つらい肩の痛み!軽減させるコツは日々のストレッチ?







肩が痛い!

つらい肩こりや、腕を動かすと痛む肩の疾患、内臓からくる痛みの場合もあります。

もちろん病院での治療が優先されますが、内臓性の痛み以外は、運動療法が有効な場合が多いです。

 

しかし、時々リハビリ室で運動療法を行うだけでは、十分とはいえません。

 

そこで、セルフケアです!

自宅で行える日々のストレッチこそ、痛みを軽減させるコツといえるでしょう。

今回は、あなたの肩の痛みの原因と治療、そして症状を和らげるストレッチをご紹介していきます。

 

肩の痛みの原因疾患と症状、治療法は?

 

肩の関節や筋肉、靭帯や腱などのトラブルが、肩の痛みの原因です。

 

加齢や日常生活での負担による疾患

頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)、肩こり

肩こりをはじめ、首から肩・背中、腕にかけての痛みやこり、しびれなどの症状を引き起こす病気で、原因が特定できないものを「頚肩腕症候群」と呼びます。

筋力低下や冷感、頭痛や吐き気を伴うこともあります。

 

首・肩・背中の筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、板状筋、脊柱起立筋など)が、緊張して硬くなり、局所に循環障害が起きて発症するといわれています。

繰り返しの動作や同じ姿勢での筋肉疲労、猫背などの悪い姿勢や運動不足、ストレスや冷えなどが原因となります。

 

首や肩の疾患、頭蓋内疾患や高血圧症、眼や耳鼻咽喉疾患、内臓疾患などの症状の場合もあるので、鑑別診断が重要です。

症状が長引いたり、だんだん悪くなる時は、整形外科を受診してください。

 

肩に負担のかかる作業や姿勢の見直し、ストレッチや適度な運動、マッサージや温熱療法なども有効です。

痛みが強い人には、消炎鎮痛薬や筋弛緩(しかん)薬、精神安定薬などが処方されるでしょう。

 

五十肩(肩関節周囲炎)

40歳頃から、肩関節の運動をおこなう筋肉の腱(腱板)などに、加齢や摩耗による炎症が生じ、肩関節周囲が痛む疾患です。

腕を前や横に挙げる、捻る動作(後頭部や腰に手を回す)での痛みや、夜間などの自発痛(じっとしていても痛い)が生じます。

 

痛いからと肩を動かさないでいると、動かせる範囲が狭くなる拘縮(こうしゅく)がおきます。

自然に治癒(数ヶ月~1年ほど)しますが、拘縮が残ると肩を動かすときの痛みに悩まされることもあります。

 

X線や関節造影検査、MRIや超音波検査などで、他の疾患との鑑別診断をします。

急性期は、安静と薬物療法(消炎鎮痛薬の内服や湿布、塗り薬)、副腎皮質ステロイド(痛みが落ち着いたらヒアルロン酸)の注射が施されるでしょう。

痛みのピークを過ぎたら、温熱療法や運動療法などのリハビリを行います。

こちらの記事も参考にして下さい

これって五十肩?五十肩の症状と治し方。日々の生活でできることは?

2017年7月14日

 

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

首から手にのびる神経や動脈が、通り道の首の筋肉や胸の筋肉、鎖骨や肋骨で、絞めつけられたり圧迫されて発症する、なで肩の若い女性に多い疾患です。

手を上に挙げる姿勢で、肩や背中、腕の痛みや上肢のしびれやだるさが生じ、握力低下や細かい動作がしにくい、手や腕が白色や青紫色に変色するなどの症状もあります。

 

めまいや吐き気を伴うこともありますが、自覚症状のみの場合が多いので、頚椎や脊髄の疾患との鑑別診断が必要です。

温熱療法や運動療法、薬物療法(消炎鎮痛薬や血流改善薬、ビタミンB1など)や神経節ブロック注射、日常生活動作や姿勢の指導が行われるでしょう。

 

肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)

手の使い過ぎや加齢により、腱板(肩を動かす筋肉の腱)に磨耗や変性が生じて発症、中年以降の男性の右肩に多く見られます。

腕を挙げる途中で痛み、力が入りづらく、夜間の痛みも強いですが、肩の動きが固くなることは少ないでしょう。

 

肩を動かす時の雑音や筋肉の委縮、X線や関節造影検査、超音波やMRI検査で診断します。

理学療法や運動療法、水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤やヒアルロン酸の注射などの保存療法が施されます。

保存療法で改善しない場合は、手術(関節鏡視下手術と直視下手術)が検討されるでしょう。

 

石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)

夜も眠れないほどの激痛で発症する、40~50歳代の女性に多い疾患です。

肩の腱板にリン酸カルシウム結晶が沈着し、急性の炎症が生じます。

 

X線で診断、CT検査や超音波検査で位置や大きさを確認します。

急性期には注射器で石灰を吸引すると、痛みが楽になります。

局所の安静と消炎鎮痛薬の内服、水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤の注射などが施されるでしょう。

痛みが軽減したら、温熱療法や運動療法などのリハビリを行います。

 

 

スポーツや事故、転倒などによるケガ

翼状肩甲骨(よくじょうけんこうこつ)

スポーツ(テニスやゴルフなど)や、ほほ杖をついて横向きで寝る、新生児と添い寝などで長胸神経が引き伸ばされたり、重いリュックで圧迫されておきます。

肩甲骨を前に引く前鋸筋(ぜんきょきん)が麻痺し、肩甲骨の内側が浮き上がり、腕を前へ挙げられなくなります。

 

原因のスポーツや姿勢をやめれば、平均9ヵ月程で治癒します。

重症例で固定装具を使用しても、2年以上回復しない場合は、手術が検討されるでしょう。

 

腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)

腕神経叢(首から、わきの下までの神経の束)が、オートバイやスポーツでの転倒、機械に腕が巻き込まれるなどで、引き伸ばされて損傷します。

神経の損傷部位と範囲により、肩や肘、手指が動かなくなったり、しびれたりします。

首から肩にかけて、痛みや腫れがでる場合もあります。

神経の回復が期待できない場合は、手術(神経移植術や神経の移行術など)が検討されるでしょう。

 

肩関節脱臼(けんかんせつだっきゅう)

コンタクトスポーツ(ラグビー、アメフト、柔道など)や転倒で、肩関節の腕の骨が前方に脱臼し、痛みで腕が動かせなくなります。

X線検査で確認し、徒手的に整復(時に麻酔下)しますが、手術になる場合もあります。

 

反復性肩関節脱臼

肩関節は一度脱臼すると、腕を振りかぶる動作で、再度脱臼しやすくなります。(脱臼ぐせ)

脱臼を繰り返すと、スポーツや寝返りなど、弱い力でも脱臼が起こってしまいます。

若年者のほうが反復性脱臼になりやすく、自分で整復できる場合もあるでしょう。

症状が改善せず、スポーツや日常生活に支障があれば、手術が検討されます。

 

鎖骨骨折

転んだ時に、肩の横からの衝撃で骨折、鎖骨の痛みや腫れ、変形があり、腕が上がりません。

X線で診断、胸の真ん中近くの骨折は、鎖骨バンドなどにより固定しますが、肩先寄りの骨折は、手術になるでしょう。

 

内臓からのSOSかも?

しつこい肩の痛みや、じっとしていても痛み、夜間痛みで目がさめる、だんだん痛みが強くなるなどの症状は、内臓からのSOSかもしれません。

  • 呼吸器……肺がん、肺膜炎、肺の肋膜癒着など
  • 心臓、循環器……狭心症、心筋梗塞など【左肩へ痛みが放散する場合があります】
  • 他の内臓……胆石症・肝炎【右肩へ痛みが放散する場合があります】、膵臓疾患、腎臓病など
  • 全身疾患……糖尿病、高血圧、低血圧、うつ病、心身症など

 

肩の痛みに伴い、内臓に異常を感じたら、専門医を受診するようにしてください。

 

肩こりに有効なストレッチ

首から肩の筋肉を、ゆるめるストレッチです。

まずは首のストレッチから。

  1. 首をゆっくり横に曲げ、10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(左右2回ずつ)
  2. 首をゆっくり前に倒し、10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  3. 首をゆっくり斜め前に倒し、10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(左右2回ずつ)
  4. 首をゆっくりと横に回し、10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(左右2回ずつ)

 

続いて、肩のストレッチを。

  1. 両腕の力を抜いて下ろし、両肩をまっすぐ天井に向けて引き上げ、10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  2. 両肩をゆっくりと天井に向けて引き上げ、そのまま肩を後ろに回しながら、両肩を下ろしましょう。(2~4回)

 

 

肩甲骨のストレッチ

 

肩甲骨の周りの筋肉を、ゆるめるストレッチです。

  1. 片手で反対の肩に触れ、逆の手で肘を押さえ、ゆっくり反対の肩の方に引きます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(左右2回ずつ)
  2. 肘を伸ばしたまま、腕を前に90度挙げ、肩甲骨を開くようにゆっくり手を伸ばします。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  3. 両腕を体から少し離し、手のひらを外側にひねりながら、両腕をゆっくり後方に引きます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  4. 両手を体の後で組み、肘を伸ばしたまま、ゆっくり上方に挙げます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  5. 肘を伸ばしたまま、腕をゆっくりと天井に向けて、前から上に挙げて伸ばします。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  6. 両肘を曲げて外側に開き、肩を前から後にゆっくり回します。次に、後から前に回しましょう。(5回ずつ)
  7. 両腕の力を抜いて下ろし、両肩をまっすぐ天井に向けて引き上げ5秒保ち、ストンと一気に力を抜きましょう。(2~4回)

 

 

肩の関節のストレッチ

 

肩の関節の動く範囲を、広げるストレッチです。

  1. 壁に少し離れて向かい、挙げられる位置まで手を上げて壁に触れ、ゆっくりしゃがんでいきます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  2. 壁に少し離れて横向きになり、挙げられる位置まで手を上げて壁に触れ、ゆっくりしゃがんでいきます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  3. 腰に回した腕の手首を反対の手でつかみ、ゆっくり引き上げます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  4. 片手で反対の肩に触れ、逆の手で肘を押さえ、反対の肩の方に引きます。肘の高さを変えて2回ずつ繰り返しましょう。
  5. 後ろ向きでテーブルに手をつき、ゆっくりしゃがんでいきます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  6. 肘を肩の高さに挙げ90度に曲げ、腕を柱などに当てて、柱側の足を一歩前に踏み出します。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  7. 横向きで寝て、下の腕の肘を90度に曲げ、下の手の甲を反対の手で持ち、体に近づけるように引きます。10~20秒保ち、ゆっくりと戻しましょう。(2~4回)
  8. 肘を曲げ肩の高さまで挙げ、肘先で円を描くようにゆっくり回します。小さい円から少しずつ大きくしていき、左右5回まわしましょう。

 

最後に

 

肩の痛みの原因と、症状を改善するストレッチをご紹介しましたが、いかがでしたか。

肩こりはとても身近な疾患ですが、怖い病気がかくれている場合もあるので、注意が必要です。

ストレスや目の疲れ、鼻・耳・喉の炎症、歯や歯肉の炎症、くいしばりなども原因となるので、心配な方や肩の痛みが長く続くようであれば専門医にご相談ください。










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