日本史、世界史に関する歴史の能力を資格にすることができる歴検(歴史能力検定)は、私も保有しており、歴史が好きな方にはぜひとも受験してほしい検定です。
今回は私が歴検を認知してから受験するまでの体験談をお送りします。
マイナーな検定資格 歴検(歴史能力検定)
みなさんは検定と言えばどんな検定をイメージしますか?
英検に漢検、秘書検定にパソコン利用検定など、世の中にはいろいろな検定資格があります。
先ほど例に上げた英検や漢検は中学生にもなれば、学校の先生から受験することを強く勧められるし、年長の兄弟姉妹や先輩たちも日常会話に出すので、知らず知らずのうちに認知していることでしょう。
しかし、歴検はどうでしょうか?
英検や漢検に比べると、とてもマイナーな検定資格です。
私は中学3年時に歴検の日本史2級を取得したのですが、当初は歴検という資格があることすら知りませんでした。
歴検を知ったキッカケは担任のS先生
歴検を受験した体験談をお送りするためには、まず私が歴検を知った経緯を書かねばなりませんね。
私が歴検を知ることになるのは、友人と当時担任だったS先生との会話の中にあります。
私の通っていた中学校は農村にある学校で、全校生徒が19人という超小規模校でした。
学年あたり5~6人しかいないので、先生方ともとても仲がよかったです。
私が歴検を知った日は《漢検》の申込の締切日で、漢字検定協会が発行する封筒に氏名と受験する級を記載し、その中に受験料を入れて朝に提出することになっていました。
1クラス30名いるような学校では、たいてい最後列の生徒が一列分回収して提出するのでしょうが、私の母校では各人が朝礼時に担任の先生まで提出するようになっていました。
その際、私は同級生たちと「何級受けることにした?」、「俺○○が苦手なんだよ」といった実に他愛もない会話をしていました。
それは担任の先生の耳にも届いていたようで、「Kくん、いきなり3級受けるのは無謀じゃない?」、「Mさんは国語得意だから1ランク上げても大丈夫だと思うよ」というようにアドバイスをしてくれていました。
いよいよ自分が提出する番となり、私は封筒を手渡す際
と素朴な疑問を投げかけました。
すると、S先生はニヤリと笑って眉毛を上げなが
と教えてくれました。
S先生は社会科の先生で、特に日本史を専攻していたようで、大学時代は新選組について研究をしていたそうです。
第一関門 両親の説得
歴検の存在を知った私は「受けたいっ!」と即答し、S先生から検定の内容を聞きました。
S先生に「お父さんかお母さんにちゃんと話してそれから申込をしよう」と言われましたので、その日の夜両親を説得することにしました。
私は陸上自衛官の父と幼稚園教諭の母との間に次男として生まれ、勉強や習い事に力を入れた家庭で育ちました。
父は「いいよ。」とすぐに答えてくれたのですが、問題は我が家の財布の紐を握っている母です。
母の承認がなければ受験料を納められないので、申込ができません。さすがに母は女性だけあって現実思考が強く
という一言で片付けられました。
母親の言葉はかなりショックでしたが、それでも諦められなかった私はその後、1日あたりのゲーム時間の短縮を条件に母の首を縦に振らせることに成功したのでした・・・。
第二関門 小規模校ならではの問題
両親を説得した次の日、私は陽気に登校して朝礼の時間も待たず、直接職員室にいるS先生に報告しにいきました。
すると、S先生は深いため息をつきながら、パソコンの画面とにらめっこしていました。
両親の説得に成功したことをS先生に伝えると
と話してくれました。
それもそのはず、私の実家から青森市までは約90km離れており、電車か自家用車でなければ到達することが難しかったのです。
また、鉄道で行くとすると10km離れた場所にある最寄駅から電車を乗り継いで2時間30分も在来線に乗らなければなりませんでした。
第三関門 受験者の募集
次の課題は私以外の受験希望者を4人集めることです。
全校生徒全員に歴検の魅力やメリットを説いてまわり、ほぼ同情をひく形でかなり苦労はしましたが、なんとか私も含めて5人集めることができました。
第四関門 歴検の試験対策の勉強法がわからない
次の課題は検定の対策をどのようにしたらよいか誰もわからなかったことです。
私は初めて受験するときは、5級からスタートしたのですが、前例のない挑戦となるので、先輩からどのような問題が出るかや、おススメの参考書などを教えてもらうことができませんでした。
しかしS先生は私たちの為に書店へ行って5級~1級までの問題集や参考書を大人買いして、プリントを作成してくれたり、分析した結果出題される傾向の強い部分を昼休みや放課後に解説してくれたり、とても力になってくれました。
