かかとの痛みを起こす原因と疾患は?『足底腱膜炎』の詳細について紹介!







朝の1歩目、かかとがチクチク・ズキズキ痛む!

その症状は、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)かも知れません。

スポーツや立ち仕事、合わない靴などが原因の疾患です。

 

また、かかとの骨やアキレス腱の周囲を傷めても、かかとが痛みます。

 

今回は、立つ・歩く・走るとつらい、かかとの痛みの原因疾患と、「足底腱膜炎」の詳細をお届けします。

 

かかとやアキレス腱の痛みは、治りにくい疾患?!

 

体重の7割はかかとに掛かるといわれ、仕事やスポーツなどで、かかとの骨やその周辺の痛みに悩まされる人が増えています。

硬い靴底で、硬い路面を長時間歩いたり、急に体重が増えた人もかかとを傷めやすいでしょう。

また、足の指を反らして歩く癖のある人は、かかとや指の付け根に大きな負担がかかるため、タコができたり足裏が痛くなります。

 

かかとの骨は「踵骨(しょうこつ)」と呼ばれ、となりの足根骨(距骨・舟状骨・立方骨)とつくる関節は、足首を内外側にひねる動作に関与します。

転落や交通事故などで、踵骨に大きな力が加わりおこる骨折が関節におよぶと、歩行障害が残るので手術が必要になるでしょう。

 

踵骨には、足首を動かすふくらはぎの筋肉の腱(アキレス腱)と足底腱膜、足の指を動かす筋肉の腱などが付き、立つ・歩く・走るときに働きます。

足裏では、かかとの骨と足の指の付け根をつなぐ「足底腱膜(そくていけんまく)」が、弓の弦のようにアーチ状の土踏まずをつくります。

ふくらはぎや足裏に負担をかけたり、加齢で弱くなると、アキレス腱や足底腱膜の炎症をおこし、歩く・走るなどの動作がつらくなってきます。

多少痛くても、足裏で着地せざるをえないので、治りにくく悪化しやすい疾患と言えるでしょう。

 

それでは、かかとに痛みをおこすケガや疾患を、詳しくみていきましょう。

 

ランニングや加齢でかかとの疲労骨折もよくある

 

踵骨骨折は、交通事故やスポーツのケガ、高い所からの転落や飛び降りで受傷します。

工事現場で多く発生すると言われ、胸腰椎(せぼね)の圧迫骨折の合併もみられます。

かかとの腫脹や圧痛、皮下出血が著明で、かかとに体重をかけて立てず、つま先立ちも出来ません。

腫れが血管を圧迫して、血流を阻害する「コンパートメント症候群」をおこすと、組織の損傷が重篤なので、早期の処置がもとめられます。

 

踵骨骨折は、関節の中の骨折と、かかとの後部の骨折に分けられます。

  • 関節内骨折……距踵(きょしょう)関節におよぶ骨折 踵の足底部に強大な力が加わり受傷 手術が選択されることが多いでしょう
  • 関節外骨折……かかと後部のアキレス腱付着部の剥離(はくり)骨折 飛び降りなどの着地の瞬間、ふくらはぎの筋肉が急激に縮んで受傷 添え木で固定し、腫れが引いたらギプス固定する保存療法が選択されるでしょう

 

ランニングや球技で、かかとに負担をかけ続けると、踵骨の疲労骨折をおこすことがあります。

運動にともない徐々に痛みが強くなり、悪化すると安静時も痛みます。

高齢者や骨粗鬆症の患者さんは、日常生活動作でも受傷することがあるので、かかとの痛みが強いときは整形外科を受診してください。

 

活発な男子のかかとの痛みは「踵骨骨端症(こったんしょう:Sever 病)」

 

踵骨骨端症は、過度な運動で、かかとの軟骨がアキレス腱や足底腱膜に引っ張られて、踵骨骨端核(こったんかく)が炎症をおこし痛みます。

踵骨骨端核とは、成長過程の骨の先端にあり、やがて骨となる部分のことです。

 

15~18歳以下、特に活発な10歳前後の男子がランニングやジャンプの後、かかとの後下部に痛みを訴えます。

バスケットボールやバレーボール、マラソンや剣道、体操などでの受傷が多いでしょう。

かかとに慢性的な痛みと圧痛があり、接地時のかかとの痛みで歩行障害(つま先歩行)が、みられます。

 

運動後のアイシングと湿布などの消炎鎮痛剤を使用し、シューズは靴底の柔らかいものに変えてください。

運動量や運動の強度を適度に制限し、歩行痛があればスポーツを休止させます。

ヒールパット(かかとを保護する柔らかい素材のパット)や、アーチをサポートする靴の中敷きも勧められます。

温熱療法や超音波などの物理療法も有効で、痛みが軽減したら、筋トレとストレッチなどの運動療法を始めましょう。

 

