【考えさせられる深い絵本】 大人こそ読むべき!「哲学的な絵本」おすすめ5選







可愛い絵柄に惹かれて読んでみたらば、とんでもなく深いテーマが描かれていてびっくりした…という経験はないでしょうか?

絵本は子供が読むものだ、などと侮ってはいけません。

大人ですら、一読しただけではつかみきれない、物事の本質を問うような絵本がたくさんあります。

 

そこで今回は、ハッとさせられるような言葉を多く含んだ、大人が読むといろいろと考えさせられる哲学的な絵本を5冊厳選しました。

読む人の心に、何かしらの問いを投げかけてくるはずです。

 

『オオカミがキケンってほんとうですか?』 せき ゆうこ (著)

オオカミがキケンってほんとうですか? (PHPわたしのえほん)

キラキラお目目の可愛いひつじ。

ある日町を歩いていると、「オオカミ キケン!」という張り紙をみつけました。

町中のみんなが「こわいこわい」 「いやだいやだ」と噂をしています。

でもひつじは、「ほんとかな~?」と思いました。

なぜなら、いつもお母さんに、

「うわさをしんじてはいけないよ」と言われていたからです。

そこでひつじは、オオカミが本当にキケンなのかどうか、自分で調べることにしました。

ひつじがたどりついた答えとは……?

 

ふわふわしたメルヘンチックな表紙絵からは想像できないくらい、奥深い、濃い内容の絵本です。

構成も非常によく練られているので、意外な展開にびっくりする人も多いかもしれません。

 

前半部分は、社会における「思い込み」や「偏見」のあり方について。

そして中盤以降は、自然の摂理を根底に、親が子を育てる愛情、子が親を慕う気持ちといったものが、ユーモアを交えて非常にわかりやすく描かれています。

 

オオカミが他の動物を襲うのは、食べるため、生きていくためです。

生きるための行いが、誰かにとっては恐怖となる。

「食べる者」にも、「食べられる者」にも、そのどちらにも命があり、家族があります。

 

この絵本は、自然の摂理を伝えるだけではなく、物事を俯瞰的に、異なる視点でみつめることの大切さをも、教えてくれているのではないでしょうか。

 

『ウーギークックのこどもたち』 坂元 裕二 (文)、 林田 秀一 (絵)

ウーギークックのこどもたち

女の子の名前は、るる。生まれたときから、ずっと病院で毎日を過ごしています。

その病院には、ひとつの噂がありました。

地下のボイラー室に、「ウーギークック」という怪物が住んでいて、

病院にいるこどもたちの魂を食べているというのです。

るるは勇気をだして、ウーギークックに会いに行くことに決めます。

これ以上こどもの魂を食べないでくれと、頼むためです。

「るる」と「ウーギークック」。

ボイラー室の暗闇の向こうで、一対一の対話が始まります……。

 

『ウーギークックのこどもたち』は、もともとは日本テレビ系連続ドラマ「Woman」(2013年)に登場した架空の絵本です。

それが視聴者からの大きな反響を受け、2014年に現実の絵本となりました。

 

ドラマの脚本家である坂元裕二さんが全文書き下ろしたストーリーということで、まるで映画でも観ているかのような、緊迫した空気が絵本の中に漂っているのを感じます。

 

心を突くような、ハッとさせられる言葉の数々。

なぜ「死」はこわいのか。かなしいのか。

ウーギークックは、最後の最後に何を思ったのか。

 

単なる絵本では片付けられない。深い森に迷い込んでしまったかのような読後感です。

答えのみつからない問いが、頭の中でぐるぐると渦巻いてしまうかもしれません。

 

『キツネとねがいごと』 カトリーン・シェーラー (作)、 松永 美穂 (訳)

