2017年の夏の話題作としてヒットした映画「キングコング:髑髏島の巨神」
もともとは昔のモノクロ映画の登場キャラクターだったキングコングが、現代の技術でスクリーンに蘇りました。
しかしこのキングコングは、実は2005年にもハリウッドで映画化されています。
そんな2005年版「キング・コング」と、新たに生まれた2017年版「キングコング」を比較してみました。
2つのキングコングの概要
キングコング:髑髏島の巨神(2017)
「キングコング:髑髏島の巨神」は、ハリウッドが作る全く新しいキングコング映画として2017年に公開されました。
「アベンジャーズ」シリーズへの出演で知られるトム・ヒドルストンを主演に、他にも名優サミュエル・L・ジャクソン、ゴールデングローブ賞受賞で話題になったブリー・ラーソンなど話題の人気俳優がメインキャストとして並んでいます。
さらには、映画冒頭で登場する日本兵役に、ミュージシャンとして知られるMIYAVIが出演しているのも注目です。
「キングコング:髑髏島の巨神」は「クローバーフィールド/HAKAISHA」や「パシフィック・リム」などと並んで、ハリウッドが作る本格怪獣映画として大ヒットを記録しました。
昔の「ゴジラ」シリーズのような劇画イラスト風のポスターもインパクトがありますね。
キング・コング(2005)
2005年版の「キング・コング」は、キングコングというキャラクターが生まれるきっかけとなった1933年のモノクロ映画「キング・コング」と同タイトルのリメイク作品です。
監督を務めたのは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで知られるピーター・ジャクソン。
1933年版を観たことが映画監督を志すきっかけになった彼にとって、リメイク版を製作するのは長年の夢だったそうです。
キャストには「ザ・リング」シリーズのナオミ・ワッツや「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディ、コメディ俳優として有名なジャック・ブラックなど実力派のベテランが並びます。
怪獣映画というよりは、冒険映画としての側面が強い作品です。
比較1:舞台設定
(キングコング:髑髏島の巨神)
まず最初に、2作の舞台設定から比べてみましょう。
キングコング:髑髏島の巨神(2017)
「キングコング:髑髏島の巨神」の時代設定は、1970年代、ベトナム戦争終結直後です。
アメリカ政府の調査機関がベトナム戦争帰りの米軍部隊を護衛に、未知の島「髑髏島」へと調査へ向かうことから物語は始まります。
その島で待っていたのは凶暴で危険な巨大生物の数々と、そのトップに君臨する巨大なゴリラ「キングコング」だった…というストーリーです。
ヘリコプターや機関銃のような兵器・重火器が登場するなど、原作映画とは時代設定もテイストも違う作品となっています。
キング・コング(2005)
その一方で、2005年版の「キング・コング」は1930年代に作られた原作映画の設定をほぼ忠実に再現しています。
時代設定も原作と同じ1930年代、世界大恐慌の最中となっています。
映画撮影のために撮影隊や船のクルーたちが未知の島「スカル・アイランド(髑髏島)」へと向かうことからストーリーは始まります。
その島でキング・コングに主演女優として同行していたアン・ダロウを攫われ、彼女を救出するために異形の怪物がひしめく島の内部へと男たちが入っていく…というのがメインの物語です。
さらにはキング・コングを薬で眠らせて見世物としてニューヨークに連れ帰るなど、その後のストーリーも原作をなぞっています。
古い車や建物、蒸気船や手回し式の撮影カメラなど、レトロでクラシックな世界観が魅力の映画です。
比較2:キングコングの設定
(キングコング:髑髏島の巨神)
舞台設定の違いとともに、メインキャラクターであるキングコングの設定も大きく異なっています。こちらについてはまず、2005年版の「キング・コング」から見ていきましょう。
キング・コング(2005)
こちらに登場するキング・コングは、体長6〜7mほどの大きさです。
歩き方や仕草などからも、いわゆる「ゴリラ」というイメージそのままとなっています。
本来とは違う環境でより大きく進化したこと以外は普通のゴリラ、といった印象です。
表情の豊かさや時折見せる人間臭い行動にもゴリラという知能の高い動物らしさを感じさせられます。
銃撃に苦しむ様子、怪我を負う様子などからも、現実的な動物らしさがうかがえます。
キングコング:髑髏島の巨神(2017)
その一方で、2017年版のキングコングは体長数十mと、まさに「怪獣」といった容貌をしています。
大きな機関銃の銃撃にすらびくともせず、砲撃すら耐える頑強さやヘリコプターすら叩き落す強さは、動物の枠を超えて怪物のレベルです。
髑髏島で守り神として崇められているように、まさに「巨神」と呼べる、畏れを感じる存在として描かれます。
比較3:登場モンスター
(キングコング:髑髏島の巨神)
メインキャラクターであるキングコングの違いに合わせて、ほかの登場モンスターもテイストが違います。
キング・コング(2005)
2005年版ではコング以外のモンスターは、「閉鎖的な島で独自の進化を遂げた生き物たち」という印象を受けます。
巨大な虫、蝙蝠、トカゲなど、熱帯地域のジャングルにいるワイルドな生き物たちをそのままバージョンアップさせたような生き物たちです。
さらに、絶滅せずに生き残ったと思われる恐竜たちまで登場します。
キングコング:髑髏島の巨神(2017)
それに対して、2017年版に登場するモンスターたちはどこかファンタジックな印象を受けます。
デザイナーによってデザインされて生まれた、フィクションの世界の怪物たち、といったイメージです。
その中でもコングの天敵として登場する「スカル・クローラー」は、「地底世界から這い上がってきた異形の化け物」という設定が語られます。
作品の「怪獣映画」らしいテイストをぐっと強める存在です。
比較4:作風
(キングコング:髑髏島の巨神)
時代設定や登場キャラクターの色合いが違うので、この2作のキングコング映画は全体のテイストも異なります。
キング・コング(2005)
2005年版は、レトロな冒険小説を読んでいるようなテイストです。
恐竜や巨大な虫、キング・コングとの戦いなど迫力あるシーンも多いものの、ドラマ部分も大きな比重を占めています。
キングコング:髑髏島の巨神(2017)
その一方、2017年版は怪獣としてのキングコングやその他のモンスターが暴れ回り、それとアメリカ軍の兵士たちが戦う…というアクションシーンが多くなっています。
迫力を重視した、王道のハリウッド大作としての色合いが強い作品です。
まとめ
現代的な映像技術を駆使して作られた2作のキングコング映画。
それぞれに違う良さがあって、どちらも傑作と言える作品です。
「キングコング:髑髏島の巨神」はハリウッド版ゴジラと世界観がリンクしていくような示唆もあり、ハリウッド版「ゴジラvsキングコング」の公開が待たれます。
2つの「キングコング」を、是非見比べてみてください。
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