『山登り』標高だけで山を選ばないように 山登り初心者が気を付けることvol.2







今度はどの山に登ろうかな……次の目的地を選ぶのは非常に楽しい時間帯です。

初心者の皆さんなら近郊の山のガイドブックをご覧になっているでしょうから、それを見てここに行こうか、それともこっちにしようかなとあれこれ迷うのも山登りの楽しみのひとつといっていいでしょう。

そんな目的地選びで注意しなければならないことがあります。

 

それが標高を基準にすることです。初心者の場合、どうしてこれがいけないのか、以下をご覧になってください。

 

山の価値は標高で決まる?

山登りをする以上、必ず頂上に到達しなければならないと思っている人がいます。

初心者の中にはそれが山登りだと勘違いしている人が大勢いるし、百名山ハンターなどはその代表といっていいでしょう。

ピーク=山頂を目指すのはチャレンジ精神を大いにかきたてられますし、山頂に辿り着けば達成感も満たされます。

 

楽しみ方は人それぞれで他人がとやかくいうものではありませんが、

初めての山の名前を聞いたとき、往々にして気にするのが標高です。

特に、初心者にはその傾向が強いようです。私自身がかつてはそうだったのでその気持ちがわからないでもありません。

標高を気にする理由は、その山がどれだけシンドイか、そしてその山を制覇したことでどれだけ自慢できるかです。

「あの山を登ったの? すごいねえ」という賞賛は自尊心をいたくくすぐってくれます。

 

で、このとき、初心者の心の中ではこのような自問自答が生まれます(私の場合はそうでした)。

「この山、大丈夫かなあ。でも、この間はそれより少し低い山を余裕で登ったから、多分大丈夫だろう」

このように、山はしばしば標高によって価値が判断されています。

 

スカイラインを走れば歩く距離はゼロ!

稜線に沿って設けられた道路はスカイラインと呼ばれます。

地元の環境保護団体は得てして反対運動を起こしますが、足腰の弱いお年寄りでも山上からの景色を楽しめるとあって、その意味では存在価値はあるといっていいでしょう。

これを利用すれば簡単に山頂に立つことができます。標高の高さとシンドさはまったく関係ありません。

 

富士山の場合を見てみましょう。皆さんご存じのように富士山は日本一高い山で、標高は3776mです。

では、富士山に登る場合は実際に3776mの標高差を登らなければならないのでしょうか。

決してそんなことはありません。

なぜなら、バスが五合目まで走っているからです。登山者はそこまでバスで移動して残りを歩いて登りますから、3776mを登る必要はありません。

 

面白いことに、登山ルートによって五合目の標高は異なります。

もともと、山でいう合目とは行程を等分したわけではありません。

登山者が目安としてなんらかの目標を設定しているにすぎません。

そのため、御殿場口の五合目は標高1440m、富士宮口のそれは2400mとかなりかけ離れています。

富士登山オフィシャルサイトへ

 

とはいえ、実際に登るのは標高よりもはるかに低い距離であることはおわかりでしょう。

標高は東京湾の水面を基準としています。

しかし、登山口はそれよりもはるかに高い位置にあります。

登山用語ではこれを標高差と呼びます。

標高差500~600mが初心者向きといわれていますが、天気や傾斜度、それに体調によってそれは大きく変わります。

単純に標高だけで判断するのは早計なのです。

 

高低差を目安にすれば安全度はアップ

山がどれだけハードかを判断する目安は標高差だとたった今書きました。

では、その標高差はどのように計算すればいいのでしょうか。

そこで欠かせないのが地図の存在です。

登山者の間では古くから、国土地理院が発行した2万5千分の1の地形図が親しまれています。

 

この地図の等高線は10mで表示されており、50mおきに太い線が入っています。

それを見れば任意の地点の標高を知ることができるのです。

つまり、登山開始地点の標高がわかるというわけです。

また、最近では国土地理院のウェブページで、任意の地点を右クリックすると標高が表示されるようになっています。

 

