足の甲が痛む!症状から疑われるケガや疾患を解説!







歩くと足の甲が痛い!

思い当たる原因がないのに、足の甲が腫れて痛むなどの症状でお悩みではありませんか?

足の痛みといえば、まず足首の捻挫を思い浮かべますが、足の甲にも多くの障害が生じます。

足のアーチをつくる足の甲には、歩行や着地で常に負担がかかるため、いろいろなトラブルが発生しやすいのです。

 

また、スポーツや事故のケガだけではなく、痛風や関節リウマチ、神経痛なども足の甲が痛む原因となるでしょう。

 

そこで今回は、さまざまな原因でおこる「足の甲の痛み」をとりあげ、症状から疑われるケガや疾患をご紹介していきます。

 

足の甲は、衝撃から脚をまもる大切なアーチ

足の骨は、つま先から14個の指の骨(趾骨:しこつ)、5個の中足骨(ちゅうそっこつ)、7個の足根骨(そっこんこつ)の順で構成されています。

7個の足根骨は、中足部の舟(しゅう)状骨・立方骨・3個の楔(けつ)状骨、そして後足部の距骨(きょこつ)・踵骨(しょうこつ:かかとの骨)から成ります。

 

足の骨や靭帯、筋肉により形成される土踏まずの縦と横のアーチは、体重を支えて着地時の衝撃を和らげる働きがあるだけに、大きな負担がかかりさまざまな障害をおこします。

 

今回は、足の甲で土踏まずのアーチをつくる、中足骨と中足部の骨や関節、腱や神経などの痛みをみていきます。

 

スポーツや事故のケガ以外でも、足の甲は痛みます

 

  • 足の甲に重い物を落とし、腫れや皮下出血、痛みが強い……中足骨骨折
  • スポーツなどでケガをしていないのに、足の甲の痛みが長びく……中足骨疲労骨折
  • 足首を内側に捻って、足の甲の小指側が痛い……第5中足骨基部骨折
  • スポーツや事故などでケガをして、足の甲が変形し、腫れと激痛がある……リスフラン関節脱臼骨折
  • 足の甲の親指寄りでアーチの頂点が、運動時痛む……舟状骨疲労骨折
  • 子供が足の甲の親指寄りを痛がり、歩きたがらない……第一ケーラー病
  • 成長期のスポーツ選手が、足の甲の外側を痛がる……足根骨癒合症
  • 足の甲の内側、内くるぶしの前方に骨の出っ張りに圧痛、思春期の女子に多い……有痛性外脛骨(けいこつ)障害
  • 足の甲で人差し指の付け根、中足骨の先端が腫れて痛む、若い女性に多い……第二ケーラー病
  • 足の甲の小指側で、外くるぶしの前が、でこぼこ道を歩くと痛む……足根洞症候群
  • 足首を内側に捻って、外くるぶしの前が腫れて痛い……前距腓靭帯損傷(足関節捻)
  • つま先立ちのスポーツなどで、足の甲が腫れて、体重をかけると痛む……リスフラン関節靭帯損傷
  • 足の甲の根元が腫れて痛み、体重がかけられない……ショパール関節捻挫
  • 足の甲が靴で圧迫され、足の指を反らす筋肉の腱に沿って痛む……足趾伸筋腱炎
  • 足の甲やすねに痛みや痺れがあり、つま先が上がらなくなることも……腓骨神経障害
  • 足の甲や指、お尻から脚にかけての痛みや痺れ、感覚異常や筋力低下など……坐骨神経痛
  • 中年以降の男性の足の甲が突然、赤く腫れて激しく痛み、足がつけない……痛風
  • 足の指の付け根から甲が朝こわばり、腫れて痛い……関節リウマチ
  • 同じ姿勢を続け、足の甲や脚全体が急に腫れて痛み、ときに息苦しい……エコノミークラス症候群
  • 足の甲が硬く腫れて痛み、赤く熱感があり、ときに寒気がする……蜂窩織炎

※足の甲が痛んだらまず整形外科を受診し、必要に応じて各専門医を紹介してもらいましょう。

 

足の甲の中足骨や中足部の骨のケガや病気

足の甲の中足骨と足根骨におこる、外傷と疾患を解説します。

 

中足骨骨折

足の甲に重い物を落として、中足骨の中央付近を骨折することが多いです。

高所からの飛び降りによる、足の甲の人差し指や中指の中足骨骨折もあります。

 

また、足首を内側に捻ったときに、小指の中足骨の付け根が腱(短腓骨筋腱)に引っ張られ、腱の付着部で骨が引き裂かれる裂離骨折(下駄ばき骨折)をおこすことも多いでしょう。(第5中足骨基部骨折)

