今や音楽はダウンロードやストリーミング視聴の普及に伴い気軽にどこでも聴けて持ち運べる娯楽になりました。
ジャンルも幅広く多様化し、様々な音楽が存在しています。
邦楽、洋楽問わず世界中の音楽が気軽に聴けるようになりましたが、まだまだJ-POPしか聴かない派も多数派と感じます。
ただ、世の中の大勢のJ-POP愛好者の中の何割が『曲』というものがどういった構成でできているかを知っているのか、時折疑問に思うことがあります。
ルックスや歌詞などの表層の部分だけの楽しみに終始せず、今J-POPが好きな人が、さらにJ-POPを楽しく聞くために知ってほしいことをご提案していきたいと思います。
そもそも歌を強調しているJ-POP
楽曲における単純な構成はリズムとメロディ、それに歌のボーカルパートとに分類できます。
そもそもJ-POPにおける楽曲のリズムとメロディと歌のバランスは極端に歌の部分を強調しているため、曲そのものを楽しめるようにバランスされていないことが多いです。
楽曲製作の最終工程にマスタリングという曲全体のバランスを取る工程があるのですが、このマスタリング時点でボーカルパートを鮮明にやや大きめにするのがJ-POPの主流になっているのです。
ようは作り手側が『曲』そのものを聴かせようというコンセプトではない作り方をしています。
これ、非常にもったいないことです。
最近ではアイドルソングにおいてもすごく作りこまれた素晴らしい楽曲が多いのですが、発信する側がそこをあまり重視していない、また聴き手もそれが当たり前になっていて曲自体の良さに気づかないままになってしまっているという状況です。
楽器演奏者や音楽の心得がある人は気付いている点ですが、世間一般のJ-POP好きの方は全く気付いてすらないポイントです。
そこで普段何気なく聴いているJ-POPも少しだけ聴き方の角度を変えてみてはいかがでしょう。
まずは楽曲の構成を知って『音楽』そのものがどういったつくりになっているのかを理解すると好きだったJ-POPの曲がもっと好きになるはずですし、さらに楽しく聞けるようになるはずです。
曲の構成を知るとさらに楽しく聞けるはず
世の中のあらゆる音楽、ロックからJ-POP、アニソンに至るまで全てにおいて重要なパートはベースとドラムです。
曲の疾走感やダイナミズム、バラードなどでは繊細さを表現するのがリズムなのです。
ジャンルによって一概には当てはまりませんが、例えていうなればリズムが曲の『感情』、メロディが『表情』、ボーカルが『心情』を表していると思っていただければわかりやすいでしょうか。
そしてこのドラムとベースの音のバランスがJ-POPにおいては小さめになっていることがほとんどです。
海外のアーティストではこういったアンバランスな楽曲製作はあまりみられず、J-POP、とりわけアイドルソングにおいて顕著な特異なスタイルとなっています。
アイドル文化の中で当たり前になっている音楽への弊害とも言えますが、しかし先にも述べたように楽曲そのものも素晴らしいものが多いのにいつまでもこの音楽制作の仕方はもったいないことではないかと思います。
歌の良さを引き出すように構成されたリズムやベースラインの良さをもっと深く知ることによってより一層その歌の魅力を理解でき、ひいてはアイドル、アーティストの違った魅力にも気付くのではないでしょうか。

パートごとの音を聴き分ける
それでは1歩先に進んで、もっと楽しくJ-POPを聞く方法について。
これからお話しする、パートごとの音を聞き分けるという内容は深く音楽を楽しむ為の第一段階です。
ミュージシャンにおいては当たり前のように備わっている音楽をパートごとに聴き分けるスキル、多くの方はこれができないようです。
というか、パートごとに聴き分けるってことの意味も伝わらないことすらままあります。
理由は簡単。
今聴いている音が何の音か分かっていないからなのです。
確かに学校の授業以外で楽器に触ったことすらないという方は多いでしょうし、何がギターの音で、ドラムのたくさんあるパーツはどんな役割で、ベースに至ってはなにやってんの?って方も多いと思います。
じゃあ、どうすればそのスキルが身につくのか。
楽器演奏などと無縁だった方はこればっかりは意識して曲を聴いて慣れるしかありません。
分かりやすい例として4人編成のバンドなんかだとドラム、ベース、ギターしかいないので比較的容易に違いを聴き分けられるかもしれません。
まずは楽器そのものがどんな音を出すものなのかなどは動画サイトなどで検索してみればすぐに理解していただけると思いますので、まずはそこからスタートしてみましょう。

リズムやテンポで曲の印象は変わる
歌だけでなく曲のことも分かってくるとリズムだけでもいろんなパターンがあることに気付くと思います。
そうなれば、さらにJ-POPを深く楽しむことができるようになってきています。いわば第二段階です。
曲の速さを数値化したBPM、いわゆるテンポも速い曲から遅い曲まであり、好きなJ-POPのテンポが大体どのくらいだとかいうことも分かってくるかもしれません。
大体人間の心臓の平常時の鼓動を数値化したBPMが90前後ですので、人は自然にそのくらいのテンポの曲に心地良さを感じると言われています。
BPMが100を超えてくるとダンサブルな速めの曲、60くらいまで下がるとバラードなどのゆっくりな曲になってきます。
自分の好きなテンポ感が分かってくるだけで少し聴き方も変わってくるはずです。
リズムにおいてはJ-POP楽曲でも多様化していてストレートな8ビートやダンスミュージックに多い16ビート、スウィングやシャッフルなどいろんなパターンで作りこまれています。
リズム感においても好きな曲はなんとなく同じようなリズムだったりするケースが多いと思います。
テンポやリズムのことも少しだけでも分かるとJ-POPの楽しさが膨らみますよ。

音楽の聴き方を変えると、音楽の聴こえ方が変わる?
楽器ごとに曲を聴き分ける「パート聴き」ができるスキルを身に付けたり、テンポやリズムのことが少しでも分かればあなたが今まで聴いていたJ-POPの世界観はぐんと変わると思います。
たとえば、この歌のメロディに対してなぜベースはこういったフレーズなのか?
この部分はギターはカッティングに徹している意味は?
サビでドラムのビートが変わるのはどういった効果があるのか?
などなど。
歌詞の意味だけでなく、曲の意味も分かるようになってくると、音楽はもっと楽しくなります。
世界中にはまだまだ人の耳に届いていない素晴らしい曲があることと思います。
音楽リスナーの日本における多数派と思われるJ-POPしか聴かない方にも音楽の面白さをもっと知ってほしいと思います。
J-POPを単純に愛好している方には曲のことなど大きなお世話かもしれませんが、テンポ、リズムなどを意識的に聞いてみて、少しでもJ-POPをさらに深く、楽しく聞いていただければ幸いです。
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