腕の痛み!腕の痛みがおこる病気の症状や原因、治療法を解説







 

  • パソコンやスマホの使いすぎで腕が痛い!
  • 腕に神経痛のような痛みやシビレがある!

 

こんな症状で、お悩みの人も多いことでしょう。

 

腕の痛みの原因が腕の筋肉痛や筋肉疲労ならよいのですが、首や内臓の病気が原因の場合もありますので注意が必要です。

そこで今回は、腕に痛みがおこる病気の症状や原因、治療法などをお届けします。

 

腕の痛みは、骨・筋肉・神経の痛み

 

腕の肘から上を「上腕」、肘から下を「前腕」と呼び、手を含めて「上肢」ともいいます。

今回の腕の痛みは、肩関節から肘関節までの上腕と、肘関節から手関節までの前腕におこる痛みをとりあげます。

 

関節(肩・肘・手首)を除く「腕の痛み」は、腕の骨・筋肉・神経に原因がある場合が多いでしょう。

  • 腕の骨の痛みは・・・骨折や腫瘍が原因
  • 腕の筋肉の痛みは・・・撲や肉離れ、筋肉痛や筋肉疲労など
  • 腕の神経の痛みは・・・頚椎や末梢神経などに原因がある

 

それでは、腕の痛みの原因疾患をもう少し詳しくみていきましょう。

 

腕の痛みの症状から疑われる疾患は?

  • 高齢者が手をついて転んで、上腕の上部や前腕の下部が腫れて痛い・・・上腕骨近位端骨折、橈骨(とうこつ)遠位端骨折(整形外科へ)
  • 小児が転んだり転落して、上腕の下部が腫れて痛い・・・上腕骨顆上骨折(整形外科へ)
  • 若年者の上腕上部が腫れて痛く、安静時の痛みがだんだん強くなる・・・悪性骨腫瘍(骨肉腫:整形外科へ)
  • 腕をぶつけたり、重い物をいきなり持つなどの強い負荷をかけた後、腫れて痛み、内出血する・・・打撲、肉離れ(整形外科へ)
  • 激しい運動や過酷な労働で、腕を使うと痛い、だるい・・・筋肉痛、筋肉疲労(安静にして数日で治まらなければ、整形外科へ)
  • 腕を上げると、肩から腕が痛く、夜間痛みが強くなる・・・五十肩(肩関節周囲炎:整形外科へ)
  • 腕や肩、手に痛みやシビレがあり、上を向くと強くなる・・・頚椎症性神経根症(整形外科へ)
  • 腕や肩、首に痛みやシビレがあり、指が動かしづらく、首の運動やせき、くしゃみで悪化・・・頚椎椎間板ヘルニア(整形外科へ)
  • 腕や肩、背中の痛みと上肢のシビレが、腕を上げる動作で悪化する・・・胸郭出口症候群(整形外科へ)
  • 腕や肩、背中や首に痛みやシビレがあり、頭痛や吐き気、めまいなどを伴うことも・・・頚肩腕症候群(整形外科、神経内科へ)
  • 主に左腕や肩、背中が痛み、胸痛や動悸、息切れがある・・・狭心症、心筋梗塞(循環器内科、心臓血管内科へ)

 

※福井大学医学部附属病院総合診療部 林 寛之教授によると、心臓の関連痛は、右腕・右肩に出る場合も多いそうです。

※体の中心に近い方を近位(きんい)、遠い方を遠位(えんい)と呼びます。

 

腕に痛みをおこす疾患はいくつもありますが、外傷(ケガ)や心臓病以外では、首や肩、背中などの痛みやシビレを伴う場合が多いようですね。

つぎに、加齢やパソコン作業、スマホ操作などで発症しやすい疾患をご紹介します。

 

腕が痛む中高年者に多い「頚椎症性神経根症(しんけいこんしょう)」

中高年層で、首から肩、上肢にかけて痛みやシビレがあり、首の運動で悪化する場合は、頚椎症性神経根症が疑われます。

 

上腕や前腕の後外側が痛い

首や肩、背中や腕に、鈍い痛みや頑固なコリがあり、特に前腕や手指にシビレがみられます。

主に片側に生じやすく、上や横を向いたり、首を横に倒すと、痛みやシビレが強くなるのが、本症の特徴でしょう。

 

