日本の民話、昔話が題材の芸術的な絵本!おすすめ5冊を厳選してご紹介







日本には古くから伝わるお話がたくさんありますが、実はそういった民話や昔話には、日本的な画風の美しい絵本が数多く存在しています。

初版発行年が古く、その色調から一見地味に思う人もいるかもしれませんが、お話の世界観を押し広げるような味わい深い絵には、芸術的ともいうべき日本古来の美しさがあるのです。

 

今回は、日本の民話や昔話を題材とした絵本の中から、著名な日本画家や絵本作家が手がけている絵本を5冊厳選しました。

いずれも初版から数十年経っているロングセラー本です。

 

『いっすんぼうし』  いしい ももこ(文) 、あきの ふく(絵)

いっすんぼうし (日本傑作絵本シリーズ)

秋野不矩(あきのふく、1908 – 2001)は日本画の大家であり、文化勲章受章者としても知られています。

54歳のときにインドの大学へ客員教授として赴任して以降、度々インドを訪れ、数多くの大作を残しました。

 

この『いっすんぼうし』は、現代に劣らぬ構図の面白さがあり、古臭さを感じさせません。

日本画ならではの品のある力強い美しさ。シンプルでありながら、見開きごとに見ごたえがあります。

 

文章も粋です。児童文学作家・石井桃子(いしいももこ、1907 – 2008)の綴る文体は、まるで口上を読み上げるかのように軽快で心地がよく、ユーモアもあります。

昔話の定番として手もとに置いておきたい、雅な絵本としておすすめです。

 

『みるなのくら』 おざわ としお(再話)、赤羽 末吉(絵)

みるなのくら (日本傑作絵本シリーズ)

もともと舞台美術の仕事に携わっていた赤羽末吉(あかばすえきち、1910 – 1990)は、絵本を一つの舞台として捉え、絵の構成を練っていました。

物語を熟知した演出力と、日本的な味わい深い画風で数多くの絵本を手がけ、児童文学における国際的賞である「国際アンデルセン賞」を受賞しています。

 

この『みるなのくら』が、赤羽末吉の最後の作品となりました。

うぐいすの声に誘われ、山の中に迷い込んでしまった一人の若者。屋敷をみつけ泊めてもらうのですが、そこの姉様に留守番を頼まれます。

「12の蔵があり、1から11までは覗いてもいいが、12番目の蔵だけは決して見てはいけない」というのが姉様の言い付けです。

 

好奇心に駆られた若者が、1の蔵、2の蔵、3の蔵と、順番に蔵を開けていくと、蔵を開けるごとに、日本の四季に合わせた美しい風景が目の前に広がります。

 

大きく開いた格子戸と若者の後ろ姿が手前に描かれているので、読み手も一緒になって蔵の中を覗いているような感覚です。

まさに壮大な舞台を見ているかのような印象を受けるかもしれません。

 

『つるの おんがえし』 松谷 みよ子 (著)、 いわさき ちひろ (絵)

つるの おんがえし (いわさきちひろの絵本)

いわさきちひろ(1918 – 1974)は日本を代表する水彩の童画家として、民話や昔話の絵本を数多く手がけています。

「にじみ」や「たらし込み」、「白抜き」といったさまざまな技法を思うがままに使いこなし、詩情豊かに描き出される優しい絵は、まさに民話や昔話の世界にぴったりです。

 

『つるのおんがえし』はさまざまなバージョンで語り継がれていますが、この絵本は鳥取に伝わるお話がもとになっています。

鶴は爺様に助けられ、娘の姿となって家に訪ねてくる、といった形です。

「決して見てはいけない」という約束を破ったために、鶴はもとの姿に戻り、空へと去ってしまうわけですが、多くの人の心に残るのは、約束を守ることの大切さよりも、漠然とした「切なさ」かもしれません。

 

『やまなしもぎ』  平野 直 (再話)、 太田 大八 (絵)

やまなしもぎ (日本傑作絵本シリーズ)

太田 大八(おおた だいはち 1918 – 2016)は、さまざまな絵画技法で130作以上の絵本を残し、その豊かな表現力で国内外から高い評価を得ています。

この『やまなしもぎ』は、昔話らしいリズムを持った、情緒あふれるお話です。

 

病気のお母さんのために、3人の兄弟が「やまなし」をもぎに山の中へと向かいます。

長男から順番に出発しますが、上の2人は道の途中で会った婆様の言いつけを忘れて失敗し、一番下の末っ子はそれをきちんと守ったため、「やまなし」を無事にもぎとることができた……といった感じのお話。

 

特出すべきは、方言を含んだ文体の心地よさです。

「ゆけっちゃ かさかさ」という掛け声が実にユニークで、子供ならず大人も思わず口ずさみたくなります。

文章を綴っているのは、童話作家で童謡詩人でもある平野 直(ひらの ただし 1902 – 1986)。

この『やまなしもぎ』が民話採集のきっかけになったのだそうです。

 

『ゆきおんな』 松谷 みよ子(著)、朝倉 摂(絵)

朝倉 摂(あさくら せつ 1922 – 2014)は画家であると共に、舞台美術家でもあり、上村松園賞、日本アカデミー賞優秀美術賞、紫綬褒章など、数多くの賞を受賞しています。

美人画で有名な画家・伊東深水に師事していますが、この『ゆきおんな』 のひんやりとした美しさから、その影響を感じ見ることができるかもしれません。

 

松谷みよ子(1926 – 2015)の綴る文章は、まさに雪のごとく冷たい静けさを放っています。

言葉の一つ一つが、読み手の心に降り積もるかのようです。恐ろしくも美しい、幻想的な雪女のお話を、イメージを損なうことなく堪能できる絵本といえるでしょう。

 

【まとめ】

 

子供騙しではない、「ホンモノの絵」による絵本は、新しい絵本がどんなにたくさん登場しても、埋もれることがありません。

お気に入りの絵本をみつけたら、同じ画家の他の作品もぜひ探してみてください。

自分好みの画風や文体を把握していくことで、絵本との出会いがスムーズになるはずです。












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