若い女性も注意したい、かかとの後の痛み

脚の使いすぎでアキレス腱に負担をかけ続けると「アキレス腱炎」や、腱を覆う膜が炎症をおこす「アキレス腱周囲炎」を発症し、かかとの後からアキレス腱にかけ、腫れて痛みます。

 

スポーツや仕事などでふくらはぎの筋肉を酷使すると、アキレス腱がかかとの付着部で引っ張られたり、その少し上で圧迫を受けて炎症をおこします。

また、ハイヒールのかかと部が、アキレス腱を刺激して傷めたり、踵骨の異常や足部のアンバランス、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性の低下なども、炎症の原因となるでしょう。

 

かかとのうしろやアキレス腱が赤く腫れて、押したりつまむと痛みがあり、歩く・走る・階段の昇降などで増悪します。

「アキレス腱付着部症」とも呼ばれ、足首を反らすと痛みが増し、悪化すると安静時も痛むようになります。

さらに、かかとの骨にアキレス腱が付く部位に骨棘(こつきょく:骨のトゲ)ができたり、アキレス腱内の骨化(石灰沈着性アキレス腱炎)がおきると、激痛が生じます。

 

かかとの後方とアキレス腱、腱と皮膚の間には、「滑液包(かつえきほう)」と呼ばれる、衝撃を吸収し摩擦を軽減するクッションがあります。

アキレス腱炎と同様の原因で、「アキレス腱の滑液包炎」がおきると、歩行や走行、足首の運動でかかとの後方が痛み、腫れや熱感がみられるでしょう。

滑液包炎が、かかとの底部に生じると、ウォーキングやジョギングの着地時に、かかとがズキズキ痛みます。

 

整形外科を受診し、骨棘はX線で、滑液包の炎症はMRI検査で確認できるでしょう。

治療は消炎鎮痛剤の貼り薬や塗り薬と内服、弾力包帯の固定やテーピング、足底挿板(靴の中敷き)や患部に保護パッドをあてて痛みを和らげます。

急性期を過ぎたら温熱療法や電気治療などの物理療法、マッサージや運動療法が施されます。

長時間同じ姿勢でいたときは、1分間ほど足首の運動をしてから、歩き始めるとよいでしょう。

 

痛みが強いときは、ステロイドの局所注射が行われますが、腱の脆弱化などの副作用があるので、回数などは慎重に検討されます。

保存療法で症状が改善せず、日常生活に支障がある場合は、内視鏡下で、腱や骨の一部を除去する手術が選択されることもあります。

かかとの底の痛みは、スポーツや加齢が原因

 

踵骨の足裏部と皮膚の間には、脂肪組織のクッションがあり、体重の負荷や衝撃を和らげてくれます。

スポーツや加齢、肥満などでこのクッションが潰れると、かかとを着いたときに痛み、つま先歩行や、べた足歩行になります。

「有痛性踵骨パッド」と呼ばれ、かかと全体の圧痛や運動時痛がみられます。

 

若年者に多い「踵部脂肪体症候群」は、バスケットボールのようなジャンプやストップアンドゴーの多いスポーツの初心者が、着地時に受傷しやすいです。

また、靴を新しくした後や、硬い靴底の靴で長時間歩いたときにも発症します。

 

中年以降に多い「踵部脂肪褥炎(じょくえん)」は、加齢でクッションの柔軟性が失われ、地面に骨が当たるような痛みを感じて、かかとから着地できません。

硬い床などを裸足で歩かないように気を付け、テーピングや靴の中敷き(インソール)を使用するとよいでしょう。

かかとの痛みが強く、歩くのが辛いときは、整形外科を受診してください。

 

中年女性は要注意の「足底腱膜炎(足底筋膜炎)」

 

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)の症状は?

中年以降の女性に多い足底腱膜炎は、起床時の着地や歩き始めに、かかとや土踏まずに痛みを感じます。

動いているうちに、こわばった腱膜が和らぎ、痛みが軽くなることもありますが、夕方になるとまた痛みだすでしょう。

 

踵骨の内側前方と、足の指の付け根をつなぐ足底腱膜は、土踏まず(足裏の縦のアーチ)をつくり、歩く・走る・飛ぶなどの着地時に、衝撃を和らげてくれます。

足底腱膜が加齢で硬くもろくなったり、体重や過度の運動で負担がかかったとき、踵骨の付着部に傷が生じ、炎症をおこして痛むのです。

 

ベットから起きて1歩目のかかとの痛みが特徴で、土踏まず寄りのかかとの内側に圧痛があり、つま先立ちや階段を昇る時、痛みが増悪します。

足底腱膜炎が長期化すると、骨のトゲ(踵骨棘:しゅうこつきょく)を生じることがあります。

着地時の踵骨棘の痛みは、足の指を曲げる短趾屈筋の腱の炎症による痛みとも考えられおり、40~60歳に多発します。

かかとの他の部位は痛まず、通常、痛みの増減を繰り返しつつも、8割くらいの人は、1年ほどで自然に治ることが多いでしょう。

 

足底腱膜炎の原因は?