障害を受ける神経にもよりますが、上腕と前腕の後外側から中指にかけての症状が、約70%と言われています。

また、手指の触った感覚が鈍くなったり、力がはいりにくい、細かい動作(物をつまむ、字を書く、ボタンをかける)がしづらいなどの症状がみられる場合もあります。

 

頚椎症性神経根症(しんけいこんしょう)は加齢と姿勢が原因

加齢にともない、首の骨(頚椎7個)をつなぐクッションの椎間板が、傷ついたり潰れて、首の関節に負担がかかるようになります。

やがて、骨の変形やトゲ(骨棘:こつきょく)が生じ、それらが脊髄から腕にのびる神経の根元(神経根)を圧迫して、炎症をおこし発症します。

首をそらす姿勢(パソコンのモニターを覗きこむなど)や、首に負担をかける作業や運動は、症状を悪化させるので気をつけましょう。

 

足にも症状が出たら、専門医を受診しましょう

診断には、X線やMRI検査、さらに精密検査が必要な場合もあるでしょう。

 

整形外科では、まず痛みをやわらげる保存的な治療が選択されます。

消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、ビタミンなどの薬物療法、牽引や電気治療、温熱療法などの理学療法、頚椎カラーなどの装具療法が施されます。

痛みが強い場合は、トリガーポイント注射や、神経ブロック療法(頚椎の硬膜外ブロック、神経根ブロック、星状神経節ブロックなど)が行われることもあります。

 

保存療法で効果がなく、麻痺や激しい痛みで日常生活に支障がある症例では、手術が検討されるでしょう。

足にも痛みやシビレ、麻痺がでたり、排尿や排便障害などがあれば、頚椎症性脊髄症が疑われます。

できれば、近隣の脊椎・脊髄の専門医の受診をおすすめします。

 

※専門医・病院の検索はコチラ

 

若い女性は要注意の「胸郭(きょうかく)出口症候群」

なで肩の女性や重量物を運ぶ作業者で、腕や手の痛みとシビレ、肩や背中のコリや痛みがあれば、胸郭出口症候群が疑われます。

 

腕にのびる神経と血管の束が、首の付け根の筋肉や肋骨と鎖骨のすき間、胸の筋肉の下などの通り道で、圧迫されて発症します。

腕を挙げたときの症状の悪化と、血流障害による症状が特徴の疾患です。

教師や美容師、塗装業や電気工事など、腕を上に挙げる職業の人に多く、また近年はパソコンやスマホの操作が原因になる例も増えています。

 

腕や手の痛み・シビレ、倦怠感や冷感も

首や肩、腕の痛みから始まり、前腕や手の小指側にズキズキ・チクチクする痛みや、ビリビリ・ジンジンするシビレなどが生じます。

筋力が低下したり、細かい作業がやりづらくなり、倦怠感も強くなります。

血管が圧迫されると、腕や手がむくんだり、冷たくなり、青紫や青白く変色することもあるでしょう。

 

なで肩で首の長い女性は、気を付けて

胸郭出口症候群は、腕にのびる神経や血管が圧迫されて生じますが、頚肋(けいろく)も原因のひとつとなります。

頚肋は胎生期(受精から約10ヶ月間)に、第7頚椎につく肋骨が遺残したもので、首の横で神経と血管の走行を邪魔します。

鎖骨の上のくぼみを触診すると頚肋に触れ、強く押すと上肢にひびくことがあるでしょう。

 

要因としては、首や肩の筋肉が弱く、なで肩で首の長い人は、肩甲骨が下がって神経が引っ張られたり、通り道が狭くなって発症します。

また、筋肉が発達して、いかり肩で首が太く短い人、重い物を持ち運ぶ作業や首をよく動かすスポーツをする人も、罹患しやすいです。

 

手首の脈をみて、チェックしましょう

胸郭出口症候群の診断には、首のX線検査や必要に応じて血管造影やMRI検査を行います。

また、次の脈をみる検査も診断の助けになります。

 

  • 腰かけて症状のある方を向き、首を反らせて深呼吸後、息を吸って数秒止めたときに、手首の脈が弱くなるか消える(上肢の症状も悪化する)
  • 腰かけて腕を前に90度挙げて、肘も90度曲げた状態で手首の脈をとり、そのまま肘を後方に引いたとき、脈が弱くなるか消えて、痛みやシビレが強くなり、手が白くなる
  • 同じ腕の位置で指の曲げ伸ばしを3分間した時、シビレや倦怠感のため続行できない
  • 腰かけて姿勢よく胸を張り、腕を後下方に引き降ろしたときに、手首の脈が弱くなるか消えて、症状が悪化する

