こんな歩き方をしていると山頂まで辿り着けない! 山登り初心者が気を付けることvol.1







気の合った仲間と山に登るのは楽しいことに違いありません。

天気に恵まれるとついついはしゃいでしまい、大声でしゃべったり笑ったりしまいます。

事実、山登りは楽しいものですし、仲間との語らいも目的のひとつであります。

 

しかし、山登りは散歩ではありません。

ショッピングでもありません。

立派なスポーツです。

大ケガをする可能性があるし、生命を失う危険性も孕んでいるのです。

ここでは、安全に山登りを楽しむためには欠かせない山での歩き方を紹介しましょう。

 

山登りと平地での歩き方の違いについて

皆さんは登山靴と運動靴の違いを知っていますか?

運動靴は基本的に軽くできています。

一方、登山靴はある程度の重さがあります。

登山もスポーツである以上、できれば靴は軽くしたいのですが、しっかり作らないといけないという大きな命題があり、軽さを犠牲にしなければならないからなのです。

特に重要なのは靴底です。

山道は平坦ではなく、大小の凹凸があります。

それがストレートに足に伝わると疲れや痛みを引き起こします。

したがって、足裏を守るという目的で登山靴の底は厚くしているのです。

しかし、この底の厚い靴で普段と同じ歩き方をすると非常に疲れます。なぜなら、平地と山登りとでは理想とする歩き方が違うからです。

 

登山靴以外の靴は底が曲がります。

底が曲がる靴でどんな歩き方をするかというと、キックステップという方法です。

キックという用語から想像できるように、前に進むときこの歩き方では後ろ足が地面を蹴る、つまりキックします。

キックするのは土踏まずの前の部分、指の付け根一帯です。

このとき、かかとは浮いていますから靴底は当然曲がっています。

・キックステップ

後ろ足で大地を蹴って前に進むための推進力を得ています。

 

では、山を登るときはどんな歩き方をするのでしょう。

靴底が厚くて曲がらないから平地のようなキックステップはできません。

そこで、足を持ち上げて前にドスンと下ろすフラットステップという方法で歩きます。

地面とは広い面積で接触していますから安全性も高くなります。

 

このように、山と平地とでは歩き方が違います。

それなのに平地と同じような歩き方をしていては疲れるばかりです。

登山靴はキックステップには向いていません。

山登りではフラットステップ。

これを忘れないように意識してみて下さい。

・フラットステップ

後ろ足を持ち上げて体の前に置き、体重移動させて前足に重心を乗せます。

 

山登りでは大股で歩かない

一般成人は歩くことにまず気を使いません。

毎日のことだし、気を使わなくても普通に歩けるし、それで困ることはないからです。

というわけで、山に行ってもいつもと同じ歩き方をしようとします。

山の経験が少ない人はそれが当たり前で、無理もありません。

しかし、平地では問題がなくても、山ではそれが大きな問題を招きます。

なぜなら、大股で歩くと体力を消耗するからです。

 

歩幅80㎝と30㎝の場合を比較してみましょう。

80㎝だと前足を大きく踏み出し、そして体重を移動させながら後ろ足を引きつけなければなりません。

そしてまた大きく踏み出すというその繰り返しです。

 

一方、30㎝の場合は体重移動がわずかしかなく、足を踏み出す・引きつけるという動作も小さく、体力の消耗は非常に少なくてすみます。

 

登山ルートに階段があると嫌う人が多いのはこのためです。

階段は片足で登らなければならず、歩幅の調整ができません。

階段の高さと幅で歩幅が決められるため、自分が好む歩幅で山を登れないからなのです。

 

山登り初心者は直登は避ける

登山用語の直登(ちょくとう)とは、困難であっても正面から攻略するという意味です。

直登の対義語は巻き道で、距離は長くても登りやすいコースを指します。

直登はベテラン、巻き道はビギナーというのが一般的です。

 

ただ、ここでいう直登は登山道を真っ直ぐ登ることです。

傾斜が緩いとそれでも問題はないのですが、急斜面になると非常に疲れます。

歩幅を小さくしてゆっくり登ればある程度はカバーできますが、急斜面という事実は変わりません。

そこで、スイッチバックという登り方をします。

急斜面を上り下りするとき、鉄道線路はジグザグを描くように敷設します。

これがスイッチバックです。

 