もっとも、登山開始地点の正確な位置はなかなかつかめません。

特に、初心者にとっては難しいでしょう。

そこで、簡単に標高差を知るための方法をアドバイスしましょう。

それが高低差を記したガイドブックを参考にすることです。

これを見れば標高差だけではなく、傾斜がどれだけ急かもわかります。

 

もっとも、ガイドブックはすべての山を網羅しているわけではないから、自分が知りたい山の高低差がみんなわかるわけではありません。

ある程度慣れればやはり地図で確認した方が確実でしょう。

地図にはそのほかにもいろいろなことを教えてくれるからです。

 

最近は現在地の標高を教えてくれるスマホのアプリも登場しています。

 

ガイドブックの山登りコースタイムも参考に

ガイドブックの利点を続けましょう。

すべての山を記載してはいないにしても、コースタイムという非常にありがたいデータがあります。

このルートでは山頂を経て下山するまでに○時間かかると明記しているから、初心者にとっては非常に助かります。

 

注意しておきたいのは、この所要時間は成人男子を基準にしていることです。

10㎏前後の荷物を背負って通常の速度(速くも遅くもない速度)で歩いた場合の時間で、休息時間は含めていません。

そのため、この数字より確実に長くかかると思っていいでしょう。

 

また、当日の天気や体調によっても時間は伸びます。

出発前に頭痛、腹痛などがあればその日の山行は中止するのが当然ですが、途中で発症することも珍しくありません。

軽く足首を捻る場合もあるでしょう。

気温が高いと熱中症にかかるケースもあります。

雨や霧で視界が遮られる可能性もあります。

大雨や地震のあとでは登山道が崩壊していること考えられます。

 

このように、所要時間が余分にかかる要素はさまざまにあります。

そして、トラブルが生じたにせよ、登山開始地点には午後3時までに戻ってこなければなりません。

頭上が木々で覆われた登山道は平地よりも早く暗くなります。

山の中には街灯もありません。

トラブルによって下山が遅れたら山の中は真っ暗闇になります。

その予防のためにライトを持参するのは常識ですが、暗くなる前に下山できればそれに越したことはありません。

 

山登りの途中で引き返すことで身を守る

私自身のお話をしましょう。

6月後半の梅雨の合間の晴れ間を縫って単独登山をしました。

その日は湿気が多く、それほど暑さは感じなかったのですが、汗の量は半端なく多かったことを覚えています。

ところが、山頂まで500mの地点で突然足が前に出なくなりました。

無理をすれば山頂まで辿り着いたかもしれません。

しかし、私は潔くUターンしました。幸いにも、下りなら足はスムーズに出たおかげで無事に下山することができました。

 

あとから考えると熱中症でした。

大量に汗をかいたのに、ノドが渇かなかったため水分補給を怠ったのです。

 

これは熱中症の例ですが、疲れが激しくて休憩が異常に多くなったり、休憩しても息切れや動悸が治まらないときは、たとえ山頂が目の前にあっても引き返すべきでしょう。

体力以上の山を選んでしまったとか、予想外のトラブルが生じて登頂以前の段階で体力を使い果たした場合は即座に諦めましょう。

山は逃げません。

その山に挑戦する機会は再び訪れます。

 

楽しく、安全に。

それが山登りの大原則です。

 

まとめ

山にはいろいろな楽しみ方があります。

必ずしも山頂を目指すだけが山の楽しみ方ではありません。

植物を観察したり、写真を撮ったり、野鳥の鳴き声を聞いて種類を判断したりと人さまざまです。

夏の低山で沢の水を使って冷ソーメンを作り、それを食べて帰るというご夫婦もいました。

あなただけの山の楽しみ方をぜひ見つけてください。

次回記事:山登り初心者が気を付けることVol.3~トレッキングポールは万能ではない~












<script>

よろしければシェアお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です