長時間の立位や歩行の作業に不慣れな人がなりやすく、長靴や安全靴、ヒールの高い靴やサンダルの使用も原因となります。

スポーツでは、ランニングやジャンプの多い競技、テニスやダンスなどでおこりやすいです。

ランニング時つま先から着地する癖のある人や、足首が硬くて反らない人は要注意です。

運動開始時の強い痛みは徐々に軽減しますが、運動を続けるとまた痛みが強くなるでしょう。

 

40歳以降では、運動不足の人が急に始めたウォーキングやジョギング、ゴルフや登山などでも発症することがあります。

足の指を反らせて歩く癖のある人は、足底腱膜が緊張しやすいので、傷めやすいです。

また、扁平足(足裏の筋肉の衰え)やハイアーチ(甲高)では、体重の負荷や衝撃を吸収する機能が低下しているので、炎症を生じやすいと言えるでしょう。

 

足底腱膜炎の診断と治療は?

足底腱膜炎は、整形外科医による診察とX線検査で診断は確定します。

また、他の疾患との鑑別や腱膜の損傷を確認するために、MRIで検査する場合もあるでしょう。

 

治療は、患部の安静と消炎鎮痛剤の外用薬や内服薬、ヒールパットやインソール、低出力レーザーや超音波などの保存療法が施されます。

かかとの痛みが軽減したら、温熱療法やストレッチによる理学療法が追加されます。

かかとの痛みが激しいときは、ステロイドの局所注射が行われますが、副作用があるので担当医とよく相談してください。

 

保存療法で改善せず、悪化して生活に支障があるケースでは、内視鏡を使って足底腱膜の一部を切離する手術が検討されます。

※整形外科で作成するオーダーメイドのインソールは、療養費払い(立替払い後、申請して還付される)の対象ですので、病院でご相談ください。

※インソールの価格の1例:自己負担3割の場合、1足1万円前後(症状やメーカーにより変わります)

 

通常は自然に治癒しますが、だんだん痛みが強くなる場合は、他の疾患の疑いもあるので、必ず整形外科を受診してください。

※「足の外科」専門医・病院はコチラ

日本足の外科学会 病院情報 http://www.jssf.jp/general/hospital/index.html

 

足底腱膜炎の新しい治療法

難治性の足底腱膜炎に有効な、新しい治療法です。

 

体外衝撃波疼痛治療(ESWT)

体外から患部に衝撃波を当て、痛みを無くし組織を修復する治療です。

過敏に痛みを感じる神経を破壊し、局所の血管の新生を促します。

保存治療を6ヶ月以上継続しても、症状が緩和しない足底腱膜炎は、2012年から健康保険適用になりました。

1回の治療時間は約30分で、必要に応じて3回まで施術します。

麻酔は不要なので、外来で治療が受けられます。

※治療費の1例:健康保険3割負担で、1回15,000円(初診料・再診料別途)

 

自己多血小板血漿療法(PRP療法)

血中の「血小板(けっしょうばん)」という血を固めたり、傷を早く治す成分を患部に充填する治療法。

新しい治療法で保険は適用されませんが、腱や靭帯の損傷、肉離れなどに有効と考えられています。

ヤンキースの田中投手の肘の治療で注目を集め、スポーツ障害からの早期復帰を可能にすると期待される治療法です。

※治療費の1例:自由診療で、1回2~4万円(初診料・再診料別途)

 

足底腱膜炎のリハビリと予防は、筋トレとストレッチ

足底腱膜炎のリハビリには、ふくらはぎの硬さと土踏まずの衰えを改善するエクササイズがおすすめです。

ふくらはぎの筋肉をストレッチやマッサージで柔らかくし、足の指をよく動かしましょう。

 

  • 脚を前後に交差させて立ち、前脚の膝をゆっくりと曲げて、後ろ脚のふくらはぎを伸ばす(20秒保持を3回、1日3回)
  • 床に脚を伸ばして座り、足の指を両手で反らせて、足底腱膜を伸ばす(20秒保持を3回、1日3回)
  • 椅子に膝をなるべく伸ばして腰かけ、床に置いたタオルを足の指でつかみ、たぐり寄せる(20回を1日3回)
  • 床に置いたテニスボールやゴルフボールを、足裏でコロコロ転がすマッサージは有効(適度な強さと時間で)
  • かかとに負担をかけず運動できる、水中歩行やエアロバイクもおすすめ