キツネとねがいごと

年老いたキツネは、若いころのように機敏に動くことができません。

鳥やネズミたちが自分のリンゴを採って食べてしまうことに、いつも腹をたてています。

ある日キツネは、わなでつかまえたイタチを助ける代わりに、

「自分のリンゴの木に触れたものは、そこにくっついて永遠に離れられなくなる」

という魔法をかけてもらいました。

誰にもリンゴを横取りされることがなくなったキツネは、自分の奥さんと一緒に幸せな毎日を過ごします。

 

さらに年をとったキツネのもとに、とうとう、死神が迎えに来ました。

ところがキツネは、その死神まで、リンゴの木にくっつけてしまうのです。

「これでおれは死ぬことがない!」

永遠の命を手に入れ、よろこぶキツネでしたが……。

 

この絵本で興味深いのは、死神がキツネと同じ顔をしていることです。

死神といえば、黒いマントを羽織った骸骨のようなイメージが一般的ではないでしょうか?

でも、この絵本は違います。キツネの分身のような姿で描かれているのです。

白い着ぐるみを着て、死神というよりも、天使のような印象すら受けるかもしれません。

自らが自分を試し、慰めているかのような、不思議な光景。

 

死なないことは、幸せなことなのか。

命あるものには、なぜ必ず死が訪れるのか。命の終わりについて、考えさせられます。

 

『ことばのかたち』 おーなり由子 (著)

ことばのかたち

「もしも話すことばが目に見えたら、どんなかたちをしているだろう……」

詩的な問いかけで、この絵本は始まります。

 

うつくしいことばは、花のかたち。

人を傷つけることばは、針のかたち……

 

さまざまな「ことばのかたち」が、色彩豊かに、美しく描き出されていきます。

絵本だからこそできる、ストレートな詩的表現です。

 

もしも「ことばのかたち」が目に見えたなら、人はきっと、もっともっと、ことばを大切に使うことでしょう。それは間違いありません。

この絵本は、ことばのもつ力や大切さを、改めて考えさせてくれます。

頭ではわかっているつもりでも、気づかされる部分がたくさんあるのではないでしょうか。

ぜひ手もとに置いて、時折読み返して欲しい。そんな絵本です。

 

『ぜつぼうの濁点』 原田 宗典 (作)、 柚木 沙弥郎 (絵)

ぜつぼうの濁点

昔むかしあるところに、ことばの世界がありました。

これはその真ん中の、「ひらがなの国」で起きたできごとです。

ひらがなの国では、「あ」から「ん」までのことばがくっつきあって、その単語の意味のごときに暮らしています。

ある日のこと。なんと、道端に「”」という濁点だけが置き去りにされていたのです。

その濁点は、深い森に住む「ぜつぼう」の「せ」の字に長年仕えていた濁点でした。

自分がいるから主人は絶望の中にいるのだと、ずっと思い悩んでいた濁点は、自ら主人のもとを離れたのだと言います。

濁点は新しい主人をみつけようと、皆に必死に頭を下げるのですが……。

 

この絵本は「ひらがな」を擬人化した物語ですが、単なる「言葉遊び」としてではなく、絶望とはなんなのか、その苦しみについて深く考えながら読むと、いろんなことに気づかされます。

もしも、自分が誰かにとって、「ぜつぼうの濁点」になっているとしたら……

考えただけでも、恐ろしくなりませんか?

 

絶望とまではいかなくても、自分が誰かの重荷になっているのではないか。

そんなふうに思い悩んでいる人は少なくないはずです。

 

ぜつぼうの濁点は、主人を絶望から救い、そして、自らの運命をも変えました。

どんなに深い絶望の中にあっても、必ずそこから生まれでる「光」がある。

絶望のままでは終わらない! そう思わせてくれる絵本です。

 

【まとめ】

今回紹介した絵本は、さまざまなことを見つめ直す「きっかけ」となってくれるはずです。

難しいテーマも、絵本なら気軽に手に取ることができるのではないでしょうか。

そこから何を読み取るかは、人それぞれ。

大事なのは、自分なりの考えを、見出していくことかもしれません。










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