外反母趾の原因と治療について『テーピングとマッサージでセルフケア』







足の親指が靴に当たって痛い、親指がくの字に曲がってきた……

それは外反母趾の症状かも知れません。

 

外反母趾は以前は靴社会の欧米人の疾患でしたが、最近は日本でも急増しています。

外反母趾は進行すると関節の脱臼などを引き起こし、重症例では手術が検討される疾患です。

親指の異変に気付いたら、放置せず早めに対処することをおすすめします。

今回は、女性に圧倒的に多い外反母趾の原因と治療、そして予防にも役立つセルフケアをご紹介しましょう。

 

外反母趾は、足の親指がとなりの指側に、20度以上曲がる病気

足の親指の骨はつま先から、

末節骨(まっせつこつ)・基節骨(きせつこつ)と呼ばれ、

指のつけ根からかかとに向かって、

中足骨(ちゅうそくこつ)・足根骨(そっこんこつ)の順にならびます。

 

変形の始まりは、中足骨が内側に広がる内反と考えられています。

同時に親指(母趾)が靴先で押されて、末節骨と基節骨が体の中心から見て、外側向きに「くの字」に変形するので、外反母趾といいます。

 

やがて、親指のつけ根の関節が、内側に出っ張って靴にあたり、赤く腫れて痛むタコ(バニオン)ができます。

この出っ張りで、指先にいく神経が圧迫されると、親指にシビレや痛みがでるでしょう。

 

また、足裏の人差し指や小指のつけ根に、タコがみられることも多いです。

これは、中足骨の先端が足裏につくる横アーチがつぶれて、骨の先端が床や地面にぶつかり生じます。

 

親指の変形が進むと、足の筋肉のバランスが崩れるので、歩くと疲れやすく、足首の関節が痛んだり、変形することがあります。

また、親指がねじれて爪に負荷がかかり、巻き爪になったり、半分脱臼(亜脱臼)する場合もあります。

さらに悪化すると、親指が人差し指と中指の下にもぐり込んで持ち上げ、指のつけ根で足の甲側に脱臼してしまう症例もみられます。

 

外反母趾はさまざまな要因がありますが、原因は確定されていません

外反母趾をひきおこす要因には、先天的な内的要因と、生活習慣などの外的要因があります。

 

先天的に、親指が人差し指より長いタイプ(エジプト型)や、扁平足の人は外反母趾になりやすいと考えられています。

また、男性に比べ、関節が柔らかく筋肉の弱い女性の方が、発症しやすいです。

ちなみに、国際医療福祉大学三田病院整形外科部長の須田康文先生によると、男女比は、1:10に及ぶとのことです。

 

外反母趾患者の6~8割の人は、女性の家族(3世代)に外反母趾の人がいるとの報告があります。

足の形は遺伝子しますので、外反母趾は遺伝しやすいと考えてもよいかもしれません。

女性ホルモンの乱れも、症状を悪化させるリスクとされています。

また、関節リウマチの合併症として、外反母趾になることがあるので、朝の関節のこわばりなどがみられたら、専門医を受診しましょう。

 

外的要因としては、まず窮屈なハイヒールがあげられます。

かかとの高い靴を履くと、体重が足の前方に集中してかかり、中足骨が扇状に広がって横アーチが崩れた「開帳足(かいちょうそく)」になります。

 

広がった指を、窮屈な靴先が締め付けるので、親指は体の中心から見て外側に、小指は内側に変形していくのです。




先にゆとりのある靴が薦められますが、サイズが大きすぎたり、靴先がゆるすぎては、横アーチを支えきれないので逆効果になります。

 

また、靴を履いている時間が長く、歩く時間が短いという現代社会の生活習慣も、要因の一つでしょう。

足の筋肉が弱くなると、土踏まずや横アーチが消失して、扁平足や開帳足になりやすく、その結果外反母趾の患者が増えたと言えます。

 

運動不足や過食による肥満も、足のアーチに負担をかけるので、注意が必要です。

 

足の変形やタコ、X線で診断します

外反母趾の特徴的な症状と、立った状態(足に負荷をかけた状態)でのX線撮影で診断します。

親指の中足骨の軸と、基節骨の軸の角度で、重症度を分類しています。

 

20~30°を軽度、30~40°を中等度、40°以上を重度とします。

 

保存療法には、生活指導や装具療法などがあります

 

