足が冷えて眠れない、寒い時期はカイロが手放せない……
「冷え性」に悩まされる女性は多く、成人女性の半数以上とも言われています。
夏場でも、冷房の効いた場所にいると不調になるなど、仕事や日常生活にも支障がでてしまいますね。
さらに、冷え性がさまざまな病気の原因になったり、こわい病気がかくれている場合もあります。
たかが冷え性と放置せず、冷えの原因を見つけ出して、出来る範囲で冷え性対策を講じましょう。
今回は、男性も増加傾向の「冷え性」の詳細をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
「冷え性」のタイプは4タイプ

「冷え性」とは、寒い冬だけでなく1年を通して、手や足、下半身や全身に「冷え」を感じ、様々な症状が生じる体質のことです。
女性に冷え性が多い理由は、男性より筋肉量が少ないため、熱をつくる力が弱いからです。
また、貧血になりやすく、女性ホルモンの影響で自律神経が失調しやすい点も理由とされています。
冷え性は冷える部位により、4つのタイプに分類されます。
手足が冷えるタイプ
手足が冷えるという症状は熱を運ぶ血液が、体の末端に行き渡っていない状態です。
人は寒いと感じると、反射的に末梢の血管が縮んで、血液を体の中心に集め、体温を保とうとします。
そのため、手や足の先に血液が行き渡らず、冷たくなってしまうのです。
ストレスを抱えている人、若い女性や痩せている人、ダイエット中の人に多いでしょう。
ストレス解消を心掛け、タンパク質を中心に、しっかりと食事を摂ってください。
腰が冷えるタイプ
腰が冷えるタイプの方は骨盤周辺の血行が悪いため、腰から下が冷えます。
このタイプの冷え性は外気温の影響を受けやすいとも言われています。
デスクワークに従事する中高年の男女に多いでしょう。
長時間座り続けないように、気を付けてください。
内臓が冷えるタイプ
温かい部屋に入っても、体が冷たいと感じるときは、内臓が冷えているのかもしれません。
中高年の女性で、肥満気味の人に多いでしょう。
足のむくみや頻尿、生理痛などの症状がでることもあります。
汗をかき過ぎると体が冷えるので、厚着や食べ過ぎを控えてください。
全身が冷えるタイプ
体質や薬の副作用で全身が冷えるというタイプの方もいらっしゃいます。
このような冷え性の方は倦怠感や食欲不振が生じることもあります。
高齢者や過度のダイエットをする人に多いでしょう。
新陳代謝が衰え、体温が低下しているので、十分な栄養と保温に努めてください。
この症状は実は「冷え性」からきてるのかも

あなたを悩ますつらい症状は、「冷え」から生じているのかもしれません。
以下の症状が出ている方で「冷え」を感じている方は冷え性が原因かもしれません。
- 頭痛、肩こり、腰痛
- 頻尿、膀胱炎
- 下痢、腹痛、胃痛
- 不眠、イライラ、抑うつ
- 疲労感、作業効率の低下
- 手足の痺れや倦怠感、むくみ
- 生理不順、生理痛
- 肌荒れ、しもやけ、あかぎれ
- 顔のほてり、のぼせ、めまい
- 風邪をひきやすい
※ネットで冷え性をチェックしてみましょう。
- 薬日本堂 冷え症 タイプ別チェック https://www.nihondo.co.jp/philosophy/consultation/cold/
- セルフドクターネット 冷え性危険度チェック https://www.selfdoctor.net/check/2002_02/form.html
冷え性が引き起こす病気
冷え性は、女性特有の病気などを引き起こすと考えられています。
冷え性が引き起こすとされているのは月経不順、月経前症候群、無月経、更年期障害、不妊症などです。
また、アトピー性皮膚炎や気管支喘息、関節リウマチや膀胱炎なども冷えの影響を受けます。
さらに、「冷え性」にはこんな病気がかくれていることも

ただの冷え性だと思っていたら、こわい病気がかくれていることもあります。
これらの病気が疑われる場合は専門医を受診するようにして下さい。
「閉塞性動脈硬化症」では、加齢による脚の動脈硬化が原因で、血液が足に届かず冷えます。(循環器内科や血管外科へ)
「腰部脊柱管狭窄症」などで、下肢の神経障害が生じると、足が冷たく感じることがあります。(整形外科へ)
どちらの疾患も、歩くと腰から下がつらくなり、休むとまた歩けるようになるのが特徴です。
「甲状腺機能低下症」は、さまざまな病気が原因で甲状腺ホルモンの分泌が低下している状態です。
新陳代謝が衰えるため、体温が低下して冷えを強く感じます。
疲れ易く、元気がなくなり、むくんだり毛が抜けることもあります。(代謝内分泌内科へ)
その他、膠原病により血管炎を起こす病気(多発性動脈炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、レイノーなど)でも、血行が悪くなり冷えます。(膠原病内科へ)
冷え性の原因は?

