古墳時代になぜ大量生産!?“はにわ”が作られた目的と種類を紹介!







日本の時代区分では、3世紀末~6世紀にかけての時代を古墳時代と言います。

古墳時代は王や豪族を埋葬するための古墳と古墳の上や周囲に配置する埴輪(はにわ)が多く作られました。

 

本記事では古墳時代に大量生産された埴輪について、作られた目的や種類についてご紹介します。

 

古墳時代の重要キーワード「埴輪(はにわ)」

埴輪(はにわ)とは古墳時代に盛んに造設された古墳の上やその周囲に並べられた焼きものの総称です。

埴輪は弥生時代が終わる3世紀末から作られるようになり、古墳時代が終わる6世紀初頭に前方後円墳とともに廃れました。

義務教育(小中学校)で学習する日本史では古墳時代の重要なキーワードには「前方後円墳」「大山古墳(仁徳天皇陵とも)」に並び「埴輪(はにわ)」も堂々ランクインしています。

 

埴輪(はにわ)の起源

日本書記には埴輪が作られ始めたときのエピソードが書かれています。

その内容は野見宿禰(のみのすくね)という当時の大和朝廷の官吏が日葉酢媛命(ひばすひめのみこと:垂仁天皇(すうじんてんのう)の皇后)が崩御し、その陵墓へ殉死者を埋める代わりに土で作った人馬を並べ立てることを上奏したのが埴輪の起源だとしています。

 

しかし、上記の説では《人型埴輪》《動物型埴輪》のことを指しているため、後世の考古学者たちは《円筒型埴輪》の方が先に作られているはずだという見解から、日本書記に書かれている情報は正しくないと評価しています。

 

埴輪が作られた目的と形に込められた意味

 

埴輪は墳墓の上でご紹介した通り、葬儀のために用いられました。

王や豪族の棺を入れる墳丘、財宝が埋められる場所などの重要な区画を囲いこむように埴輪が並べられているので、「聖域」を示すために使われていたと考えられています。

 

埴輪は、その形状の違いによって作られた目的が異なると考えられています。

埴輪の形状の違いによる作られた目的については諸説あるので、ご紹介します。

 

【人型の埴輪】

  • 先ほどの日本書紀のエピソードの通り、殉職者の身代わりにする目的があるとする説
  • エジプトのミイラのように万が一王が蘇ったとき、依り代にできる人形を用意する目的として作り始めたとする説
  • 永続的に死者の遺体を魔物や天災から守るため(魔除け)にする目的があったという説
  • 死者があの世で寂しくならないようにすることを目的とした説(埴輪が家族や家臣の身代わりということ)

 

【家屋型の埴輪】

 

  • 死者が死後の世界で不自由なく生活できることを目的とした説
  • 死者が生前と変わらぬ生活ができることを目的とした説
  • 死者の偉業を残すこと(当時日本に文字の文化がないため)を目的とした説

 

【動物型の埴輪】

 

  • 死者が死後も乗馬や狩りができるようにすることを目的とする説
  • 死者が飼育していた動物と一緒にいられるようにすることを目的とする説
  • 生前行われた祭祀の様子を再現することを目的とした説

 

 

いろいろな埴輪の種類

 

次に作られていた埴輪の種類について解説していきます。

古墳時代に作られた埴輪はその形状から大きく分けて円筒埴輪象形埴輪の2種類に分類されます。

円筒埴輪と象形埴輪の具体的な例を示します。

 

【円筒埴輪】

器台埴輪

器台埴輪はドラム缶のように寸胴な埴輪です。

 

特殊壺形埴輪

特殊壺形埴輪は円筒状の埴輪の上部をくびれさせて壺状にした埴輪です。

これらの埴輪の側面は粘土を彫ったり、ひも状に伸ばした粘土を貼りつけるようにして装飾が施されました。

 

朝顔円筒埴輪

朝顔円筒埴輪は壺状になっている埴輪の上部を直線的にすぼめている埴輪。

横方向から見ると徳利(とっくり)のようにラッパの形をしています。

 

【象形埴輪】

人型埴輪

人型埴輪は人間を模して作られた埴輪。

男性、女性の両方があり、鎧兜を身に着けている兵士の埴輪やご丁寧に乳房やアクセサリーをつけてひと目で女性とわかる埴輪もあります。

また、狩りをしている男、釣りをしている男、馬に乗っている兵士、子供を抱いている母親など人間の行動や動作を示す埴輪もあるので、埴輪からは当時の人々の生活や服装などが読み取れます。

 

動物型埴輪

動物型埴輪は馬、犬、鳥、魚などの動物を模して作られた埴輪。

人型埴輪と同様静止像もあれば何かしらの動作をしているところを象った埴輪もあります。

 

家屋型埴輪

 

 

意外かも知れませんが埴輪には生き物だけなく家や櫓などの建築物を象ったものもあります。

家屋型埴輪は屋根と母屋の部分が別々に作られ後から開閉できるようにしたものや間取りまで正確に再現しているもの、家の周りに張り巡らされた水路まで忠実に再現しているようなこだわりの強い埴輪があります。

 

器財型埴輪

器財型埴輪は剣や鎧、兜といった武具、馬の鞍、楽器などといった器財を模して作られた埴輪です。

この埴輪に多いのが、身分の高さを象徴する剣や鎧兜などの武具です。

 

まとめ

 

埴輪が作られた目的は残された人々が死者のことを気遣って死後でも生前と変わらぬ生活を送れることを目的とする説や魔除け、聖域を区画する印とする説などさまざまな目的が考えられており、いまだに特定されていません。

 

そして、埴輪には大きく分けて円筒型象形型の2種類があります。

さらに細かく分類すると器台型朝顔円筒型人型動物型家屋型器財型の6種類です。

それぞれの形に意味があったと考えられていますが、現代の我々にはもはやそれを知る術はないのかもしれません。










よろしければシェアお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です