こんにちは。ボードゲーム愛好歴20年のシグルンです。
今回ご紹介するのは『ヘヴン&エール』です。
このボードゲームは2017年のエッセンシュピールのスカウトアクションで6位を取った作品で、アンドレアス・シュミットとミヒャエル・キースリングの熟練コンビがデザインしております。
ミヒャエル・キースリングは同じ2017年に『アズール』も発表しており、こちらはスカウトアクションで3位を取っています。
ゲームの世界観
プレイヤーは中世ヨーロッパの古い修道院の長となり、庭園を計画的に作り最上級のエール造りを目指します。
下水と上水を離す考えが無かった中世では、清潔な水を手に入れることが困難でした。
フランク王国のカール大帝はビール好きという事もありましたが、生水が不衛生なこの時代に水を煮沸して造るビールを、保存がきき伝染病から命を守る神の恵みとして広めていきました。
そこで人々は喉が渇くとエールで水分を補っていたのです。
当時の修道院は信仰を深める場としてだけではなく、キリスト教の「祈り、働け」の教えに準じ、農作業や開墾といった労働がもたらす生産の場としても機能していました。
ワインやハーブリキュール、エール醸造も修道生活(自給自足)の一環として存在し、販売なども行って収入源としていました。
ゲームの概要・ジャンル
プレイヤーは修道院の庭園(畑)を改良し資源を得て、醸造監督を成長させて高品質のエールを作ります。
タイルの設置と決算を繰り返して修道院の庭園の質を高める、タイルプレイスメントゲームです。
ゲームの準備と遊び方
テーブル中央にメインボードを置き、そこに多くのタイルをセッティングします。
各プレイヤーは個別のプレイヤーボードを受け取り、マーカーなどを初期位置に置きます。
メインボードにあるタイルを自分のプレイヤーボードに置いてゲームを進めます。
内容物と使い方、用語解説
- メインボード・・各プレイヤーはここから資源や修道士を入手。
- プレイヤーボード・・庭、生産、決算スペースが描かれたボード。各プレイヤーが管理する修道院を表しています。
- ドゥカート・・中世後期から20世紀の後半頃までヨーロッパで使用された国際硬貨。
- 資源タイル・・麦やホップなど、プレイヤーボード上の庭に撒く資源。
- 修道士タイル・・庭に配置することで決算時に周辺の資源から利益を得る。
- 小屋タイル・・庭に描かれた「小屋スペース」の周囲を資源タイルで囲むと、様々な特典が得られる。
- 小さな樽・・目標が描かれており、達成することで追加の勝利点2点を得る。
- 大きな樽・・目標が描かれており、達成することで追加の勝利点4点を得る。
- 決算ディスク・・ドゥカート獲得や生産力を上げるためのポイントを算出。
- 特権カード・・決算時に一定の得点を満たすことで得られる特典。
- 醸造監督コマ・・成長具合が最終決算の勝利点変換比率に影響。
メインボードの準備
- 「資源タイル」を裏面に書かれた「Ⅰ」と「Ⅱ」に分けて山にし、メインボードの資源スペースに「Ⅰ」の「資源タイル」を1枚ずつ表向きに配置。
- 通貨(ドゥカート)をメインボード脇に置く。
- 「小屋タイル」は種類ごとに大体同数枚に分けてメインボード脇に置く。
- 「修道士タイル」を裏面に書かれた「Ⅰ」か「Ⅱ」に分けて、「Ⅰ」の「修道士タイル」を良く混ぜ裏向きのまま4枚ずつの3つの山にしてメインボードの中央にある修道士Ⅰスペースに1山ずつ置く。
プレイ人数に応じて「Ⅱ」の「修道士タイル」の利用枚数が変わります。
人数に応じて修道士Ⅱスペースに配置して下さい。 - 左端の修道士Ⅰスペースに置いた「修道士タイル」の山を取り、メインボードの修道士スペースに1枚ずつ表向きに配置。
- 「決算ディスク」を6枚取ってメインボードの決算スペースに1枚ずつ置き、残りはメインボード脇に置く。
- 「小さな樽」を12枚取りメインボード上の各樽スペースに表向きにして1枚ずつ置く。
- 「大きな樽」を対応する「小さな樽」の上に乗せる。
プレイヤーボードの準備
- 自分の色を選び、プレイヤーボード、特権カード5枚、プレイヤーコマ1個を受け取る。
- 自分の色の「醸造監督コマ」を取り、プレイヤーボード上の初期スペースに配置。
- 各種資源マーカーを受け取り、プレイヤーボード上の初期スペースに配置。
- ストックから25ドゥカートずつ受け取る。
ゲームの進め方
スタートプレイヤーを決め、スタートプレイヤーはメインボードの「スタートプレイヤー出発スペース」にプレイヤーコマを置きます。
以降は反時計回り順で、他のプレイヤーは空いている出発スペースのうち1つに置き、即時効果を得ます。
(先手プレイヤーが有利になるゲームのため、ハンデを埋めるため後手には特典が付きます。)
1.メインボードに置かれたプレイヤーコマを、外周トラック上を時計回りに任意のマス(スペース)を進める。
