鼻がいたい!鼻に痛みをおこす病気と副鼻腔炎の詳細を紹介します。







鼻の内側が腫れて触ると痛い、鼻の奥や周りが痛むなどの症状はありませんか。

鼻は顔面から突き出ているため、ぶつけてケガをしやすい部位です。

また、鼻の穴は外気に最初に触れる場所なので、ウイルスや細菌による感染の危険に常にさらされています。

そのため鼻は炎症をおこすことが多く、さらに副鼻腔(ふくびくう)などの複雑な構造により、膿がたまりやすい器官です。

20歳~60歳代の約15.9%の人が、副鼻腔炎を経験しているとの報告には驚きですよね。(小林製薬調べ)

 

鼻水や鼻づまり、鼻の周りの痛みなどは、日常生活において、とてもつらいものです。

そこで今回は、鼻に痛みをおこす病気やケガと、副鼻腔炎の詳細などをお届けします。

鼻でお悩みのかたは、ぜひ参考にしてくださいね。

 

鼻のどこが痛みますか?

鼻の入口や内側、鼻の周りが痛む病気をみていきましょう。

 

鼻の入口が痛い「鼻せつ」

鼻の入口や鼻の頭、小鼻が赤く腫れて痛む「おでき」が「鼻(び)せつ」です。

鼻毛を抜いたり、皮膚を爪で傷つけたときなどに、細菌が感染して炎症をおこし、膿がたまって破れることもあります。

 

患部は触らず、入浴や激しい運動、飲酒や刺激物は避けてください。

悪化すると、蜂窩織炎や海綿静脈洞血栓症などに至ることがあるので、炎症がひどくなるときは医師に相談しましょう。

抗生剤の軟膏や内服薬、消炎鎮痛剤などで治療しますが、膿が多くたまったときは、切開も検討されます。

 

鼻の穴が痛い「鼻前庭炎」

「鼻前庭炎(びぜんていえん)」では、鼻の穴の内側がただれてしまい、鼻が痛みます。

皮膚の炎症や湿疹ができて、かゆみや違和感、痛みが生じて出血することもあります。

 

鼻炎や副鼻腔炎があると、鼻汁により慢性的に患部が汚染されて、細菌感染をおこし発症します。

鼻にかゆみがあるため、爪で傷つけると症状を悪化させてしまうのでご注意ください。

治療は、抗生剤の軟膏や内服薬、消炎鎮痛剤などが処方されます。

 

風邪をひいたあと、鼻の周りが痛い「急性副鼻腔炎」

顔の中にある空洞(副鼻腔)に、膿がたまるのが「副鼻腔炎」です。

主にウイルスが原因の風邪をひいたあと、細菌に感染して鼻から副鼻腔に膿が入ったり、副鼻腔の粘膜が炎症をおこして発症します。

炎症の原因となる菌は、肺炎球菌やインフルエンザ菌などです。

上の歯の根に近い空洞(上顎洞:じょうがくどう)では、虫歯や歯周病の炎症、インプラントなどが原因になることもあるでしょう。

また、偏食や大気汚染、ストレスなどによる免疫力低下も要因といわれています。

 

鼻水と呼ばれる、鼻粘膜から分泌される「鼻液」に涙や呼気の水分が加わった鼻汁が、病的に増えた状態が「鼻漏(びろう)」です。

鼻漏か昼間の咳が10日以上続く、一度治まった症状が再発悪化する、3日以上続く緑黄色の鼻水と39℃以上の発熱の、いずれかがあれば急性副鼻腔炎との診断になります。

 

通常は、鼻をかむことで、鼻水と共に副鼻腔の膿も排出され、約1ヶ月で自然に治癒します。

自分で鼻をかめない子供は、耳鼻科で吸引してもらうとよいでしょう。

アレルギーのある人は、鼻と副鼻腔の通り道が腫れて狭くなり、膿が出づらくなることがあります。

繰り返し副鼻腔炎になる場合は、アレルギー性鼻炎の治療もご検討ください。

 

症状により数日間様子を見たり、粘液溶解薬や抗アレルギー薬、点鼻薬などによる薬物治療が行われます。

また、鼻汁の吸引や、霧状の薬を鼻に吹きつけるネブライザー治療も有効です。

 