 

姿勢の改善が、治療のポイント

胸郭出口症候群の症状が軽い場合は、首や肩、肩甲骨周りの筋肉のストレッチと、肩を持ち上げる筋肉のトレーニングが有効です。

腕などの痛みやシビレが強いときは、消炎鎮痛剤や血流改善剤などの内服、ブロック注射、理学療法、装具療法が施されます。

 

保存療法で改善せず、神経や血管の圧迫症状が強く、日常生活に支障があれは、手術が検討されるでしょう。

頚肋や第1肋骨の切除術、小胸筋腱の切離術などが選択されます。

 

治療と予防のためには、首や肩への負担を減らすことが重要で、重い物を持ったり、ショルダーバッグやリュックサックの使用はなるべく避けてください。

また、日常生活での姿勢の改善、特にパソコンやスマホ操作時の悪い姿勢に気をつけましょう。

モニターを顔の正面で、適度な高さになるように設置し、キーボードやマウスを長時間使用するときは、時々休憩して筋肉を休ませてください。

スマホを下向きやうつ伏せ寝で操作し続けると、首や肩への負担が大きいので、できるだけ控えたほうがよいでしょう。

 

※おすすめの体操はコチラ

NHK健康チャンネル https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_232.html

 

腕の痛みは、「頚肩腕(けいけんわん)症候群」でも

 

首や肩、腕に痛みやシビレなどがあり、原因がはっきりせず病名が確定しない症状を、狭い意味での「頚肩腕症候群」と呼びます。

頭痛や吐き気、めまいや食欲不振などを伴うことが多いのですが、検査では異常がないので、患者さんは長期間苦しむことになります。

繰り返しの作業や仕事中の姿勢、ストレスなどが要因の場合は、「頚肩腕障害」と言われることもあるでしょう。

 

治療は環境の改善と、薬物療法や理学療法などの対症療法が中心になります。

温熱療法や電気治療、運動療法やマッサージなどが有効でしょう。

また、適度な運動や気分転換になる趣味なども、効果が期待できますよ。

 

腕の痛みに効くツボ治療

 

対症療法として、腕のツボ治療は痛みを和らげてくれます。

押して気持ちよいツボを、ゆっくりと3~5秒押してから、ゆっくりと力をぬく指圧を繰り返します。(3~5分間)

ひびく箇所(トリガーポイント)があれば、30秒ほど持続圧迫してもよいでしょう。

急性期は避け、痛気持ちよい程度の圧で押し、症状が悪化する時は中止してください。

 

腕の痛みの特効ツボ

  • 陽谿(ようけい)……手首の甲側の横じわ上で、親指の下のくぼみ
  • 上廉(じょうれん)……肘を90度に曲げてできる横じわの先端から、手首に向かい指幅4本分
  • 四瀆(しとく)……肘を90度に曲げて出来る横じわの中央と、手首甲側の横じわの中央を結んだ線の中間点

 

腕の痛みのトリガーポイント

  • 上腕前面で肘の横じわ中央から指幅3本分上
  • 上腕後面の中央
  • 首の側面で、横を向くときに緊張する筋肉の中央
  • 肩甲骨の上面の中央
  • 肩甲骨の下面の中央
  • 前腕外側で、手首を親指側に曲げると緊張する筋肉の中央
  • 前腕前面で、手首を親指側にまわしたときに緊張する筋肉の中央
  • 前腕外側で、手首を反らしたときに緊張する筋肉の中央

 

 

まずは、整形外科で診てもらいましょう

 

腕の痛みの原因をみてきましたが、いかがでしたか。

外傷や内臓の病気を除けば、悪い姿勢や繰り返しの動作、加齢やストレスなどが関与しているようですね。

 

腕に痛みやシビレ、脱力や倦怠感があるときは、まず整形外科で診てもらいましょう。

そして痛みの原因が判明したら、治療と併せて、医師の指導のもと運動療法や姿勢の改善などに取り組んでください。

また、パソコンやスマホの長時間使用も、治療の妨げとなるので、出来るだけ気を付けてくださいね。










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