世界にレゲエを広めたレジェンド ボブ・マーリー







日本の四国よりも面積の小さい中南米に浮かぶ島国ジャマイカが生み、今や世界的に波及し音楽ジャンルとして当たり前の存在となったレゲエ。

ロック同様に20世紀の音楽史における重要な発明のレゲエを世界に広めたのがボブ・マーリーです。

 

無精ヒゲにトレードマークのドレッドヘアーでおなじみのレジェンドも日本ではレゲエ好きを公言する若い人にすらもあまり知られていない状況となっています。

タオルをぐるぐる回すようなレゲエと言われるような音楽ではなく、ソウルフルで時に政治的、時に愛に満ち溢れたメッセージ性のある楽曲を数多く残し、今も全世界で愛され続けるボブ・マーリーの魅力について再考したいと思います。

 

ポピュラーミュージックのリズムを変革したジャマイカンミュージック

ボブ・マーリーのレゲエについて詳しく紹介する前に、どうしてもジャマイカという中南米の島国において生まれた特殊な音楽環境について知っておいてほしいことがあります。

それは、そもそもアメリカ合衆国や南米には黒人はいなかったということ。

 

現代において、アメリカや中南米にいる黒人のルーツのほとんどはアフリカから奴隷として連れてこられ、その土地に定着した人たちです。

同時にアフリカから音楽や文化が伝えられ、特に中南米には打楽器を中心とした特殊なリズムの音楽が根付き、メントやカリプソと呼ばれ発展していきました。

 

ジャマイカにおいては1950年代頃からアメリカから輸入されるジャズやR&Bと、その地域に元々あったソカやメントがミックスされ、スカと呼ばれる独自のアップテンポなダンスミュージックが生まれます。

 

ボブ・マーリーもミュージシャンとしてのキャリアのスタートはスカの曲をバックに歌うスタイルでした。

スカはその後60年代以降よりスウィートな内容の歌を取り入れテンポもゆったりとしたロックステディへと変化。

このころから楽器編成もエレキ楽器が主流になり少人数化、よりレゲエのスタイルへと近づいていきます。

 

そしていよいよ1973年にボブ・マーリーはレゲエと呼ばれる、今までにないリズムを伴った新しいスタイルの音楽を世界的にリリース。

全世界デビューとなるアルバム「Catch a Fire」を発表し音楽シーンに衝撃を与え、多くのミュージシャンに影響を及ぼしていくようになります。

 

スカ~ロックステディ~レゲエへと変遷していくうえで特に重要だったのがリズムです。

ロックンロールの誕生以来、リズムはいわゆる8ビートが中心になっていました。

 

2拍目と4拍目にスネアドラムを入れてバックビートを強調するリズムが定着し、ジャズやブルースもこういったロックビートを取り入れるようになっていました。

そんな時代に全く新しいリズムを伴ってボブ・マーリーが登場したのです。

 

裏打ちと呼ばれる独特の刻みを入れるギター、3拍目にスネアドラムとバスドラムを同時に鳴らすワンドロップというリズムを基本とした独特の跳ね感のあるゆったりとしたテンポのレゲエはシーンに登場するやいなや、多くのミュージシャンも虜にするほどの斬新さで新たなムーブメントを起こしていきます。

 

日本におけるイメージの悪さはルックスと大麻のせい

アメリカでの人気を決定付けたのは何と言ってもエリック・クラプトンのボブの楽曲のカバーのヒットでしょう。

アメリカでもコンサートを多く行いマイケル・ジャクソンがいたジャクソン5やスライ&ザ・ファミリーストーン、スティービー・ワンダーらとの共演も経験し、またアメリカのソウルシンガーからも影響を受けさらにボブのレゲエは進化していきます。

 

日本においては、長く不潔感漂うドレッドヘアやヒゲ面などのビジュアルイメージや、関連付けられる大麻とのイメージであまり好ましく思われていないように思います。

ボブの大麻の常習については間違いのない事ですので否定のしようがありませんが、日本ではやはり麻薬の一種として認知されているのでボブに対するこのダーティなイメージは仕方ないように思います。

 

ただ、それを理由に彼の音楽に踏み込まないのはあまりにももったいないことです。

ボブの登場以降多くのフォローや楽曲の中にレゲエを取り入れるミュージシャンがいまだに増え続けている現状を考え、ボブ・マーリーが成しえた偉大な業績に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

 

必聴アルバム 厳選3枚

 

36歳という若さであまりにも早く亡くなったボブ・マーリーのリリースした作品はそれほど多くはないので全作品聴いてみてほしいところですが、オススメは?と聞かれたら必ず紹介するアルバムを3枚厳選して紹介したいと思います。

 

Catch a Fire 1973年

レゲエが初めて世界に発信された作品。

ロンドンでのレコーディング時に勝手に現地のミュージシャンの演奏をオーバーダブされたりと、本人は必ずしも内容に満足しているわけではない作品ですが、時代の変わり目を捉えた作品として重要なアルバムです。

 

LIVE! 1975年

ロンドンで行われた熱狂のライブ盤。

このアルバムに収録された「NO WOMEN,NO CRY」はあまりにも有名すぎてこの曲は知っている人も多いかもしれません。

ちなみに「ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・グレイテスト・ライヴ・アルバム50」において、34位にランクインしています。

 

Exodus 1977年

政治的な絡みで暗殺事件に巻き込まれたボブが亡命先のロンドンで録音したアルバム。

「NO WOMEN,NO CRY」同様有名な「ONE LOVE」が収録。

その他全曲名曲揃いのすべての音楽ファン必聴といえる内容です。

 

早すぎる死と語り継がれるボブのレゲエ

 

病気のため1981年に36歳というあまりにも早く短い生涯を終えたボブ・マーリーの残したソウルフルなレゲエはその後、時代と共にさらに新しいスタイルへの進化や世界中で多くのフォロワーを今も増やし続けています。

日本でも独自の進化を遂げジャパレゲなるジャンルとして若いファンを中心に一定の人気を獲得しています。

 

また、レゲエのみならず色んな音楽ジャンルのミュージシャンやアーティストからもリスペクトされ続けているレゲエという今や当たり前になった音楽ジャンルを確立したレジェンドであるボブ・マーリーのサウンドが多くの人の耳に届き、ここ日本でももっともっとファンが増えるのを願っています。










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