鼻の奥やほほ、目の奥や額などの痛みは、重症のサインですので、我慢せずに耳鼻科で診てもらってください。

細菌感染や重症時の治療には、抗生剤が処方されるでしょう。

近年、菌の薬剤耐性化が問題になっているので、抗生剤の投与は慎重に行われます。

 

蓄膿症(ちくのうしょう)は、慢性副鼻腔炎のこと

急性副鼻腔炎が長引くと、慢性副鼻腔炎になり、さまざまな症状や合併症がみられます。

 

慢性副鼻腔炎の原因と症状

かつて蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれた「慢性副鼻腔炎」とは、急性副鼻腔炎の症状が3ヶ月以上続いた状態をさします。

鼻の周りには、粘膜がついた骨で囲まれた空洞(副鼻腔)が左右4つずつあり、それぞれ鼻とつながっています。

慢性副鼻腔炎になると、その通路(自然口)が炎症のため腫れてふさがり、異物を外に出す小さな毛(せん毛)の働きも悪くなります。

その結果、細菌が増殖し炎症が悪化して、副鼻腔にたまった膿が排出されず、つらい症状が生じてしまいます。

 

鼻の症状は、鼻水と鼻づまり、鼻水がのどの奥に落ちる後鼻漏(こうびろう)や鼻茸(鼻ポリープ)、嗅覚障害や悪臭などです。

さらに副鼻腔のある、鼻のつけ根やほほ、頭や目の奥などに痛みが発生します。

 

慢性副鼻腔炎の検査と治療

鼻腔内視鏡により、自然口や粘膜を観察して診断します。

症状によっては、X線やCT検査、細菌検査を行うこともあるでしょう。

 

薬物治療では、気道粘液修復剤や気道粘液溶解剤などが処方されます。

さらに、鼻水の吸引と洗浄やネブライザー治療が有効でしょう。

保存療法で治らない場合は、手術療法が検討されます。

手術では、鼻の穴から内視鏡を入れて、自然口を広げたり、粘膜を一部摘出する方法がとられます。

 

通常の半分量の抗生剤を2~3ヶ月間内服する「マクロライド少量長期投与療法」により、患者さんの80%が治癒するといわれています。(奏の杜耳鼻咽喉科クリニックHPより)

 

慢性副鼻腔炎の合併症と鼻のがん

慢性副鼻腔炎の合併症には、耳が痛む「中耳炎」、のどが痛む「咽喉頭炎」、せきと痰が続く「気管支炎」、ほほや目が腫れる「蜂窩織炎」、頭痛が激しい「髄膜炎」などがあります。

 

最近は、アレルギーが原因の「好酸球性副鼻腔炎」が増えています。

成人が罹患する、とても治りにくい副鼻腔炎で、気管支喘息を合併します。

鼻の中にポリープが多く発生するため、嗅覚が障害されやすく、手術後も再発を繰り返します。

薬物療法では、ステロイド剤のみが有効とされています。

 

鼻のがん(鼻副鼻腔癌)は、慢性副鼻腔炎を長く患うことが原因の一つと考えられています。

副鼻腔にがんが生じると、鼻血や鼻の痛み、鼻水や片方の鼻づまり、ほほや目の腫れと痛み、歯痛や眼球突出などの症状がみられます。

治療は、放射線や化学療法、手術が検討されるでしょう。

 

鼻をかむときは、正しい方法でかみましょう

正しい方法で鼻をかむことは、鼻づまりを解消し、鼻の病気の治療と予防に役立ちます。

鼻に入った異物を洗い流す鼻水を、すすってはいけません。

 

片方の鼻をしっかりと押さえ、口から息を吸って、ゆっくりと優しく鼻をかんでください。

決して、一気に強くかまず、少しずつかむのがコツです。

 

強くかみ過ぎると鼻血や耳の痛み、鼻水が残ると気管支炎や肺炎、鼻をすすると中耳炎になることがあるので、ご注意くださいね。

 

鼻に水が入ると痛いのはなぜ?

