人間と猫は昔からずっと、切っても切れない関係です。
今はペットとしてですが昔は養蚕も盛んで、蚕や食物をかじるネズミ退治のために猫と暮らしてきました。
『お蚕様』と言われ蚕を神様として崇め、そのお蚕様を守る猫も神様として崇めていたんですね。
いろんな動物の恩返しも聞きますが、『猫の恩返し』もあります。
自由で奔放な印象の猫ですが、飼い主が大好きで飼い主のために頑張った子もたくさんいます。
逸話も合わせて、全国各地にたくさんある『猫神社』『猫寺』をご紹介したいと思います。
関東方面の『猫神社』『猫寺』
今戸神社
東京都台東区にある今戸神社は『招き猫発祥の地』として知られています。
ここに住んでいたお婆さんが、貧しさのあまり飼っていた愛猫を手放してしまいます。
すると、愛猫が夢に出てきて「自分の姿を人形にして売れば幸せになれるよ」とおばあさんに伝えたのでした。
おばあさんが愛猫に言われたように猫の姿の人形を作って売ると、あっという間に評判になって招き猫は大繁盛したそうです。
これが『招き猫』発祥のお話と言われています。
阿豆佐味天神社(あずさみてんじんじゃ)
この神社も東京都内の立川市にあります。
別名『ねこ返し神社』と言われている不思議な力のある神社です。
昔有名なジャズピアニストが飼っていた猫が家を出ていなくなってしまった時に、この神社で「猫が帰ってきますように」とお願いしました。
すると探しても探しても見つからなかった猫が自分で帰ってきたのです。
その後も何度かいなくなったそうですが、お参りすればちゃんと帰ってきました。
それを雑誌に掲載したことがきっかけで、猫好きの方がたくさん訪れるようになったそうです。
境内にはジャズが流れていて、狛犬の代わりに狛猫がいるという変わった神社です。
猫神社
宮城県石巻市の田代島は『ねこ島』として有名です。
そこにある神社が『猫神社』。島の宝100景にも選ばれました。
田代島では、猫の行動を見てその日の漁の良し悪しを判断していたそうです。
昔、漁に使う岩が崩れてその下敷きになって死んでしまった猫がいたそうです。
可哀想に思った人がその猫を弔ったところ、漁に出たら大漁になり海での事故なども無くなったのだとか。
それからこの猫を神様として祀るようになったと言われています。
住吉神社
東京都青梅市、青梅村の総鎮守である『住吉神社』の階段近くに小さな祠があり、そこでは『阿於芽猫(あおめねこ)』という猫の神様を祀っています。
神社を建立してすぐの頃、供えられている食べ物を齧ったネズミを猫が退治して守ったことから祀られるようになったと言われています。
豪徳寺
東京都世田谷区にある豪徳寺には、江戸時代の大名『井伊直孝』と猫に関する逸話が残っています。
猫に誘われて門の中に招き入れられたおかげで、雷雨を避けられただけでなく和尚さんの法話を聞くことが出来たととても喜んだのだそうです。
井伊直孝を救った猫をモデルに作られたのがあの有名なゆるキャラ『ひこにゃん』だそうです。
関西方面の『猫神社』『猫寺』
金毘羅神社・木島神社(このしまじんじゃ)
京都府京丹後市にある金毘羅神社内に、木島神社はあります。
ネズミ退治のため養蚕業に携わる人たちに崇められた猫が祀られています。
ここにも狛犬のかわりに狛猫がいます。
『あ』『うん』の狛猫ですが、『あ』の猫は仔猫と一緒の像です。
可愛くて珍しいですね…ぜひ見たいです。
またここでは養蚕→蚕→絹ということで『シルクパウダー』を使った手作りクッキーを販売しているそうです。
王子神社
徳島県八万町の王子神社には『正義のにゃんこ』が祀られています。
数百年前、無実の罪で捕まえられてしまった『お松さん』
お松さんはなんと冤罪で処刑されてしまいます。
お松さんの愛猫『お玉』は飼い主の無念を晴らすために、お松さんに罪を被せた人たちを祟りました。
そして、お玉の怒りを鎮めるために『お松さん』と『お玉』の霊を祭ったのだそうです。お玉は飼い主の敵討ちをした正義のにゃんこと呼ばれるようになりました。
梅宮大社(うめのみやたいしゃ)
子宝・安産にご利益のある梅宮大社は、京都府京都市にあります。
境内や庭園には15匹の猫がいて、宮司さんの飼い猫だといいます。
病気のため避妊手術を断念した雌猫のミーちゃんが約10年で60匹ほど出産したことから、子宝・安産にご利益があるとされています。
たくさんいる猫ちゃんは、納経所やおみくじの箱の上でのんびりお昼寝をしていたり、人に撫でられても平気なおとなしい子ばかりでした。
宮司さんのお話によると、お昼寝中の猫を起こしたり抱っこしたりせず、ありのままにくつろいでいる姿を見てほしいとのこと。
猫ちゃんのためにも、そっとしておいてあげましょう。
九州方面の『猫神社』『猫寺』
仙巌園(せんがんえん)・猫神神社
鹿児島県鹿児島市にある仙巌園は、薩摩藩主『島津義弘』の別邸跡だそうです。
広い敷地の奥に『猫神神社』はあります。
豊臣秀吉の朝鮮出兵の時、島津義弘が7匹の猫を連れて行ったそうです。
猫の瞳孔の開き具合で時間を確認するためだったとか。
その時連れて行った猫の中で無事生還した2匹の猫を祀っています。
愛猫長寿祈願や供養のための祭事が行われているのだそうです。
福良天満宮・福良赤猫社(ふくらてんまんぐう)
大分県臼杵市にある福良天満宮の境内の一角にあるのが、赤猫社です。
商売繁盛や家内安全にご利益があり、福を招くと言われています。
赤い招き猫がたくさんいて、赤く塗られた石に猫の絵が描かれているものもあります。
そしてここの御朱印はかなり可愛くて有名です。
猫や肉球のハンコを押してくれるんですが、御朱印帳の表紙にも赤猫がいて猫好きにはたまりません。
生善院(しょうぜんいん)(通称:猫寺)
熊本県人吉市にある生善院は、鎮魂の意味で建立されました。
無実の罪で息子を殺された母親が愛猫『玉垂(たまだれ)』に怨み言を聞かせ、自ら命を絶ちます。
それ以来猫の怨霊が現れるようになり、その霊を鎮めるために建てられたのが『生善院』だそうです。
ここも飼い主さんのかたき討ちのために出てきた猫のためのお寺なんですね。
まとめ
健気でじんわりくるお話も多く、調べているだけでもっと猫のことが好きになりました。
愛猫長寿祈願や天国へ行った愛猫供養のためだけでなく、猫ちゃんの持つ不思議な力を感じるためにも行ってみたい猫神社や猫寺がたくさんあります。
近隣に猫グッズ販売のお店があったり、猫関連のお店が集まっていることも多いようです。意外と都会にあることがわかったので、行きやすいかもしれませんね。
皆さんの愛猫ちゃんが健やかでありますように、お祈りしています。
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