急斜面の直登ルートを真っ直ぐ登るのではなく、右、左、また右、左とジグザグにコース取りをします。

そうすれば傾斜は緩くなり、体に加わる負担は軽減されます。

 

スイッチバックにはもうひとつのメリットがあります。

歩幅の調整ができない階段は嫌われると書きましたが、カニのように横歩きすると階段はずいぶん楽になるのです。

ウソだと思う人はちょっと試してみてください。

階段をまっすぐ登る場合と横歩きで登る場合とではどちらが楽か。

横方向に足を踏み出すと階段でもわずかな移動距離ですむのです。

スイッチバックだと最初から体は斜めになっていますから、階段を横に登るのは簡単です。

 

山登りで大切なことは絶対に急がないこと

これもよくあるパターンで、登り始めはみんな元気ですから結構ハイペースになりがちです。

といっても本人にハイペースという意識はありません。いつもと同じ(つまり町歩きと同じ)ペースで歩いているはずです。

しかし、それでは速すぎます。

 

山登りで大切なのは常に同じペースで歩くことです。

クルマを運転する人ならよく知っているでしょうが、燃費をよくするコツは同じ速度で走り続けることです。

スピードを速くしたり遅くしたりすると大きくロスします。

特に、加速は禁物です。

これと同じで、歩く速度を変えると体力を消耗するのです。

疲れたらペースダウンするのは仕方がありません。

ですが、それなら最初からゆっくり歩いた方が体力は温存できます。

ところが、速いか遅いかは自分で判断するしかなく、それも絶対的な尺度はありません。

速度計を備えていないからです。

経験を重ねると自分のペースはある程度つかめてくるのですが、ビギナーには無理な話です。

 

そこで、ゆっくりペースを保つための方法をひとつアドバイスしましょう。

それは歌を唄いながら登ることです。

 

私の知り合いに山岳ガイドがいますが、彼のお勧めは「与作」でした。

与作は木を伐る〜というアレです。

 

遅すぎない?と思った人が多いのではないですか。

山登りではあのペースがちょうどいいのです。

ペースに自信が持てなくなったらこれを口ずさんでみてください。

そして、そのテンポに足の動きを合わせてみてください。

 

登山開始後30分間はチェックタイム

私が所属している山登りクラブの会員は半数以上が女性です。彼女たちと一緒に登るといつも感心させられることがあります。

それは、最初から最後までしゃべりっぱなしという点です。

よくもまあ話のタネが尽きないなと思うのですが、彼女たちのおしゃべりは山登りの大きな楽しみのひとつなのです。

 

その彼女たちにいつも苦言を呈するのが会長です。会長の言い分はこうです。

「登り始めの30分はおしゃべりなんかしているヒマはないんだぞ。自分の体調はどうか、汗はかいてないか、靴の具合はいいかなどなどチェックポイントがたくさんあるんだ。ベテランならそんなこと知っているだろう!」

とはいえ、ずっとおしゃべりしながら登って下る彼女たちは馬耳東風。

経験と体力、そして自信があるからです。

ただし、初心者の皆さんは決して真似をしてはいけません。

慣れないと難しいでしょうが、わかる範囲で確認してみてください。

 

足の運びに違和感はないか、動悸は、汗は、靴の具合は、リュックと肩・背中との馴染み具合は……などなど。

毎回それを繰り返していると、確認事項と現実との差がわかるようになり、やがてはチェックによる予測が実際と一致するようになるでしょう。

 

まとめ

歩くこと自体は難しくありません。

しかし、平地の歩き方と山登りでの歩き方は違います。

初心者はそのことを知らず、山でも平地と同じ歩き方をしてしまいます。

その結果、疲れて、楽しさは半減してしまいます。

山に特化した歩き方を身につけるのは簡単ではありませんが、何度も何度も山登りをしながら意識していればそのうちにあまり疲れないようになるでしょう。

そのときは、多分体力と健康も獲得しているはずです。

次回記事:山登り初心者が気を付けることvol.2 標高だけで山を選ばないように

(Author:semont)












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