 

水泳や洗髪時に、誤って鼻に水が入ったときのツーンとした痛みは、誰しもが経験したことがあるでしょう。

 

原因は、水の温度と塩分濃度にあります。

鼻の粘膜の神経は敏感なので、水との温度差や浸透圧の差により、痛みを感じるとされています。

また、プールの消毒用塩素や塩分濃度の高い海水(3.5%)も、鼻粘膜を刺激して、痛みを感じさせます。

 

鼻洗浄を行うときは、体温程度に温めた生理食塩水(塩分0.9%)を使用すると、鼻にしみませんよ。

 

鼻に異物が入っても、あわてないで!

 

鼻に石やパチンコ玉などが入って取れなくなっても、命にかかわることはまれです。

子供におこりやすい事故ですが、あわてず対処しましょう。

 

反対側の鼻を押さえて、少し強めに鼻をかんでみてください。

植物油などを鼻の穴に少量たらすと、取れやすいでしょう。

 

懐中電灯などで照らして、異物が取れそうでしたら、ピンセットで慎重に引き出してください。

ただし、子供は急に動いたりするので、ピンセットの先で鼻粘膜を傷つけないように気をつけましょう。

 

無理は禁物、取れそうもなかったら、耳鼻科の受診をおすすめします。

また、激しいせき、呼吸困難、チアノーゼなどがみられたら、異物が気管に落ちた可能性が高いので、すぐに救急車を呼んでください。

 

ほとんどの鼻血は止まります

 

鼻血がでたら、服をゆるめ枕を少し高くして、楽な姿勢で寝てください。

出血側の鼻が下になるように、顔を横に向けます。

鼻のつけ根を人差し指で優しく圧迫すれば、ほとんどの鼻血は止まります。

前かがみで座り、小鼻を指でしっかりとつまむ方法も有効です。

それでも止まらなければ、鼻の穴にガーゼや脱脂綿、ティシューなどを詰めてもよいでしょう。

 

鼻血はのどの奥にも流れ込みますが、飲みこまないで必ず吐き出すようにしましょう。

また、強く鼻をかんだり首の後を叩くと、出血がひどくなる場合があるので避けてください。

 

なお、自宅で15分以上鼻血が止まらないときは、耳鼻科で処置してもらいましょう。

受診のさいは、鼻血を拭きとったガーゼなどを持参すると、出血量の推定に役立ちます。

 

耳鼻科では内視鏡で出血部を確認後、軟膏ガーゼで圧迫して止血します。

出血が止まらないときは、レーザーなどで患部を焼いたリ、止血用バルーンを用いますが、入院が必要になることもあります。

 

鼻をぶつけた覚えがないのに、鼻血がでるときは、病気が隠れているかもしれません。

原因なく鼻血を繰り返すときは、高血圧緊張症、動脈硬化、白血病、紫斑病、血友病、肝障害、鼻の腫瘍などが疑われるので、専門医にご相談ください。

 

顔を強く打ったときは、鼻を骨折しているかも

顔は血管が豊富なので、ケガをすると出血量が多いものですが、あわでず冷静に対処しましょう。

 

ピンク色の鼻血は危険!

鼻血が少量のときは、鼻のつけ根を指でつまみ安静をとれば、ほぼ止まります。

多量に出血していると、気管に血が流れこみ、窒息する危険があるので、横向き(昏睡体位)に寝かせます。

また、血液を大量に飲みこむと有害な場合があるので、なるべく吐き出させましょう。

清潔なガーゼなどで、窒息に気をつけて鼻を圧迫し、病院に急いでください。

 

鼻からピンク色の出血があるときは、頭蓋底骨折が疑われます。

鼻栓はしないで鼻にガーゼなどを当て、出血側を下にし頭を少し高くして寝かせます。

生命の危険があるので、至急救急車を呼んでください。

 

頭も打っていることも

鼻と同時に頭を打っている場合があるので、2~3日は症状の変化に注意してください。

吐き気や嘔吐、頭痛や手足の麻痺、言語障害や意識障害などが見られたら、脳外科を受診しましょう。

 

鼻骨骨折は早めの処置を

鼻の上半分にある「鼻骨」は薄いので、弱い力でも折れてしまうことがあります。

顔を殴られたり、コンタクトスポーツや転倒などの事故で骨折することが多いでしょう。

 

