なぜ北欧はメタル先進国?その理由は北欧の気候や社会、歴史に関係が?







北欧は昔から多くのメタルバンドを生み出しているメタルミュージックの先進国です。

広大な自然を有し、福祉国家の北欧とメタルミュージックってなんだか正反対のイメージもありますが、デンマークフィンランドアイスランドノルウェースウェーデン、これら北欧の国々は、国内のレコード産業を長年にわたって成功させ、多くの大物バンドを輩出しています。

特にメタルシーンは北欧の音楽ジャンルの中でも卓抜しています。

 

今回は、その《なぜ北欧でメタルミュージックが発展したのか?》についてご紹介したいと思います。

そこには、気候や環境といったイメージしやすい理由から、社会、教育、歴史的な理由がありました。

 

北欧の広大な自然と暗く寒々しい気候の中で発達

多くのミュージシャンや心理学者が北欧の極寒の気候と音楽性には関係があると述べています。

 

北欧の暗く長い冬はマイナス30℃になることもあり、日照時間も短く、外に出る時間も少なくなります。

そんな極寒の地域の人々は室内で過ごす時間が長くなり、結果、音楽に触れる時間が長くなります。

 

北欧の叙情的な音楽は、広大な自然と暗く寒々しい気候の中、室内で過ごす人々によって生み出され、メタルの場合、暗い日常がメタルの感情的な暗闇と怒りを反映している一因となっています。

 

メタルバンドが多く、発展した社会

北欧ではメタルバンドが数多く存在します。

かつて、メタルファンは音楽を怒りのはけ口とすることで疎外感や抑圧に対する怒りを共有されると考えられていました。

1960年代1970年代の経済的に荒廃した工業化されていない地域で人気が高まっているというのがステレオタイプです。

しかし、今日メタル音楽は先進国の中でも知識層の間で多くの人気を得ています。

 

アメリカの社会学者Richard Floridaはメタルバンドをリストしているウェブサイト[Encyclopaedia Metallum]のデータを利用して、住民10万人あたりのメタルバンドの数を追跡するマップを作成しています。

それによると、スカンジナビア(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)で人気が高いことが分かります。

 

Floridaの同僚で、Martin Prosperity研究所のCharlotta Mellanderは、ヘヴィメタルと経済的、社会的要因の関係性の傾向について調査しています。

その結果、国のヘヴィメタルバンドの数が、国内総生産や、創造力、企業力のレベルに関連があることや、人間開発指数が高く、幸福、人生に満足している人々の割合が高い地域ほどメタルのファンが多いことを発見しています。

 

新しい音楽というのは、不満、不利益や孤独感、疎外感を持つグループからも生まれますが、さらに、新しい音、ジャンルを人々に伝えることのできるメディアやエンターテインメント企業、発展した裕福な社会も重要であるとFloridaは述べています。

 

幸福な人ほどメタルなどの激しいや暗い音楽を好み、不幸な人ほど明るい音楽を好むという研究結果もあります。

このことからも北欧でヘヴィメタルが人気であることが分かります。

 

音楽教育の充実

 

さらに、スウェーデン人であるMartin Prosperity研究所のMellanderは、スカンジナビア(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)の人々がヘヴィメタルバンドを愛していることは、政府が直接音楽の教育を行っていることと関係があると主張しています。

 

スウェーデンにはバンドを始める環境が政府によって整えられていますし、フィンランドでは音楽の授業でヘヴィメタルを扱っています。

音楽活動に対して手厚い支援を行い、新しい音楽をすぐに文化として取り込む体制が印象的です。

このことがバンドに求められるテクニカルな要求を満たすことのできる世代を作り上げることができたとしています。

 

北欧の民族音楽に影響を受けたヴァイキングメタル

北欧メタルには歴史的にもルーツとなる精神や民族音楽から影響を受けたメタルのジャンルが存在します。

それがヴァイキングメタルです。

 

ヴァイキングメタルは北欧神話、ノルウェー宗教、ヴァイキング時代をテーマとした叙情的で重たいテーマを扱ったメタルのスタイルです。

一般に北欧の民族音楽からの影響を受けたブラックメタルの一部とされています。

 

ヴァイキング時代とは、ヴァイキングと呼ばれるゲルマン系の人々が、貿易や襲撃、植民地化、征服を目的として侵略を行っていた時代のことです。

特徴として、遅いテンポや重たいリフティング、賛美歌的なコーラス、民族楽器の使用などが挙げられます。

メタルのうなるようなサウンド、やデスヴォイスはヴァイキング時代の文化にも起因しているのでしょう。

 

1980年代後半ばから1990年代初めにかけてブラックメタルからヴァイキングメタルが出現します。

反キリスト教としてはブラックメタルとヴァイキングメタルは共通ですが、オカルト的なテーマ、悪魔主義のブラックメタルから、ヴァイキングのテーマや異教主義を扱うヴァイキングメタルが生まれました。

ほとんどのヴァイキングメタルは北欧諸国から生まれています。

 

異教主義という点ではペイガンメタルがさらに上の階層に来ます。

ペイガンメタルとは、異教主義を軸とした音楽性を持つヘヴィメタルのことです。

ヴァイキングメタルは歌詞やサウンド、テーマはペイガンメタルと似ていますが、ペイガンメタルはより広義の神話の視点と民族楽器を使用しています。

 

ちなみに、ペイガンという言葉の使用には注意が必要です。

語源は、田舎民を意味するラテン語から来ており侮辱語です。

悪役という英語(villain)も田舎民という言葉から派生したもので、キリスト教信者らが北欧の異教の人々を指すときに使用されていたというルーツを持ちます。

 

個人を重んじる北欧の公民教育

 

音楽教育だけでなく、公民教育にも北欧がメタル先進国として発展した要因があります。

 

北欧の教育には、現実を現実として教育するという特徴があります。

偏らずに個人の自由や権利などを教え、個人や多様性を尊重した教育を行っています。

 

ヴァイキングメタルで述べたような、ヴァイキング時代の歴史や精神、民族的な伝統を音楽にする行為につながっています。

日本では歴史的事実に対する反抗はタブーのように感じてしまいますが、北欧では現実を現実としてとらえ、個人が尊重されています。

 

まとめ

 

北欧がメタル先進国である理由

  • 極寒の地域であるため室内で過ごす時間が長く、音楽に触れる時間が長い。
  • 社会の寛容性を必要とするテーマも扱うため、発展した社会で受け入れられている。
  • 音楽教育が充実し、音楽活動を行う体制が整っている。
  • 土着的な音楽やヴァイキング時代の精神から攻撃的なサウンドが生まれている。
  • 現実を現実としてとらえ個人を尊重する教育を行っている。

 

など気候的な要因から、社会的、歴史的な要因が挙げられます。

 

最後に北欧の代表的なメタル曲を3曲ご紹介します。

 

Enemy Within / Arch Enemy(スウェーデン)

日本でもおなじみのメロディックデスメタルバンドです。

 

Black Diamond / Stratovarius(フィンランド)

有名なフィンランドのパワーメタルバンドです。

パワーメタルとはデスヴォイスや激しいサウンドを使用せずにメロディを重視したメタルのことです。

 

Det Som Engang Var / burzum(ノルウェー)

北欧の山奥にいるような雰囲気の暗いブラックメタルです。










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