 

長距離走や長時間歩行などで、足の甲の人差し指と中指の中足骨の足先寄りで、疲労骨折をおこすことがあります。

バスケットやバレー、野球のような球技や、剣道などでも受傷します。

 

近年サッカーやフットサルなどで多発する、小指の中足骨疲労骨折は「ジョーンズ骨折」と呼ばれ、難治性なので手術(スクリューねじ固定)になる例が多いでしょう。

繰り返しの負担が、足の甲の骨に加わると、金属疲労のように中足骨が折れてしまうのです。

 

また女子選手では、過剰なトレーニングが原因のホルモンのアンバランスにより、骨密度が低下するのも原因とされています。

 

足の甲の骨折部は、腫れや皮下出血、圧痛や動かしての痛みが強いですが、疲労骨折では歩けるケースもあり、腫れや痛みも比較的軽いです。

 

足の甲の骨にずれ(転位)がなければ、副子(添え木)などの固定で治癒します。

複数の中足骨の骨折や、転位があり整復しても元の位置を保てない場合は、足のアーチの保持が困難なので、手術になるでしょう。

 

リスフラン関節脱臼骨折

つま先立ちで大きな力が足の甲に加わり、中足骨と足根骨の関節(リスフラン関節)が、さまざまな方向に脱臼したり、骨折を伴うケガです。

交通事故では、足の甲をタイヤで踏まれたり、自転車やバイクの転倒でおこりやすく、足の甲が変形し、腫れて激しく痛みます。

 

整復(骨を元の位置に戻す)できればギプス固定しますが、整復が困難な症例では手術が検討されるでしょう。

経過が比較的良好で、後遺症も残らないとされています。

 

舟状骨疲労骨折

足の甲の親指寄り、足首の前が運動時に痛む、比較的難治性の疲労骨折です。

成長期やスポーツ選手に多く、サッカーやバスケット、陸上やダンサーなどが受傷しやすいです。

 

足の甲の舟状骨は、土踏まずのアーチの頂点にあるため、ジャンプなどの運動で負荷がかかり、疲労骨折をおこします。

ギプス固定と松葉杖歩行の保存療法で治癒しない症例では、スクリュー固定の手術と足底板(靴の中敷き)のリハビリが行われます。

 

第1ケーラー病

3~8歳の男児に多い、足の甲の舟状骨に壊死がおこる疾患です。

足の甲の内側が、腫れて痛み、熱感や歩行障害がみられます。

歩く時は足の甲の痛みを避け、足の外側でかかと寄りに体重をかけるでしょう。

 

痛みが激しときは、1ヵ月ほど患部の安静をはかり、体重をかけないようにします。

症状が軽減してきたら、足底板を用いて、徐々に負荷をかけていきます。

 

足根骨癒合(ゆごう)症

10歳前後のスポーツ選手が、足の甲の外側で足首の近くを痛がります。

骨の出っ張り(骨棘:こつきょく)が神経を圧迫すると、足に痺れがでることもあります。

 

生まれつき足の甲の舟状骨と踵骨(かかとの骨)が、繊維性の組織でつながった状態を、X線やCT、MRIで診断します。

足底板で安静を保ちますが、日常生活に支障があれば、くっついた部分を切除する手術が検討されるでしょう。

 

有痛性外脛骨(けいこつ)障害

足の甲の内側にある舟状骨の後方で、後脛骨筋腱が付く部分に骨の出っ張りがあり、押すと痛みます。

スポーツや足首の捻挫がきっかけで生じる、10~15歳の女子に多い疾患です。

激しい運動やケガで、舟状骨が腱に引っ張られると、痛みが強くなるでしょう。

 

足の甲のX線検査、ときに超音波やMRIで検査し、診断します。

安静と足底板、消炎鎮痛剤で治療しますが、痛みが強いときはステロイドの局所注射も施されます。

まれに手術が検討されますが、通常は思春期を過ぎると自然治癒することが多いでしょう。

 

足根洞症候群

足の甲の外側で、踵骨と距骨の間にあるくぼみが、立っていたり、でこぼこ道を歩くと痛み、足首に不安定感を覚えます。

足首を内側に捻った捻挫の後に発症することが多く、損傷した靭帯からの出血が炎症や腫れをおこすと考えられています。

治療は局所麻酔薬とステロイド薬の注射が有効で、運動療法の併用で7割以上は治癒するとされています。

 

足の甲付近の関節の靭帯や腱を損傷

足の甲の関節や足首を強く捻ると、靭帯などを損傷します。

 