後退は出来ません。
出発エリアを超えることは出来ません。
次の手番で移動せずにそのスペースに留まることは出来ません。
[メインボードの準備]で用意したタイルがないスペースに移動することは出来ません。
2.プレイヤーコマを置いたマスに表示されたアクションを実行。
アクションの実行
メインボードのスペースには「資源スペース」「修道士スペース」「決算ディスクスペース」「樽スペース」の4つがあります。
それぞれ特定のアクションが実行できます。
資源スペース
スペースにある「資源タイル」を最低1枚購入しプレイヤーボードの任意の位置に配置します。
(2ラウンド目以降、1スペースに2枚以上のタイルが置かれている場合があります。)
・日陰側に配置…「資源タイル」に書かれた数値分のドゥカートを支払う。
・日向側に配置…「資源タイル」に書かれた数値の2倍のドゥカートを支払う。
修道士スペース
スペースにある「修道士タイル」を最低1枚購入しプレイヤーボードの任意の位置に配置します。
・日陰側に配置…「資源タイル」に書かれた数値分のドゥカートを支払う。
・日向側に配置…「資源タイル」に書かれた数値の2倍のドゥカートを支払う。
決算ディスクスペース
スペースにある「決算ディスク」を1枚取り、プレイヤーボードの空いている決算スペースに置いて決算します。
メインボードの「決算ディスクスペース」に書かれた“A””B””C”によって、プレイヤーボードのどの決算スペースに置くかが決まります。
A.「資源タイル」に書かれた数値(1~5)の1つを指定し、選んだ数値と同じ数値が書かれたタイルを全て発動させる。
日陰側のタイルの効果…数値×タイル枚数と同じドゥカートを獲得。
日向側のタイルの効果…数値分、タイルと同じ色の資源マーカーを、プレイヤーボードの生産トラック上を進める。
B.プレイヤーボードの「修道士タイル」を「修道士タイル用決算スペース」に1つ置き、同じ絵柄の「修道士タイル」全てを発動させる。
プレイヤーボードの畑に配置した「修道士タイル」に隣接している各資源タイルを発動させ、Aと同様の効果を得る。
「修道士タイル」に隣接している「修道士タイル」がある場合は、醸造監督コマをプレイヤーボードの生産トラック上を進める。
C.プレイヤーボードの「資源タイル用決算スペース」に1つ置き、置いた箇所に書かれた資源と同じ資源タイルを全て発動させる。
「決算ディスク」をプレイヤーボードに2つ置く都度5種類ある特権カードのうち1つの効果を発動させることが出来ます。
樽スペース
「樽タイル」には様々な目標が描かれており、達成することで追加の勝利点を得ます。
メインボードの「樽スペース」までプレイヤーコマを進めた場合、目標を達成している全ての樽を取ります。
「大きな樽」が残っている場合はそれを取り、下に重ねてある「小さな樽」は取らずに残します。
(達成した目標の種類につき1枚ずつ「樽タイル」が獲得できます。)
小屋タイルの囲い込み
プレイヤーボードの「小屋」が描かれたスペースを「資源タイル」で取り囲んだら以下の処理を行います。
・周囲の資源タイルに書かれた数値を合計し、プレイヤーボードの表と合計値を照らし合わせて、生産トラック上の「醸造監督コマ」を進める。
・プレイヤーボードの表に示された小屋タイルを庭の該当スペースに置き、数字が記されているタイルであれば、隣接する任意のタイルを数字の枚数分発動させる。
次ラウンドの準備
全プレイヤーがプレイヤーコマを移動させて、それぞれの効果を得たら1ラウンド終了です。
次のラウンドの準備をします。
- メインボード中央から「修道士タイル」の山を取り、「修道士スペース」に1枚ずつ追加して置く。
- ストックから「資源タイル」を取り、「資源スペース」に1枚ずつ追加して置く。
- 使用した箇所の「決算ディスク」を補充する。
ゲームの終了
醸造監督コマの位置から、資源などの勝利点を変換していき、最も多くの勝利点を得たプレイヤーの勝利となります。
まとめ
プレイヤーボードに置かれるタイルが増えれば決算でもらえるものも多くなっていきます。
ただ決算しないとタイルを買うためのお金が入手出来ないので、手順はコマを進めてタイルを自分のボードに置くか、決算するかの二択です。
ルール自体は難しくないですが、どこまでタイルを集め、どこで決算するかがこのゲームの肝であり難しい部分です。
お金はカツカツ、でもたくさんのタイルが欲しい、何処に置けば決算時のメリットが大きいか、そもそも醸造監督を進めないと点が入らない…などを考えるのが悩ましくも楽しい、おススメのボードゲームです。
プレイ人数:2~4人
プレイ時間:60~90分
状況:発売中
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