が弱くなるので、足首の痛みに気を付けながら、慎重にスクワットを始めてください。

 

 

固定を外せるようになったら、足首の運動を痛くない範囲で、ゆっくりと始めましょう。

  • つま先を持ち上げるように、足首を反らせます。
  • 床にすわり脚を伸ばして、足裏を壁につけ、つま先で壁を押してください。
  • 足首を反らして、小指側を持ち上げ、ふくらはぎの外側に力をいれます。
  • 足首を反らして、親指側を持ち上げ、ふくらはぎの内側に力をいれます。
  • 立って足の親指の内側を柱などにつけ、内に押しつけるように力をいれます。
  • 立って足の小指の外側を柱などにつけ、外に押しつけるように力をいれます。
  • つかまり立ちで、かかとを上げて、親指寄りに重心をかけます。

 

※5秒5回から始め、徐々に10秒10回に近づけていきましょう。

足首に痛みを感じたら、中止してください。

 

ツボやトリガーポイントで痛みを和らげましょう

腫れや熱感がひいてから、ツボ治療をはじめましょう。

気持ちよい程度の強さで、ゆっくりと3秒間押し、ゆっくり離すを繰り返します。

最初は弱めで、時間も短めに押しましょう。

温灸(せんねん灸など)も有効なので、お試しください。

 

  • 丘墟(きゅうきょ)……外くるぶしの斜め前下にあるくぼみ
  • 解谿(かいけい)……足首の前側で、ほぼ真ん中にあるくぼみ
  • 陽陵線(ようりょうせん)……膝のお皿の外側、下方にある骨の出っ張りの真下
  • 陰陵線(いんりょうせん)……膝の内側の骨の出っ張りから4横指下、ふくらはぎの筋肉とすねの骨のさかいめ
  • 足三里(あしさんり)……膝のお皿の外側下から4横指下、すねの骨のきわ

 

 

トリガーポイントは、痛みの原因となる筋肉のしこりで、足首と離れたところにある治療点です。

足首の痛い箇所にひびくポイントが見つかったら、30秒ほど痛気持ちよい強さで押してください。

 

  • 腓骨筋……膝から足首までの、外側に位置する細い筋肉

膝下の外側にある骨の出っ張りのすぐ下と、外くるぶしの5横指上にTP(トリガーポイント)があります

 

  • ヒラメ筋……膝から足首までの、ふくらはぎの奥にある筋肉

ふくらはぎの内側で、すねの骨の後きわのしこり

 

  • 長趾屈筋、長母趾屈筋……ふくらはぎの後側で、足の指を曲げたときに、硬くなる筋肉

ふくらはぎの真ん中から、下にかけてあるしこり

 

  • 前脛骨筋……すねの前、外側にあり、足首を反らすと硬くなる筋肉

膝のお皿の下、外側から4横指ほど下にTPがあります

 

  • 母趾外転筋……足の裏の内側、親指を開くと硬くなる筋肉

かかとの骨から3横指ほど親指よりのしこり

 

最後に

足のくるぶしが多少痛くても、たかが足首の捻挫と、つい治療を怠ってしまいがちですね。

でも、足首は人体の大切な土台なのです。

歩くときに、とても重要な働きをするので、足首の痛みが強いと、日常生活に大きな影響が出てしまいます。

また、捻挫などで靭帯が伸び、足関節が不安定になると、アンバランスな歩行や姿勢になり、膝や股関節、腰が痛くなるケースも多いですよ。

 

生まれつきの骨の形状異常や痛風、腫瘍や感染などで足首が痛む場合もあります。

ケガをした時や原因がないのに足首が痛んだり、痛みが長びくときは、必ず整形外科を受診してください。

できれば、足の外科専門医がおすすめです。

※「足の外科」病院検索 http://www.jssf.jp/general/hospital/index.html










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