ユーモアたっぷりで何度も読みたくなる「ユーモア絵本」の中には、「クセになる絵本」というものがあります。
可愛いから、癒されるから、笑えるから…など、クセになる理由はさまざまですが、いずれも根底にあるのは、理屈抜きで楽しめる「シンプルさ」ではないでしょうか。
センスの良いユーモアは、シンプルな中にあってこそ光るものです。
そこで今回は、一般的には赤ちゃんや子供向けとされている絵本の中から、大人も十分楽しめる、ユーモアに富んだユーモア絵本を5冊厳選しました。
手軽な気分転換のアイテムとしてもおすすめです。
『おちゃわんかぞく』 林 木林 (文)、 いぬんこ (絵)
「おちゃわんかぞく」のご飯の時間を、ユーモラスに描いた衝撃的世界!
おとうちゃわん、おかあちゃわん、おにいちゃわん、おちびちゃわん。
ページをめくったとたん、まるでラインダンスのように「おちゃわんかぞく」が登場します。
リズミカルな文章は、もはや「文」ではなく、「歌」と言ったほうがいいでしょう。
「おちゃわん、おちゃわん、おちゃわん、おちゃわんかぞく ♪」
きっと誰もが歌わずにはいられなくなります。
おちゃわんだけではありません。「おはしかぞく」も「おわんかぞく」も登場するのです。
みんなでなかよく「いただきまーす!」で終わるかと思いきや、「おちゃわんかぞく」の歌はまだまだ続きます……。
個性あふれる表情豊かなおちゃわんたちに、ぶふふっ…と、ついつい笑ってしまうはず。
絵と言葉がパワフルに融合した、エンターテイメントな絵本です。
『しーっ』 たしろ ちさと (著)
2羽の小鳥が、楽しそうにおしゃべりしています。
そこへウサギがやってきて言うのです。
「しーっ、しずかにしてくださーい」
そして、そーっと耳打ちします。「なぜかって いうとね……」
ほのぼのとした、可愛らしいやりとりが次々と繰り返されていきます。
小鳥がリスに、リスがブタに、そして、ブタがゾウに、
「しーっ」……。
無邪気な動物たちの姿が、とにかく本当に可愛くて、ユーモラスです。
抱きしめたくなるような絵本、と言ったらいいでしょうか。
「オチ」も素晴らしく微笑ましいので、何度読み返しても、にっこりしてしまいます。
「くりかえし」を楽しむ赤ちゃん向けの絵本となっていますが、この温かな可愛さは、大人も負けず劣らず夢中になってしまうかもしれません。
『だれのじてんしゃ』 高畠 純 (著)
不思議な形のいろんな自転車が、ページをめくるたびに登場します。
「だれの じてんしゃ?」 「ぼくの じてんしゃ……」
意外な動物が現れ、ユーモラスに自転車をこいでいきます。その繰り返しです。
この絵本の最大の魅力は、のんびりとした空気感ではないでしょうか。
登場する動物たちが、何とも愛嬌のあるキョトンとした表情をしています。
描き込みすぎないシンプルな絵は、ほっとするような可愛らしさで飽きません。シンプルだからこそ、繰り返し味わいたくなるのです。
一度読めばもちろん、誰の自転車かはわかってしまいますが、「穏やかな読後感」がクセになります。疲れたときに、ぼーっと眺めるのもいいかもしれません。
『ねこざかな』 わたなべ ゆういち (著)
くいしんぼうのネコがある日、大きなサカナを釣りあげます。
そのサカナを頭から食べようとネコが大きな口を開けると、
なんと、サカナはネコよりもさらに大きな口を開けるではありませんか!
そしてぺろり!と、ネコを飲み込んでしまうのです。
飲み込まれたネコは大慌て!
ネコとサカナの、なんともユーモラスな共存生活が始まります……。
飲み込まれたネコは、サカナの口から顔を出し、そのまま一緒に歌をうたいながら海を泳ぎだします。なんとも斬新な衝撃的ストーリー!
本来ならば食べる側と食べられる側である両者が、「ねこざかな」となって楽しそうに共存しているのです。
絵がユーモラスなので、シュールな不気味さは全くなく、純粋に笑えます。
誰も傷つかない、すべてがハッピー!という、まさに絵本ならではの世界観です。
「ねこざかな」の初版は1982年。その後シリーズ化し、現在たくさんのタイトルが出版されています。アニメ化もされ、子供たちに大人気です。
『ゴムあたまポンたろう』 長 新太 (著)
あたまがゴムでできている、ゴムあたまポンたろう。
もうこのタイトルだけでも、ただならぬ気配を感じるのではないでしょうか。
目が覚めるような蛍光ピンクの空に、ゴムあたまポンたろうが飛んでいきます。
ゴムのあたまは、どんなものにあたっても痛くないのです……。
いったいなんなんだ これは!と、最初は ぽかんとしてしまうことでしょう。
それなのに、もう一度読んでみたくなります。
なんでか、やっぱり腑に落ちず、また読み返します。
もう一度。もう一度……。
そうしているうちに、すっかり、はまってしまうのです。
じわじわ、じわじわ、きます。
読むたびに、無性に可笑しくなってくるのです。不思議です。
もしかしたら、いつの間にか自分自身も、
「ゴムあたまポンたろう」になってしまっているのかもしれません。
【まとめ】
赤ちゃんや子供向けとされている絵本の多くは、大人にとっても心癒されるものです。
特に、疲れているときなどは、メッセージ性の強い複雑なものを読むよりも、今回紹介したようなシンプルな絵本をおすすめします。
理屈抜きで楽しめる「ユーモア絵本」で、上手に気分転換してみてはいかがでしょうか。
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