生活指導

靴の指導は、外反母趾の痛みを和らげる効果が期待できます。

先が細くなく、つま先に1~1.5cmほどの余裕があり、かかとが高くない靴を選んでください。

柔らかい素材で、足の指の運動を妨げない程度に先が広く、ヒールは低めの靴が薦められます。

靴ひもやストラップ、シューズベルトなどで、足の甲を固定するようにしましょう。

適正な靴は、外反母趾の予防にもなる可能性があります。

 

足への負担を減らし、外反母趾の要因となる扁平足の予防のために、減量はとても大切ですね。

足の筋力増強にもなるので、足が痛くない程度に、ウォーキングなどの軽い運動をこころがけましょう。

 

装具療法

靴の中敷き(足底板)や患部に当てるパッド、矯正用の装具などがあります。

特に整形外科で、義肢装具士がつくる、オーダーメイドのインソールは、効果が期待できます。

変形の進行予防、症状の改善、アーチの矯正のほか、歩き易くなると言われています。

医師が必要と判断すれば、立て替え払いですが、保険適用となります。(3割負担で、1万円~1万5000円ほど)

 

親指に装着するパッド、バンドやサポーター、親指と人差し指の間にはさむ矯正装具は、関節の動きが悪くなるのを予防する効果は期待できます。

ただ、その効果の持続には限界があると推測され、変形を矯正する効果については、年齢や症状により差があると考えられています。

 

運動療法

足の親指が固まるのを防ぐ目的で、関節を動かすゴム紐運動をしましょう。

  • ゴム紐を両親指にかけて、つま先を広げるように力をいれ、5~10秒間保ちます。

 

足の指を支える筋肉を鍛えるグーパー体操も有効とされています。

  1. 指を「パー」の形に開き、5秒間保ちましょう。(指を反らさないように)
  2. 次に「グー」の形を作るように、足指を5秒間丸めます。(指の付け根から曲げるように)

この動きを、10~20回繰り返しましょう。

無理せず、1日2回くらい行ってください。

 

※運動療法は、軽症例には有効ですが、進行例には運動により悪化する場合もありますので注意が必要です。担当医がいれば相談してから行うようにしましょう。



薬物療法

湿布や軟膏などの、消炎鎮痛剤を使用します。

腫れた部分への負担を軽くするパッドとの併用で、痛みを軽減する効果があったとの報告もあるので、薬物療法は試すべき治療法のひとつですね。

 

外反母趾による変形の矯正には、手術が最も効果的

 

変形が進行すると、指の筋肉が変形を悪化させるように働くため、保存療法では治癒しづらくなります。

患部の痛みがとても強く、靴を履いての歩行が困難になってきたら、手術が検討されるでしょう。

 

手術の方法は多数ありますが、主に中足骨を切断する骨切り術や、軟部組織矯正術、関節固定術などが施されます。

近年は、軽度から中等度の外反母趾に、局所麻酔下での日帰り手術(DLMO手術)も用いられています。

 

麻酔は全身麻酔が一般的ですが、術式により、腰椎麻酔(下半身のみ)や局所麻酔が選択されます。

手術時間は約1~2時間ですが、病状により変わるでしょう。

 

通常、入院期間は4~5日、術後1~3日で歩行が可能になります。

約2週間は、ギプスシーネという副木で足を固定し、患部に体重をかけないように指示されるでしょう。

骨がつくまで4~6週間、靴が履けるようになるのに約2ヵ月、完治までは約3か月ほどかかります。

 

手術により、変形は矯正されますが、親指の動きが悪くなったり、術後3ヶ月ほどは、腫れのため靴が履きづらいなどのデメリットもあります。

また、足のアーチは完全には矯正できないので、術後もインソールを使い続けなければなりません。

 

手術の問題点などを担当医とよく相談して、治療法を決定してください。

 

痛みを和らげ、歩きやすくなる外反母趾テーピング

 

外反母趾のテーピングは、親指の向きを正常な位置に近づけ、変形した部分への負担を減らします。

また、失われた足裏のアーチを補助することで、症状の悪化をコントロールする作用が期待できます。

テープは薄くて、貼ったときの違和感も少ないので、普段の靴が履けるというのも嬉しいですね。

 

少し練習すれば、自分で貼れるので、続けやすい治療法として、おすすめです。

5cm幅の伸縮性のテープ(キネシオテープなど)をご用意ください。

 

親指が少し曲がった程度の、軽い外反母趾

かかとから指先までの長さのテープを使用します。

縦に2本切れ目を入れます。(端の10cmは、切らないでください)

 