ここからは冷え性の原因についてみていきましょう。
原因を取り除くことによって冷え性が改善することもあります。
ご自身の冷え性の原因について考えてみましょう。
自律神経の不調
体温を調整する自律神経が、ストレスや生活習慣の乱れなどで不調になると、血流が悪くなるため、全身に熱を運べなくなります。
カフェインの摂り過ぎや喫煙は、交感神経を興奮させて、末梢の血行を阻害します。
生活習慣を正し、生活リズムを正常に戻すことで冷え性が改善することもあるでしょう。
筋肉量の低下
運動不足や加齢などで、血液を送るポンプの働きをする筋肉が弱くなると、血行が悪くなります。
筋肉量が減ると、熱をつくる力が弱くなり、基礎代謝が低下します。
筋肉量が少ない方は簡単なことからでも良いので筋肉のトレーニングをしてみると良いでしょう。筋肉量がアップすることによって冷え性が改善することもあります。
低血圧
低血圧の人は、末梢まで血液を届ける力が弱いため、手足が冷えるなどの冷え性になることがあります。
こちらも適度な運動(ウォーキングやジョギングなど)で改善することがありますので、適度な運動を心がけましょう。
貧血
貧血になると、細胞が酸素不足のため栄養の燃焼が不完全になり、体を温める力が弱くなります。
貧血の方は食事療法が有効です。タンパク質の豊富な食事を心がけて3食きちんと食べるようにしましょう。
そして鉄分が豊富なレバー、ほうれん草、ひじきなどを積極的に摂るようにしましょう。
その他
薄着、冷たい物の飲み過ぎや食べ過ぎ、無理なダイエットも冷え性の原因となります。
そして、水分の摂り過ぎや汗をかかない生活は、余分な水分が溜まり体が冷えるのでよくありません。運動不足の方は適度な運動を心がけましょう。
また、アルコールは血管を拡張させるので、体から熱が逃げてしまい、体温が低下します。アルコールの飲みすぎにも注意が必要です。
冷え性の対策は、身体を冷やさないで温める!
「冷え性」の対策としては、服装や食事、住居環境など日常生活の見直しから始めてください。
自律神経を整え、血行や代謝がよくなるような生活習慣を身につけ、冷え性の体質を少しずつ改善しましょう。
服装で身体を温める
冬の寒さや夏の冷房による冷えには、防寒着や着脱しやすい上着で対応しましょう。
特に下半身や首周りは、冷やさないように気を付けてください。
素材は適度に通気性や、吸湿性のあるものがよいでしょう。
寒いときは、カイロをお腹や背中に当てると、全身が温まるのでおすすめです。
食事で身体を温める
冷え性の人は、できるだけ温かい飲食物を口にするようにしてください。
起床時は体温や代謝が低下しているので、温かい朝食をとり、体温を上げましょう。
料理は、体を温める食材を積極的に使いましょう。
ショウガや香辛料、冬野菜、色の濃いもの、根菜類などが体を温めてくれますので、おすすめです。
- ゴボウ
- ニンジン
- レンコン
- カブ
- リンゴ
- ブドウ
- サクランボ
- 黒砂糖
- 黒豆
- ヒジキ
- 紅鮭
- 海老
- 卵
- シナモン
- カリン
などが冷え性を対策する食材としてよいでしょう。
冷え性の改善に効果的とされる栄養素
血行を良くする「ビタミンE」
アーモンドなどのナッツ類、ひまわり油やべにばな油などの植物油、モロヘイヤやカボチャなどの緑黄色野菜、うなぎやはまちなどの魚介類に多く含まれるビタミンEは血行を良くしてくれますので、冷え性に効果的な栄養素です。
代謝を上げる「ビタミンB群」
ごまや玄米などの穀類、イワシやマグロなどの魚介類、レバーや赤身肉など肉類、納豆や豆腐などの大豆食品、バナナやイチゴなどの果物に多く含まれるビタミンB群は代謝をあげてくれますので、冷え性に効果的な栄養素です。
貧血を改善する「鉄分」
レバーや赤身肉などの肉類、カツオやあさりなどの魚介類、ほうれん草やインゲン豆などの野菜、ヒジキなどの海藻は鉄分が豊富に含まれています。
鉄分は貧血を改善するのに不可欠な栄養素ですので、貧血ぎみで冷え性の方は鉄分を多く摂るように心がけましょう。
食事中は、よく噛むと脂肪が燃焼して、体温が上がります。
噛む動作は、心身をリラックスさせる効果もあるので、冷え性の改善におすすめです。
栄養バランスのとれた、規則正しい食事を心掛けてください。
身体を冷やさないように室温に気を付ける
寒暖の差は、自律神経のバランスを崩し、冷え症の原因になります。冷暖房機を使うときは、室内外や屋内外の気温差に配慮しましょう。
とはいっても部屋を暖かくしておくことは冷え性の対策としては必要です。
ホットカーペットやコタツ、エアコンなどを利用して部屋を暖かくして下さい。
生活習慣の見直し
適度な運動で筋肉を動かすと熱が発生し、血行不良が改善します。
さらに、筋肉量が増えれば、基礎代謝も向上します。
運動が苦手な人は、階段を使ったり、速足で歩くなど、日常生活で体に少し負荷を加えるように心掛けるとよいでしょう。
ぬるめのお風呂(40度以下)にゆっくり浸かると、筋肉がゆるんで末梢の血管も拡張するので、血行が良くなり手足の冷えが改善されます。
入浴後は、湯冷めに気をつけてください。
冬は電気毛布や敷布より、湯たんぽなどで足だけを温めたほうが、冷え症改善に役立ちます。
足を締め付けない、ゆるめの靴下を履いて寝てもよいでしょう。
趣味やスポーツなどでストレスを解消し、規則正しい生活を送ることで、バランスをくずした自律神経を整えましょう。
漢方医学で冷え性治療
「冷え体質」の改善には、漢方治療がおすすめです。
血や気の不足、血や水分の滞りを正すことで、体の機能を回復させ、冷え性の症状を軽減します。
漢方の治療では、患者さんの体質や症状、脈や舌、お腹の状態などから診断し、漢方薬が処方されるでしょう。
ツボ刺激で冷え性対策

