現在、大手携帯キャリアではMVNOへのユーザーの流出を防ぐためにライトユーザー向けの低価格なプランを多数打ち出しています。
その効果もあって最近では大手キャリアから格安SIMへの乗り換えを見直す方も少なからずおられるようです。
MVNOに対応した所謂「格安SIM潰し」のプランは従来の大手携帯キャリアのプランと比較するとたしかに割安感はありますが、格安SIMと比較した場合に本当にお得なのでしょうか。
この記事では「格安スマホ潰しプラン」でiPhoneを利用した場合と格安SIMでiPhoneを利用した場合について運用コストを比較していきます。
大手携帯キャリアでiPhoneを2年間運用した場合のコスト
大手携帯キャリアでは「auピタッとプラン」の取り扱い開始によって特にライトユーザーから高い支持を受けているauをモデルケースとして2年間のコストを試算します。
モデルケースでは新規契約でauと契約し、利用する機種はiPhone8の64GBとします。
各種オプションや下取りサービスや家族割引サービスなどは考慮せず、基本プランは2年縛りのあるauピタッとプラン(シンプル)を選択します。
この場合ケースで2年間利用する場合のコストですが、端末代金が毎月税込みで3,810円かかり、利用したパケット通信量を1GBまでとして使い続けた場合の月額基本使用料は3,218円となり、毎月発生するコストは7,028円(税込み)となります。
つまりauと契約してiPhone8を利用した場合の2年間のコストは
7,028円×24ヶ月=168,672円(税込み)
となります。
ちなみに3年間利用した場合のコストについては、機種代金が不要となるので、
3,218円×12ヶ月分の利用料が上乗せされ、総額は207,288円となります。
SIMフリーのiPhoneを格安SIM(イオンモバイル)で2年間運用した場合のコスト
続いてアップルストアでSIMフリーのiPhone8を購入し、格安SIMで利用した場合のコストについて試算していきます。
auで試算した際には毎月のパケット通信量が常に1GBまでとなるようにしていますし、無料通話分がないプランを選択しているので、格安SIMも同様に毎月のパケット通信量が1GBであるイオンモバイルの音声1GBプランをモデルケースとし、通話定額オプションなどは一切加入無しとします。
2018年6月時点でアップルの公式オンラインストアを確認しますと、SIMフリーのiPhone8(64GB)は78,800円+税となっているので、初期費用として端末代が85,104円(税込み・送料無料)と計算できます。
イオンモバイルの音声1GBプランの月額基本使用料は税込みで1,382円となっているので、これらのコストから2年間の総費用を計算すると次のようになります。
85,104円+1,382円×24ヶ月=118,272円(税込み)
auと契約した場合の2年間のコストは168,672円でしたからSIMフリーモデルを購入してイオンモバイルで運用した方が2年間で50,400円もお得になることがわかります。
さらにイオンモバイルで3年間利用した場合の総費用はは1,382円×12ヶ月間の利用料が上乗せされ、134,856円となります。
auの3年間の総費用が207,288円でしたから、3年間利用した場合には差額はさらに広がり、イオンモバイルで運用した方が72,432円もお得になることがわかります。
iPhone8はリリースされて間もない機種ですし、丁寧に使えば3年から4年は使い続けることができます。
一つの端末を長く使い続ければ使い続けるほど格安SIMのお得さが際立つことがわかったので、iPhone8を長期間利用しようと考えている場合には大手携帯キャリアと契約するよりもSIMフリーモデルを格安SIMで運用したほうが絶対的にお得です。
大手携帯キャリアの「端末半額オプション」の落とし穴
大手携帯キャリアが近年サービス提供を始めた「格安スマホ潰し」に関連するサービスとして、ライトユーザー向けのシンプルなプラン以外に加えて注目を集めているのが端末が半額で購入できるオプションです。
auの場合ですと「アップグレードプログラムEX」という名称で端末を半額で購入できるサービスが提供されています。
このオプションに加入すれば一見するとiPhone8の端末代が安くなるように感じられるため、このオプションに加入しようとする人も多いでしょうが、安易には加入しないことをおすすめします。
なぜならば「アップグレードプログラムEX」の場合、端末の分割支払いが24回ではなく48回となるため、このオプションに加入すると2年縛りではなく実質的に4年縛りとなってしまうからです。
また「アップグレードプログラムEX」では24ヶ月経過後に直ちに機種変更をした場合にはお得となる一方で機種変更をせず48ヶ月同じ端末を使い続けた場合には、毎月オプション料を支払っているため逆に損をすることになります。
そして、この「アップグレードプログラムEX」では機種変更時に端末をauに返却する必要があります。
返却義務がある契約であるため、実質的には端末を『購入』するのではなく『リース』しているのと同じと捉えられます。
さらに言えば端末を返却する際に本体や液晶画面に汚れや割れなどがあった場合には故障時利用料として20,000円を追加で支払う必要があります。
そのため「アップグレードプログラムEX」を利用する場合には端末を徹底的にガードして丁寧に扱わなければならないというプレッシャーを受けることにもなるのです。
まとめ
大手携帯キャリアでは格安スマホに対抗してライトユーザー向けの安価なプランや端末が半額で購入できるオプションなどの取り扱いをはじめました。
しかし、その詳細を確認してみると、格安SIMに比べると基本使用料が高い上に契約の縛りがきついため、あまり魅力的なプランとは言えない内容となっています。
特に端末半額オプションに関しては、実質的には端末をリースすることになり、契約の縛りもキツくなることをよく理解して、利用する際には慎重に判断する必要があります。
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