切れ目が無い方をかかとに固定し、足の内側を親指に向かって、軽く引っ張りながら、貼っていきます。

切れ目を入れた、上の2本のテープを、親指を少し広げながら、親指の下から巻くように貼りましょう。

次に、残った下の1本のテープを、軽く引っ張りながら、親指の上(足の甲側)から先のテープとクロスさせるように巻いて完成。

 

貼り始めと貼り終わりは、テープを引っ張らずに貼ってください。

指先のテープは、爪にかからないように、気をつけましょう。

親指と人差し指が、いつもより少し離れている感覚があれば、OKです。

 

親指や小指が曲がり、足裏のアーチが消失した外反母趾

4つの形のテープを使います。

アーチテープ……23cmの長さのテープを2枚

足裏横テープ……長さ20cmの両端を3cm残し、中央の辺が4cm残るように、斜めにカット

 

 

親指テープ……長さ15cmの片方の端を2cm残し、縦に2本の切れ目を入れて、3等分に

 

小指テープ……長さ8cmの両端の一辺が2cm、もう一辺が3cmになるよう、縦に斜めに切り、二つに分ける。短い端から、1cm残しの切れ目を入れる

 

まず、親指テープの切れ目のない方を足の内側に固定し、3等分した真ん中のテープを、親指を広げるように貼ります。

3等分の上のテープを親指の下側に、下のテープを上側に、クロスさせながら、貼っていきましょう。

 

小指も同様に、2等分のテープをクロスさせながら、小指に巻きつけて貼ります。

 

足裏横テープの中央を、足裏に固定し、両端を軽く引っ張りながら、足の甲まで貼っていきます。

アーチテープは、足の甲から親指側に向け固定し、軽く引っ張りながら、横アーチを復元するように、足裏から小指側の足の甲まで貼ります。

 

もう1枚のアーチテープを、足首寄りにテープ幅3分の1ほどずらして、同様に貼っていきましょう。

 

・外反母趾テーピングのご注意

テープは爪にかからないように貼りましょう。

テープの両端は引っ張らずに貼ってください。

歩いてみて、テープがきつすぎたら、貼りなおしてください。

 

そのまま入浴できますが、濡れたテープはドライヤーで乾かしてください。

長期間貼る場合が多いので、かぶれを防ぐため、2~3日貼ったら、1日休みましょう。

お湯で濡らすと剥がしやすくなります。

皮膚を押さえながら、優しく剥がしてください。




・詳しいテープの貼り方は、コチラをご覧ください。

1975年から外反母趾などの治療を手掛ける、笠原 巌氏のホームページです。

http://www.ashiuratengoku.co.jp/002file/04/

 

マッサージは、外反母趾の回復を助けてくれます

 

足のアーチが崩れ、機能が低下してしまった足の筋肉は、弱く硬くなっている場合が多いです。

これらをほぐして、柔軟性をもたせることで、関節の動きをよくして、変形の矯正や筋肉の増強を助けます。

 

まずは、ふくらはぎとすねのマッサージから始めましょう。

軽く痛みを感じる程度の力でもんだり、押して気持ち良くひびく箇所をゆっくり押してください。(3~5秒間を5回)

次に、足の甲にある、指の骨の間を押したり、円を描くようにもみましょう。

さらに足の内側、親指の付け根から、かかとに向けて押していきます。

最後に足の裏をまんべんなく、丁寧にマッサージして終了です。

 

親指の周辺は慎重にマッサージし、痛みが強くなったら中止してください。

グーパー体操の筋トレの前に、足のマッサージや指のストレッチを行うと、より効果が期待できますよ。

 

最後に

 

痛い足をかばっていると、ほかの関節にも負担がかかり、足首や膝、腰などを傷めることがあります。

足の親指が曲がってきたり、指の付け根が腫れて痛むときは、なるべく早く整形外科を受診しましょう。

できれば、近隣の「足の外科」の病院で診てもらうことをおすすめします。

※「足の外科」の病院・医師 http://www.jssf.jp/general/hospital/index.html

 

外反母趾の患者さんの多くは、土踏まずが低下した扁平足や、横幅の広い開帳足になっています。

足裏の縦と横のアーチ構造の破綻が、外反母趾の大きな要因であると考えてよいでしょう。

足のアーチを保つには、靴の選択はもちろん、適切なインソール、そして足の筋トレや体重管理も重要ですね。

痛みを和らげ、予防にもなるセルフケアを、病院の治療とともに、ぜひお試しください。












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