冷え性のツボ療法は、何時でも何処でもできる、おすすめのセルフケアです。
上手に活用して冷え性の対策をしましょう。
せんねん灸などを利用してじっくりツボ療法を試してみても良いでしょう。
手足の指を直接刺激する
- 井穴(せいけつ):手指の爪の生え際で、両脇の2点のツボ(各指)
- 指間穴、虎口(ここう):手の甲側で、指と指のつけ根の間、指の股
- 八風(はっぷう):足の甲側で、各指の股
反対の親指と人差し指でツボをはさみ、少し強めに10回押しもみます。
最後に指先に向かって引っぱってから、パッと離すと、より効果的です。
ツボ刺激を繰り返すことで、冷えた手足が温まってくるでしょう。
冷え性のツボをじっくり刺激する
足が冷える
- 湧泉(ゆうせん):足裏の中心よりやや指寄りで、指を曲げるとできるくぼみ
- 三陰交(さんいんこう):内くるぶしの中心から指幅4本上の、骨のきわ
腰から下が冷える
- 腎兪(じんゆ):起立時の肘の高さの背骨の中心から、指幅2本外側
- 志室(ししつ):腎兪から外側へ、指幅2本
- 八髎穴(はちりょうけつ):腰骨の下で骨盤の中心にある仙骨の、8つのくぼみ
- 太谿(たいけい):内くるぶしのすぐ後ろ、骨とアキレス腱の間のくぼみ
全身や内臓が冷える
- 中脘(ちゅうかん):おへその上、指幅5本上がったところ、おへそとみぞおちの中間点
- 天枢(てんすう):おへその両脇、指幅3本外側
- 気海(きかい):おへそから、指幅2本下
- 関元(かんげん):おへそから、指幅4本下
痛気持ちよい程度の強さで、ゆっくりと3秒間押して、ゆっくりと離してください。
心地よくひびくツボを、3~5分ほど繰り返し押してみましょう。
冷え性のツボを「せんねん灸」のような温灸で、じっくりと温めるツボ療法もおすすめです。
特に「湧泉」は足の冷えに速効性があるので、ぜひお試しください。
※ツボ治療で症状が悪化するときは、中止してください。
冷えを「万病のもと」にしないために
古来より「冷えは万病のもと」と言われるように、冷え性はさまざまな症状や病気の原因になります。
冷え性ぐらいと軽くみないで、しっかりと対処することが、病気の予防につながります。
近年、女性に限らず男性や高齢者にも冷え性が増えてきたのには、現代社会のストレスや運動不足が関与しているのでしょう。
冷え性は、体質だけでなく自律神経やホルモン、生活習慣などの影響も強く受けます。
特に生活習慣では、衣食住の改善が冷え性対策に有効ですので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
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