頭が重い、締め付けられるようだ、ズキンズキン痛む、目の奥まで痛い……
とてもつらい頭痛に悩む患者数は、推定4000万人(片頭痛は840万人・日本頭痛協会HPより)といわれています。
たかが頭痛と軽視されがちですが、生活に支障をきたしたり、怖い病気が隠れている場合もあります。
まずは頭痛の原因や症状を知り、セルフケアが可能な頭痛には、効果的な解消法をご紹介しますので試してみてください。
頭痛のタイプは、数十種類 !?

頭痛は、病気が原因の頭痛(二次性頭痛)と、そうではない頭痛(一次性頭痛、頭痛持ちの頭痛)に大別されます。
一次性頭痛は
- 偏頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛と三叉神経・自律神経性頭痛
- その他の一次性頭痛
の4つに分類、それぞれはさらに細かく分類されます。
ここでは、患者数の多い偏頭痛と 緊張型頭痛について、詳しく説明していきましょう。
偏頭痛の症状と治療
片側(時には両側)の、こめかみから目にかけて、ズキンズキンと脈うつような痛みが、数時間から2〜3日間続きます。
音や光、においに過敏になったり、吐き気や肩こり、めまいを伴うことも。
ストレスや疲れから解放されたときに起きやすく、睡眠不足や人混み、気候の変化や気温差、赤ワインやチーズ、生理などもきっかけとなります。
キラキラやギザギザの光見えたり、半身の脱力やしびれ感、言語障害などの前兆があらわれる場合があります。
階段の昇降など日常的な動作や運動により、症状が悪化することが、偏頭痛の特徴でしょう。
薬物療法(鎮痛、制吐、降圧、抗てんかん、抗うつ薬など)、はり治療などが施され、暗所での安静や、患部の冷却がすすめられます。
日常生活では、睡眠など規則正しい生活を心がけ、ストレスを溜めないように気を付けましょう。
赤ワインやチーズ、アルコール類を控えるのも、予防になりますよ。
緊張型頭痛の症状と治療

後頭部と頭の両側、あるいは頭全体に、しめつけられるような痛みが起きる、一番患者数の多いタイプの慢性頭痛です。
首や肩のこり、めまいなどを伴い、長時間の下向きや無理な姿勢、運動不足や不安、ストレスなどがきっかけとなります。
薬物療法(消炎鎮痛、抗うつ、抗不安、筋弛緩薬など)、鍼灸やマッサージ、ストレッチや温熱療法が施されます。
予防には、ストレッチなどの運動療法や入浴による温熱療法などで、首肩の筋肉の緊張をを和らげることと、ストレス解消が重要でしょう。
こんな頭痛には、要注意!
頭をぶつけたり、コンタクトスポーツ(ラグビー・サッカー・柔道・ボクシングなど)のあと、頭痛が続く。
硬膜下血腫や硬膜外血腫、小さな脳挫傷や頸椎捻挫などが疑われる場合があるので、頭部CT検査などの画像検査を受けましょう。
高齢者や大酒家が、頭をぶつけてから、1~3ヶ月後に頭痛が発生。
慢性硬膜下血腫の場合があので、頭部CT検査を受けたほうがよいでしょう。
頭痛や嘔吐があり、半身の手足の動きが悪い時は、必ず検査を受けてください。
今までに感じたことのない、突然の強い頭痛。
クモ膜下出血が疑われますので、大至急、頭部CT検査を受けましょう。
1/3の人が、病院に行くまでに亡くなってしまう、怖い病気です。
就寝時頭痛があり、起床後数時間で軽減する頭痛。
手足が動かしづらい、話しづらい、、忘れっぽい、目が見えにくいなどの症状を伴う場合は、脳腫瘍が疑われます。
首の後のから、後頭部にかけての激痛。
動脈解離(特に椎骨動脈)が疑われます。
めまいや声がかすれて物が飲み込みにくい、感覚がおかしいなどの症状を伴う場合は、神経内科や脳神経外科を受診しましょう。
50歳以上で、こめかみの痛みが続く。
微熱や全身倦怠感、手足の痛み伴う場合、側頭動脈炎の疑いがあります。
後頭部や耳、顎などが痛くなることもあるので、ご注意ください。
頭痛解消に、指圧・マッサージでツボ治療

頭痛のツボを、指圧やマッサージで、刺激しましょう。
指圧は、ゆっくりと押して、痛気持ち良い強さで3~5秒保ち、ゆっくり離します。
マッサージは、適度な圧をかけて、円を描くように回しもみましょう。