 

運動の回数は体調に合わせて調整し、痛みを感じたら中止してください。

かかとや足底腱膜への負担を減らすためには、体重管理と靴選びが重要です。

サイズと形状の合った靴を選び、履くたびに靴紐を適度な強さで結び、足の甲を固定してください。

 

かかとの痛みのセルフケアは、テーピングとトリガーポイント治療

 

筋トレやストレッチと併せて、自宅でできる簡単なセルフケアをご紹介します。

 

ふくらはぎや足裏に、伸縮性のテープを貼りましょう

患部を保護し、痛みを和らげ、修復を促進する作用が期待できます。

ドラッグストアなどで販売されている、伸縮性のテープ(キネシオテープなど)をご用意ください。

 

足底腱膜炎やアキレス腱の損傷に【腓腹筋テープ】

  1. 幅5cm、長さ40cmのテープに、35cmの縦の切り込みを入れたY字テープを1枚用意します。
  2. うつ伏せで膝を立てて、足首を反らせて、切れ込みのない側のテープの端を、かかとの足裏に貼る
  3. そのまま、アキレス腱まで貼る
  4. 膝を伸ばしてから、テープのY字側で、ふくらはぎを包みこむように膝裏まで貼って完成

 

足底腱膜炎に【アーチテープ】

  1. 幅5cm、長さ15cmのテープに10cmの切れ込みを3本入れた熊手状テープを1枚用意します。
  2. 足の指を反らせて、足裏の筋肉を伸ばした状態で、切れ込みのない側のテープの端を、かかとの足裏に貼る
  3. そのまま、切れ込みを入れた熊手の4本のテープを、親指・人差し指・薬指・小指に向けて貼っていき完成

 

※骨棘には、フェルトなどのクッションを丸くくり抜いて当て、アーチテープと交差させるように、15cmのテープを両くるぶしに向けて貼って固定してください。

 

アキレス腱の損傷に【アキレス腱テープ】

  1. 幅5cm、長さ20cmのテープを1枚用意します。
  2. うつ伏せで膝を軽く曲げ、足首を反らせて、テープの端をかかとの足裏に貼る
  3. そのまま、ふくらはぎに向けて、アキレス腱の上に貼っていき完成

 

※腓腹筋テープと併用しましょう

 

かかとに響くポイントを押しましょう

ふくらはぎや足裏にできた筋肉のしこり(トリガーポイント)が、かかとの痛みをおこすことがあります。

ふくらはぎのうしろ上部や、内側のすねの骨のきわ、足裏の中央や親指寄り、小指寄りをさぐってみてください。

押すとかかとに響く、お菓子のグミのようなしこりがトリガーポイントです。

 

30秒ほど押して、30秒休むを何回かくりかえしましょう。

かかとへの響きがなくなったら、足裏とふくらはぎのストレッチを行い終了です。

痛いのを我慢して、無理に押したりしないでください。

 

かかとが痛む、他の疾患は?

 

その他、かかとが痛む疾患を紹介します。

  • 踵骨骨髄炎……細菌などの感染による骨内部の骨髄の炎症で、発熱と痛み
  • 単発性骨嚢腫(こつのうしゅ)……良性骨腫瘍で無症状の場合も
  • 坐骨神経痛……腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、主に腰に原因があり、お尻から下肢にかけて痛みやシビレがある
  • 閉塞性動脈硬化症……足の血管が動脈硬化により、血行障害をおこし、歩くと足が痛む
  • 痛風……かかとからアキレス腱にかけて、突然赤く腫れて激しく痛む 他の関節にも痛風発作がみられる
  • 関節リウマチ……足の指の変形が進んで、足のアーチが崩れると、かかとを傷めやすい

 

運動などの心当たりがないのに、違和感やジンジンとした痛みが出て、1日程度で急激な痛みに変わるような時は、一般的なかかとの痛みではありません。

まずは整形外科を受診し、必要に応じて専門医を紹介してもらいましょう。

 

かかとの痛みの予防として、運動不足と肥満に気を付けましょう

 

スポーツや仕事以外でも、さまざまな原因で「かかとの痛み」はおこるのですね。

特に中年以降のかかとの痛みは、足裏やふくらはぎの筋肉が弱くなると生じやすいです。

足が重だるく、ふくらはぎが強張ってきたら要注意ですよ。

 

また、運動不足の人が急に運動を始めたときは、かかとを傷めやすいので気を付けてください。

かかとの痛みは、患うと長びくことが多いので、普段から体重管理と筋トレ、ストレッチで予防に努めましょう。












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