前距腓(きょひ)靭帯損傷

足の甲の小指側、外くるぶしの前が腫れて痛み、内出血や歩行障害をおこします。

足首の捻挫は内側にひねりやすいため、外側の3本の靭帯の損傷が多く発生します。

中でも、距骨とスネの外側の骨(腓骨:ひこつ)をつなぐ「前距腓靭帯」は受傷しやすいです。

 

X線で診断し、サポーターやギプスなどによる固定と早期の運動療法で治療しますが、まれに手術も検討されるでしょう。

※前距腓靭帯損傷の詳細は、こちらの記事も参考にしてください。
「足首が痛い、そんな時に有効な対処法は『テーピング』!」

 

リスフラン関節靭帯損傷

足の甲の中心にあるリスフラン関節の靭帯を、つま先立ちで踏ん張ったときなどに損傷します。

ランニングやサッカー、剣道などでの受傷が多く、重量物の運搬やハイヒール歩行、サンダルでつまずいて傷めるケースもあります。

 

足の甲が腫れて痛み、体重をかけると痛みが強まるので、かかとでの歩行になってしまうでしょう。

親指や小指の中足骨側に多く発生し、外力が大きいときは、骨折を合併することもあります。

治療は、サポーターやギプスなどによる足の甲の固定とリハビリを行い、固定除去後は足底板で歩行訓練を続けます。

 

ショパール関節捻挫

足の甲の足首よりにある足根骨(舟状骨・立方骨・距骨・踵骨)がつくる関節を、ショパール関節と呼びます。

高所からの転落やスポーツ、特に急激な跳躍運動などで、ショパール関節に大きな負担をかけたとき受傷します。

 

足の甲の内側に多くみられ、腫れや圧痛が強く、足の外側をついて歩くようになり、強い外力では脱臼することもあるでしょう。

冷湿布と副子固定、消炎鎮痛剤で治療しますが、靭帯の損傷が重度の場合は手術が検討されます。

 

長母趾(ぼし)伸筋腱腱鞘炎(足趾伸筋腱炎)

足の甲が靴で強く圧迫されたまま、ランニングや長時間の歩行を行うと、繰り返しの摩擦で腱鞘炎をおこします。

足の親指を反らす筋肉の腱(長母趾伸筋腱)は、足の甲のアーチの頂点を通るため、障害を受けやすいです。

 

足の甲の親指側が赤く腫れ、親指に力を入れると、腱に沿っての痛みがあります。

親指を反らせたときに、ギシギシと音がすることもあるでしょう。

 

患部の安静と固定や湿布で治療します。

足の親指以外の腱でも発症し、加齢により足の甲の関節が変形している人や、ハイヒール歩行で甲高の人も傷めやすいです。

 

神経や病気が原因で足の甲が痛む場合

神経の障害やさまざまな身体の異常でも、足の甲に痛みがでます。

 

腓骨神経障害

足の甲やすねを支配する腓骨神経が、膝下の外側にある腓骨の出っ張りで圧迫、締め付けられて、痛みや痺れが生じます。

立ったり歩くと、足の甲の痛みや痺れが強まり、進行すると足の親指や足首が反らしづらく、スリッパがぬげたり、よくつまづくようになります。

 

足のケガやギプス固定、ガングリオン(良性の腫瘤)や神経鞘腫、加齢や糖尿病などが原因とされています。

足を組んだり蹲踞(そんきょ:しゃがむ)の姿勢や、きついストッキング、ハイソックスなども要因となるでしょう。

 

ビタミン剤などの内服薬とブロック注射で治療しますが、改善しない場合は手術も検討されます。

放置すると、腓骨神経麻痺にいたりますので、症状が出たら早めに専門医を受診してください。

 

坐骨神経痛

足の甲や指、お尻から太ももやふくらはぎ、すねなどがビリビリ・ジンジン・チクチクと痛んだり痺れます。

腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群など腰椎や筋肉に原因があることが多いです。

腫瘍や帯状疱疹、糖尿病などが原因の場合もあるので、症状があれば我慢せず早めに整形外科を受診しましょう。

 

※坐骨神経痛の詳細は、こちらの記事も参考にしてください。
「坐骨(ざこつ)神経痛の原因と症状!治し方のポイントはツボにあり!」

 

痛風

足の甲から外側にかけて、突然の激痛と赤い腫れに襲われ、足をついたり下におろすことすらできません。

痛風といえば、足の親指の付け根に代表されますが、足の甲や足関節、アキレス腱などにも発症します。

 

血液中の尿酸が増えて結晶となり、関節に付着して痛みが生じる疾患です。

尿酸値が7.0mg/dl以上で「高尿酸血症」と診断されますので、専門医に相談しましょう。

 