症状は骨折部の痛みと鼻血、圧痛、変形、内出血、腫れなどで、鼻づまりや息苦しさを訴えることもあります。

骨折した直後は、鼻すじの変形を確認できますが、時間がたつと鼻が腫れてしまいわからなくなるでしょう。

 

鼻骨骨折は、医師の診察とX腺やCT検査で診断されます。

放置すると鼻が変形したまま骨がついてしまい(1~2週間)、鼻づまりをおこしやすくなります。

整形外科を受診して、骨がつく前に、元の位置に戻す整復をしてもらいましょう。

 

通常、成人は局所麻酔下で、鉗子(かんし:刃のないハサミのような器具)を用いて整復し、ガーゼとギプスやアルミ板で固定します。

受傷後1週間以上の骨折の整復は、全身麻酔や他の手術が必要になることもあるので、なるべく早く病院に行きましょう。

 

なお、交通事故などの大きな外力が加わった場合は、鼻骨以外の骨が折れることがあります。

目の動きや見え方に異常があったり、鼻から透明な液体が流れ出るときは、救急車を呼んだほうがよいでしょう。

 

鼻に関するこんな症状は、救急車を呼びましょう

鼻をケガしてから、こんな症状がみられるときは、救急車を呼んだほうがよいとされています。

 

  • 鼻血が30分以上止まらず、出血量が100cc以上のとき
  • 鼻の変形や大きな傷、目の周りに腫れがある
  • 鼻や耳から透明な液体が出続けて、止まらない
  • 頭や目などに痛みがあり、物が二重に見えたり、かすんだり、視野が欠ける
  • 吐き気や嘔吐、呼吸障害や言語障害がみられる
  • 意識がもうろうとして、普段と様子が違う

 

救急車を呼ぶか迷ったときは、「救急情報センター」に電話で相談するのも一つの方法です。

電話番号は「#7119」、24時間受け付けていますが、一部の地域に限られます。

お住まいの地域に救急情報センターがあるか、事前に確認しておくとよいでしょう。

 

鼻の症状にきくツボ

 

つらい鼻水や鼻づまりの症状を和らげるツボをご紹介します。

ツボの位置を目安に周辺を押してみて、鼻に心地よくひびく点がツボです。

ゆっくりと3~5秒間押しては離すを、3~5回繰り返してください。

 

鼻水に効くツボ

  • 孔最(こうさい):肘内側の横じわと手首を結んだ線上で、肘から1/3の点からやや親指より

 

鼻づまりに効くツボ

  • 上星(じょうせい):額の髪の生え際中央から、中指幅1本分上方
  • 鼻通(びつう):小鼻の上部のくぼみ
  • 外鼻(がいび):耳の穴の前にある、ふくらみの中央の少し前
  • 内鼻(ないび):外鼻の裏側で、やや外下方
  • 合谷(ごうこく):手の甲側で、親指と人差し指の骨が交わる点から、やや人差し指寄り

 

鼻水と鼻づまりに効くツボ

  • 睛明(せいめい):目頭と鼻のつけ根の間で、骨のきわ
  • 厲兌(れいだ):足の人差し指の爪の生え際で、中指側の角のすぐ下

 

上星は両中指を重ねて、鼻通と睛明は人差し指か中指の指先で、外鼻と内鼻は親指と人差し指で挟んで、押し揉みしましょう。

ツボ押し中に鼻の症状が悪化したら、治療を中止してください。

 

鼻の病気やケガは放置せず、早めに病院へ

 

毎年、約1000万~1500万人(オムロンヘルスケアのサイトより)が患う「副鼻腔炎」を中心に、鼻に痛みをおこす病気やケガをご紹介しました。

正しく鼻をかみ、鼻洗浄などで鼻の粘膜を常に清潔に保つことが、副鼻腔炎の治療と予防に役立つのですね。

副鼻腔炎を放置して長引かすと、鼻のがんの原因になることもあるので、症状があれば早めに耳鼻科を受診しましょう。

また、顔をぶつけたときは、症状によっては鼻以外の骨折や頭部外傷の可能性もあるので、注意が必要です。

救急車を呼ぼうか迷ったときは、ぜひ「救急情報センター」に相談してくださいね。










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