押す力が強すぎたり、時間が長すぎると、痛みが増すことがあるので、ご注意ください。
特に片頭痛は、弱い刺激から始めたほうが良いです。
途中で症状が悪化したら必ず中止して、痛いのを我慢して続けないようにしましょう。
片頭痛には、このツボ
- 風池(ふうち)……後頭部の髪の生え際で、首の後ろの大きい筋肉の、外側4cmのくぼみ(強くもまないでください)
- 曲池(きょくち)……肘の内側にある横じわの、親指側の先端
- 足三里(あしさんり)……膝のお皿の下、外側にあるくぼみから、指幅4本下がったところ
- 陽陵線(ようりょうせん)……膝の外側で、お皿の下にある、丸く飛び出した骨の真下
- 崑崙(こんろん)……足の外くるぶしのすぐ後ろ、くぼみの中
- 足臨泣(あしりんきゅう)……足の薬指と小指の骨が合わさるところ(足の甲側、2本の骨の間を押すと即効性があります)
緊張型頭痛には、このツボ
- 天柱(てんちゅう)……後頭部の髪の生え際で、首の後ろにある大きい筋肉の外側きわ
- 風池(ふうち)……後頭部の髪の生え際で、首の後ろの大きい筋肉の、外側4cmのくぼみ
- 肩井(けんせい)……首の後ろの大きい骨と、肩先を結んだ線の中央
- 合谷(ごうこく)……手の親指と示指の骨が合わさる、手の甲側でやや示指より
- 後谿(こうけい)……手を軽く握った時にできる、手の側面の小指側のでっぱり
- 崑崙(こんろん)……足の外くるぶしのすぐ後ろ、くぼみの中
痛む部位別、特効ツボ
- 百会(ひゃくえ)……頭頂部、左右の耳を真上で結ぶ線と鼻の延長線が交差する点(中指で2~3分)【全頭痛】
- 全頭点(ぜんとうてん)……親指と示指を広げた時に、手の甲にできる水かきの親指のつけ根 突き出た骨のすぐ下(親指で3~5分)【全頭痛】
- 太陽(たいよう)……こめかみの中央(中指で30回押しもみ)【側頭痛】
- 完骨(かんこつ)……耳の後ろの突き出た骨から、生え際に向かい、くぼんだところ(親指で3~5分)【前頭痛】
- 第3頸椎点(だいさんけいついてん)……盆のくぼ(うなじ中央のくぼみ)の下で、突き出た骨から1つ下がった骨の両脇くぼみ(中指で3~5分)【後頭痛】
トリガーポイント治療で、頭痛解消!
トリガーポイント(TP)とは、筋肉にある硬結(しこり)で、押すと他の部位にひびく、治療点のことです。
- 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)……耳の後ろの突き出た骨と、鎖骨・胸骨をつなぐ、首の横の筋肉(TP:突き出た骨の1横指下、筋肉の中央、鎖骨の2横指上)【前頭痛・側頭痛・頭頂痛・後頭痛】
- 眼輪筋(がんりんきん)……目のまわりのくぼみの周囲 (TP:目のくぼみの上縁)【前頭痛】
- 前頭筋(ぜんとうきん)……額にある筋肉(TP:目尻からまっすぐ上に上がり、髪の生え際の少し後ろ)【前頭痛】
- 後頭下筋群(こうとうかきんぐん)……後頭骨の直下 (TP:後頭骨のきわの圧痛点)【側頭痛】
- 側頭筋(そくとうきん)……こめかみ(TP:目の外端から3~4横指)【側頭痛】
- 僧帽筋(そうぼうきん)……肩をすくめた時に緊張する、首から肩の大きい筋肉(TP:首の骨と肩先を結んだ線の中央)【側頭痛・後頭痛】
- 板状筋群(ばんじょうきんぐん)……首の後ろで、首を反らすと緊張する大きな筋肉(TP:筋肉の中央、1横指外方)【頭頂痛・後頭痛】
TPを目安に、筋肉をさぐり、頭にひびくポイントを見つけましょう。
押す角度を変えたり、筋肉をつまんでみると、探しやすいですよ。
トリガーポイントを見つけたら、痛気持ち良い程度の強さで、
「3~4秒押して、パッと離す」
を数回繰り返します。
上記の方法で、効果がみられない時は、次の方法をためしてみてください。
トリガーポイントを適度な圧で「30秒間押して、パッと離す」を2~3セット、1日数回行います。
途中で、頭へのひびきが弱くなったら、わずかに押す力を増してもよいでしょう。
頭痛が軽減するようでしたら、毎日続けてみてください。
