部下が仕事の失敗で落ち込んでいる場面を見かけることがあるでしょう。
多忙などを理由に励ますことなく放置していると、部下は見捨てられたと思い込み、上司への不信や不安を抱きます。
かといって安易に励ますと、
「何もわかっていないくせに、知ったかぶりしないでほしい」
などと思われ、かえって部下を傷つけます。
そうなると、関係が悪化してその後の仕事にも支障をきたしかねません。
つまり、励ます必要はあるものの、励ます方法が難しいので、上司としては対処に悩むのです。
そこで、仕事の失敗で落ち込んでいる部下への対処に困っている上司に向けて、上手に励ます3つの方法をご紹介します。
自分の接し方を少し変えるだけで、部下も前向きに行動出来るようになるので、ぜひ実践してみてください。
1.やってはいけないことを念頭に置いておく
上司は部下より仕事ができるので、つい自分のレベルで安易に励ます傾向にあります。
しかし、そのレベルにないからこそ失敗したのに、安易に励まされると、部下は一層自信喪失するでしょう。
そうならないためにも、励ます前に、やってはいけないことを念頭に置きましょう。
まず「部下が大変なのはよくわかる。自分もそうだったから」などと、わかったつもりにならないことです。
時代も環境も性格も違うのに、部下が何にどう落ち込んでいるのかわかるはずがありません。
それを自覚し、知ったかぶりして近づいたりしないことが大切です。
また、安易なダメ出しも厳禁です。
「前も同じ失敗をしたじゃないか」
「〇〇さんに比べてどうして君は出来ないのか」
などと説教すると、ただですら落ち込んでいるのに、より一層追い込むことになるだけです。
さらに、一方的なアドバイスもやめるべきです。
自分の経験則に照らして「こういう場合はこうしろ」などと教え込むと、部下は心のもやもやを解消出来ないまま対策を押し付けられるので、余計にストレスをため込んでしまいます。
2.まずは聞き役に徹して、部下の気持ちを外に出させる
上記のように、知ったかぶりせず、安易なダメ出しや助言を控えるにしても、そのうえで実際に、落ち込んでいる部下にどう接して励ますかが問題になります。
まずは、落ち込んでいる部下の様子をさりげなく観察します。
そこで、しばらくそっとしておいてほしいように見えたら、声をかけずに黙って見守るだけにしましょう。
その後様子を見続けていて、話を聞いてほしそうで、励ますことを求めている感じがしたら、
「どうかした?」
「よかったら話を聞くけど」
などと、押しつけがましくなく聞く姿勢を見せます。
そこで「実は……」などと言って相談を持ち掛けてきたら、それに応じます。
その際、まずは聞き役に徹して、相槌を打ったり、自然に質問を投げかけたりして、部下の気持ちを外に出させようとします。
その際、どういう失敗をしたのか、なぜそうなってしまったのか、本来はどうすべきだったのかなど、今後の方針を導き出せるように、わざとらしくない形で誘導していくと効果的です。
3.部下の中から自然と答えを引き出す
上記のように聞き役に徹してあげていると、それだけでも部下は落ち込んでいる状態から徐々に快方に向かうでしょう。
また、そのようにうまく質問ができれば、問題と原因をふまえて、今後の方針がおのずと見えてきます。
それに基づいて、「これからどうする?」などと問いかけます。
そうすれば、答えはすでに出ているも同然なので、「それでは~のようにします」と、部下も自分の口から主体的に方針を語れるでしょう。
このように、心のもやもやを吐き出させたうえで、自分で答えを出させることが大事です。
上司はそれに同意して背中を押すだけにします。
これにより、部下も気持ちがすっきりし、自信も取り戻せて、落ち込んでいる状態から立ち直れます。
もし自分で答えを出せそうになければ、
「私が君の立場なら~のようにするよ」
「相手の立場だったら、君に~のようにしてほしいんじゃないかな」
などと言って、ヒントを与えて励ますとよいでしょう。
あるいは、「以前似たようなケースで、君は~のようにしていたと思う」などと、過去の成功体験を思い出させて、ヒントともに自信を与えて励ますのも効果的です。
部下の気持ちに配慮しながら、自然に接することが大事
部下が仕事の失敗で落ち込んでいる時、放置するのも問題ですが、安易に励ますのも逆効果です。
内面に土足で踏み込まないようにしつつ、一方で心に寄り添うようにして、上手に励ますことが大切です。
そのためにも、やってはいけないことを念頭に置きましょう。
何に落ち込んでいるのかもわからないのに、知ったかぶりしてはいけません。
また、安易なダメ出しや一方的なアドバイスも厳禁です。
そのうえで、部下の様子を見て適切な時期に声をかけ、聞き役に徹して心の内を吐き出させます。
それを通じて、部下の中から今後の方針が自然に出てくるように仕向けます。
それが難しければ、さりげなくヒントを与えるのも一つの手です。
このように、部下の気持ちに十分配慮しつつ、自然に接することが大切です。
そうすれば、その気持ちを部下もうれしく思い、心を開いてくれるでしょう。
それで落ち込んでいる状態から立ち直ってくれれば、部下も成長して、会社と本人のためになります。
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