私は帰宅してから購入した問題集を反復して解いたり、資料集にある絵画、仏像、建築物の画像を脳裏に焼き付け、年号やキーワードを暗記できるように何度も読み返しました。
手探り状態で開始した歴検の試験勉強でしたが、いろいろと模索した結果、まずは過去問や問題集を解いていきました。
そして、問題集の採点をする際は解答した問題を「〇、×、△、□」の4段階に分けました。
自信のある解答で正解した場合は〇、全然わからなければ×、自信はなかったけれどまぐれで正解したものは△、問題文をよくよく見返せば答えがわかったり、問題文の解釈をミスしたときは□といった感じです。
こうすることによって、
〇だった問題は勉強する必要なし。
×と△は要勉強。
□のついた問題はどのような文言が書かれているかを分析するといったように、自分の理解度やミスの傾向を分析しながら勉強するのが、いちばん効率的でした。
当時は数学や国語などの宿題もあったので、歴検だけの勉強をするわけにはいきませんでした。
そのため、歴検の勉強に費やせた時間は1日あたり30分~1時間程度でしたが、それを3週間行うだけでも十分に対応することができました。
使用した教材は問題集と解説がついた参考書を一冊と過去問集、小学6年生の歴史の教科書と資料集の4つです。
いよいよ受験
受験日の前日は心配しすぎるあまりよく眠れず、資料集と教科書を何度も読んで朝を迎えました。
一睡もできなかったので、試験中居眠りをしないか不安だったのですが、いざ受験してみるといつも以上に集中力が続き、すべての回答が終わるまで眠気に襲われることはありませんでした。
5級では3択式の問題が40問出題され、その内容は小学校で学習した縄文時代から高度経済成長期までの広い範囲が出題されました。
例えば、
Q 江戸幕府3代将軍は次のうちどれか。
- 徳川家康
- 徳川家光
- 徳川吉宗
だったり
「和を以って貴しとなし…以下省略…」
の文章が1ページに掲載され、次のページで
- この法律のことを何というか
- この法律を施行した人物を答えよ
といった学校のテストで必ず出されるような問題です。
歴史が得意な方なら問題集を一冊解くだけで試験対策は十分だと感じました。
5級については問題の難易度から考えて小学6年生~中学1年生向けの試験です。
団体申込の注意点
学校や塾、サークル、企業などで受験者を5人以上確保できれば団体申込ができます。
団体申込をすると自社や学校、塾を準試験会場に指定することができます。
また、個人申込をした場合は協会が指定した試験日だけしか開催することができませんが、団体申込の場合は協会が提示する複数の候補日のうちであれば公開されている日付と別の日を試験日にすることができます。
ただし、団体申込をする際は監督者(代表者)が5人以上の受験者とは別に必要になります。
私の場合は社会科の教師であった恩師が監督者を務めてくださいましたが、歴検の監督者は基本的に誰でもなることができます。
つまり、社会科の教員免許は一切必要なく、一般の会社員でも問題ありません。
なぜなら〇つけや点数を定めることは歴史能力検定協会がやってくれるからです。
監督者(代表者)役割は、以下になります。
- 申込を取りまとめて行う
- 受験料の支払い(1団体につき1枚しか郵便振込票が発行されないため)
- 試験問題と解答用紙の受領
- 試験後の回答用紙を協会へ郵送
- 試験中受験者が不正行為をはたらかないように監視する
- 試験時間の統制(開始と終了を管理するだけでよい)
また、監督者(代表者)となった者は受験者と同時に受験することができません。
団体の監督者が受験したい場合は、準試験会場での試験日をズラすように指定しておけば、個人で協会指定の公開試験会場で受験することが可能です。
難しいかもしれませんが、他の監督者(代表者)と4人の受験者を確保できれば受験者同士交代で監督者を引き受け、準試験会場で検定を受験することもできます。
まとめ
私が歴検を認知してから初めて受験するまでの体験談をお送りしました。
学生の方なら社会科の先生に相談してみたり、お友達に声をかけて受験者を自身を含めて5人以上集めれば、団体申込ができます。
社会人の方は、協会指定の試験会場に行けるようであれば個人申込、困難な場合は、自身の関係者、スマートフォンのアプリやWebサイトを使って受験者を集めてみるのもよいでしょう。
歴検はあまり一般的な検定とはいえないかもしれませんが、だからこそもっていると話のネタになったり、色々な武器になったりします。
歴史に自信のある方はぜひ受験してみてください。