トリガーポイントを押した後に、軽くストレッチをすると、より効果的といわれています。
頭痛には、このストレッチがおすすめ

頭痛学会おすすめの「頭痛体操」をぜひ、試してみてください。
首や肩の筋肉の緊張を和らげるストレッチ体操は、偏頭痛や緊張型頭痛に有効です。
腕を振る体操(2分間)
足を肩幅に開いて立ち、肘を曲げて左右に開き、胸の高さまで上げます。
そのまま頭をなるべく動かさず、頸椎を軸にして、肩と肘を左右にゆっくりと回しましょう。
顔は正面を向いたまま、腕の力を抜き、肩を前に突き出すように、体を回してください。
イスに腰掛けて、体操をしても効果がありますよ。
肩を回す体操(前後、各6回)
足を肩幅に開いて立ち、肘を曲げて指先で肩に触れます。
そのまま、肩を前後にゆっくりと回しましょう。
回すコツは、前回しはリュックサックを背負うように、後回しは洋服を脱ぐように意識してください。
楽に体操できる人は、指先を肩から離して、大きく肩を回しても良いでしょう。
※激しい頭痛がある時や発熱時、体操の途中で痛みが増悪した時は、体操をしないでください。
※体操のイラストはコチラ:頭痛体操http://www.jhsnet.org/pdf/zutu_taisou.pdf
筋膜リリースも有効
首のストレッチは、頭を前後や左右に倒したり、左右に振り向き、気持ちよいところで、10~20秒保ちます。
また、肩や肩甲骨を動かすストレッチに、筋膜リリースを取り入れると、より効果的でしょう。
左の首肩の筋膜リリースの方法
まず右手を左肩の上に置き、左肩が上がらないよう気を付け、首をゆっくり右へ倒しましょう。
倒す角度は、無理せず、痛みを感じない程度にして下さい。
次に、耳を右肩の前方に出すように、首を左側に捻ります。
20秒くらい保ってから、今度は鼻を右の肩先に近づけるように、首を右側に捻りましょう。
同様に反対側も、呼吸は止めず、痛みを我慢して捻らないように気を付けて行います。
ジワーと伸ばすのが基本ですが、曲げながら小刻みに動かす方法も有効ですので、お試しください。
肩甲骨まわりの筋膜リリースの方法
背中を丸めないように気を付け、両手をゆっくりと前方へ伸ばします。
遠くの物を取る感じで、筋膜をしっかり伸ばしていき、20秒保ちます。
次に両肘を90度に曲げながら、胸を開くように、肘を後方に引いていきましょう。
肘が下がらないように気を付け、両方の肩甲骨を近づけます。
そのまま、両手を起こして降参のポーズ、次にゆっくり、手を上げて万歳してください。
万歳と降参を、数回繰り返して、終了です。
※動画はコチラ:NHKためしてガッテン http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20150909/index.html
※首のストレッチは、偏頭痛を悪化させる場合があるので、症状の変化をみながら、慎重に行ってください。
まとめ
腰痛や肩こりと並び、国民病ともいえる頭痛ですが、残念ながら受診率が低い疾患でもあります。
「頭痛ぐらいで病院はちょっと」と思われるかもしれませんが、怖い病気のサインの場合もあります。
これまでに経験がない激痛、急に起こり短時間で悪化する頭痛、熱があり手足の麻痺やしびれを伴う時は、躊躇せずに専門医を受診しましょう。
慢性頭痛の場合も、近年は細分化されて、それに対応した治療法が施されています。
頭痛専門医は、736名(2011年)と十分ではありませんが、神経内科、脳神経外科、頭痛外来などを受診してみては如何でしょう。
通院時は、症状を正確に医師に伝えるため、頭痛ダイアリーの使用をおすすめします。
※認定頭痛専門医一覧 http://www.jhsnet.org/ichiran.html
※頭痛ダイアリー http://www.jhsnet.org/dr_medical_diary.html
日常生活での予防や運動、セルフケアも頭痛を和らげる助けになるので、病院での治療と併せて試してみてください。
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