※痛風の詳細は、こちらの記事も参考にしてください。
「もしかして通風?痛風の症状とは?痛風の原因と予防についても解説」

 

関節リウマチ

足の甲や指の付け根が、朝こわばり腫れて痛みます。

本来外敵を攻撃する免疫機能が異常をおこし、全身の関節や軟骨を破壊してしまう疾患です。

 

はじめは、手指や手首のこわばりに気付くことが多いのですが、足の甲や足指にも発症します。

進行性で全身の病気なので、なるべく早く専門医を受診しましょう。

 

※関節リウマチの詳細は、こちらの記事も参考にしてください。
「関節リウマチの原因と症状。検査や治療方法について」

 

エコノミークラス症候群

エコノミークラス症候群では、片方の足の甲やふくらはぎ、太ももなどが急に赤く腫れたり、むくんで痛みます。

また、息切れや胸の痛み、冷や汗などが生じ、意識を失ってしまうこともあります。

 

旅行や災害時などで長時間同じ姿勢をしていると、足の血行が悪くなり、静脈の中に血の塊(血栓)ができやすくなります。

足の静脈に血栓ができた状態を「深部静脈血栓症」、歩行などをきっかけに足の血栓が流れて、肺の動脈をふさぐ病気を「急性肺血栓塞栓症」と呼びます。

この2つの病気を静脈血栓症と総称しますが、飛行機の搭乗で多発したため、その通称がエコノミークラス症候群となりました。

 

長い時間足を動かさずにいると発症する病気なので、ロングドライブやデスクワークなども注意しなければいけません。

高齢者や血管に障害のある人、寝たきりの人などは、脱水にならないように気を付けましょう。

また、妊婦さんや経口ピルを服用している人なども、血が固まりやすいので要注意です。

 

超音波検査や血液検査で診断し、血液が固まらないようにする薬(ヘパリン)を点滴します。

肺血栓塞栓症が疑われる患者さんは、入院治療となります。

長時間同じ姿勢をする時は、充分な足首の運動と水分補給が予防になるので、心掛けましょう。

 

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

 

足の甲やふくらはぎなどが、硬く腫れて発赤や熱感があり、圧痛が強いです。

皮膚の傷から細菌(レンサ球菌や黄色ブドウ球菌など)が侵入して、皮膚の深い部位で繁殖する感染症です。

悪化すると、発熱やさむけ、頻脈や低血圧、関節痛やだるさなどの全身症状があらわれることもあります。

 

治療は患部の処置と、抗菌薬(抗生物質)の内服や点滴を数日間おこないます。

重症例では、入院して抗菌薬の静脈内注射が施されるでしょう。

ケガや虫さされなどの皮膚の傷は、清潔に保ちましょう。

“とびひ”や水虫などの人、アトピーや湿疹で皮膚が弱っている人も注意が必要です。

 

トリガーポイント治療で、足の甲の痛みを和らげましょう

足の甲の痛みを病院で診てもらっても、原因がはっきりせず、治療で好転しない症例では、トリガーポイントと呼ばれる筋肉のしこりが原因の痛みかもしれません。

試しに、すねの前の筋肉を何ヵ所が押してみてください。

足の甲の痛む箇所に、ひびくような感じが生じたら、トリガーポイントによる痛みの可能性があります。

 

痛きもち良い程度の強さで、20~30秒ほどしっかりと押し続けてみましょう。

患部へのひびきが弱くなってきたら、そこはトリガーポイントです。

 

圧迫を少し強めながら、20~30秒の持続圧迫を数回繰り返します。

また、《5秒押して3秒離す》を、繰り返す方法もよいでしょう。

 

最後に足首を伸ばして、すねの30秒ストレッチをゆっくりと行うと、より効果的なのでおすすめですよ。

足首を反らせて、ふくらはぎを伸ばすストレッチもお忘れなく。

足の甲にある、指を反らすと緊張する筋肉や、足の裏で中足骨の間などにも、トリガーポイントが生じることがあるので、探ってみてください。

 

原因なく足の甲が痛むときは要注意

 

足の甲に痛みをおこす原因は、ケガ以外にも生活習慣病や感染症など、いろいろでしたね。

大切な足のアーチをつくる足の甲に、骨折や捻挫などの障害があると、歩くのにも一苦労です。

 

また、足の甲をぶつけたり、ひねった覚えがないのに、腫れて痛むときは要注意です。

「肺血栓塞栓症」のように、命にかかわる疾患の場合もありますので、いつもと違う痛みや体の異常を感じたら、ぜひ躊躇せずに専門医を受診してください。










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