山登り中に道に迷ったらどうする? 山登り初心者が気を付けることVol.5







登山道の場合、上りは収束し、下りは拡散する傾向にあります。

どういうことかというと、富士山を想像してみてください。

 

登山口はいくつかありますが、向かう方向は同じ、山頂です。

道に迷う可能性はほとんどありません。

 

道を間違ったとしても山頂にはたどり着きます。

 

しかし、下り道はいくつもあります。

自分が登ってきたところに戻りたいのに、違う登山口に下る可能性は多々あります。

つまり、道迷いは下山時に多いということを知っておいてください。

 

 

道に迷っても焦らず、慌てず、まずは落ち着きましょう

道に迷ったことに気づいたら、最初にやらなければならないのが落ち着くことです。

山岳遭難で一番多いのが道迷いですが、それが原因で生命を亡くす可能性は非常に少ないと思ってください。

90%以上は無事に救出、または自力下山しています。

 

それなのに焦ったり慌てたりするのは、道迷いをした経験がないからです。

何度も経験しているというのでは別の問題がありますが、道迷いしても大事には至らないことを認識しておく必要があります。

当然ながら初心者は道迷いの経験がありません。

そのため、ルートを間違ってしまうとさも大変なことをしでかしてしまったような気になるのです。

 

1時間や2時間下山が遅れたところでほとんど問題になりません。

ただ、最終のバスに乗り遅れるか、迎えにきてもらう予定だったタクシーに乗れないかというだけです。

遅くなっても下山してしまえば電話はできますから家族に連絡はできます。

 

それより焦って慌てて無闇に歩き回り、挙げ句に崖を転落する方が大事故につながります。

 

道迷いに気づいたら休憩して水分を補給し、行動食をとる。

これを心がけてください。

 

落ち着いて冷静に判断をくだすことがなによりも大切です。

脈拍を数えてみるのもいいでしょう。

成人は一分間に60〜100回というのが標準です。

山を歩いているのだからそれよりも多いのは確実でしょうが、それに近い数字になるまで休憩してみましょう。

 

 

道に迷ったらまず周囲を観察して登山道を探してみましょう

道迷いでよくあるパターンは疎林の場合です。

疎林とは、まばらに木が生えている状態で、正規のルートからいきなり薮の中に突っ込むことはありません。

踏み跡がはっきりしていない、正規のルートなのかどうか判断が難しい場合に道を間違えるのです。

そして、気がついたら登山道がなくなっていたというケースです。

 

そういう場合、冷静になって最初にすべきは正規の登山道を探すことです。

人気の高い山では踏み跡がはっきりしていますが、そうでない山は意外にあやふやなところが少なくありません。

そういうところでは細かく観察する必要があります。

 

赤テープも探してみましょう。

黄色や白いテープの場合もありますし、赤テープが古くなって発見しづらくなっていることもあります。

山によっては小さなケルンを目印にする場合もあります。

 

 

道に迷ったときの最良の選択は戻ることです

どうしても正規のルートが見つからなければ戻ります。

このとき、冒頭で触れた「下りのルートで迷いやすい」というのが大きなネックになります。

 

戻るというのは登り返さなければならないということです。

山頂まで登って下っているのですからかなり疲労しているでしょう。

その状態で戻る=登るのは精神的な負担を伴います。

そんな状態ですので、できるだけ戻ることは避けたいと考えてしまうのです。

 

もう少し下れば正規の登山道が見つかるかもしれない。

または見覚えのある地点に出るかもしれない。

そういう希望的観測で判断してついついそのまま下り、取り返しがつかなくなるケースがよくあります。

 

実際に登り返す時間は10〜20分という場合がほとんどで、その時間を惜しんで完全に道をロストしてしまうという登山者が多いのが現状です。

このとき、地図、コンパス、高度計などを利用して自分の現在地を割り出すことができればダメージは少なくなります。

初心者の皆さんはそのスキルを身につけると、道に迷った時も判断がしやすくなりますので是非早めに身につけるようにしましょう。

 

 

道に迷った時に一番よくない判断は谷を下ることです

道に迷った初心者がしばしば選択する間違いが谷を下ることです。

沢を下ると言い換えた方がいいかもしれません。

確実に麓(ふもと)に向かっているし、沢沿いには往々にして歩きやすい地形が存在するからです。

 

しかし、それはいつまでも続きません。谷には滝や崖が付きものだからです。

そこを強引に下ろうとすると滑落・転落し、最悪の事態を招きかねません。

 

それよりは尾根やピークに出るべきです。

どちらも見通しが利くところが多く、現在地を正確に知る可能性が高くなります。

また、登山道はこのふたつを通ることが多く、正しいルートに戻れる確率は高いといえます。

 

尾根(おね)は、谷と谷に挟まれた山地の一番高い部分の連なりのことである。山稜(さんりょう)、稜線(りょうせん)とも言う。地図上では等高線の突出として示される。

 

この場合ももう一度登る必要がありますから、体力には余裕がなければいけません。

体力に余裕がなくなるのもルートの確認を怠る原因のひとつなのです。

普段から山に登るためのトレーニングをしっかりやっておきましょう。

 

 

装備がしっかりしていれば道迷いも怖くない

500m級の低い山でも必ず用意しなければならない装備品があります。

レインウエアは三種の神器(山ではリュック、登山靴とともに絶対に必要なものです)ですから当然としても、予備の水、非常食、ライト類、ツェルトは必ず持参するべきものとされています。

ツェルト

 

これらは不測の事態に対処するのに必要なもので、予定の時間通り下山できなかったときは欠かせません。

 

山の中は樹木が生い茂っているため平地より早く暗くなります。

一般的には午後3時までに下山するように予定を立てますが、道迷いして下山が遅れると真っ暗闇になる可能性があります。

いうまでもなく山中は人工の光はほとんどありません。

太陽が沈めば真っ暗になります。

ただでさえ道をロストしているのですから、暗闇では動きようがありません。

無理に動けば転落する恐れもあります。

そういうケースに備えてライトは必ず持参しておきます。山ではヘッドランプが主流です。

最近はLEDライトが増えて電池が節約されるようになっていますが、予備の電池も準備しておきましょう。

 

ツェルトとは小さな簡易テントで、軽く、かさばらないからリュックには常に入れておきます。

暖かい時期なら野宿もできますが、他のシーズンは夜になると気温が下がりますからこの中でビバークします。

レインウエアがあればシュラフがなくてもなんとかしのげるでしょう。

 

このような装備があれば、よほどの厳冬期でない限り山で一晩過ごすのになにも問題はありません。

翌朝になって明るくなったところでじっくり地形を観察するなり、戻るなりしてゆっくりルートを探せばいいでしょう。

 

 

まとめ

道に迷ったときはGPSが非常に有効です。

普段から利用して十分使いこなせるようになっておけば、これまで紹介した対処法を実施する必要はなくなります。

スマホの無料アプリは数種類ありますから、自分が使いやすいものをインストールしておけばいいでしょう。

 

ただし、スマホはバッテリーの消耗が早いという弱点があります。

肝心なときにバッテリー切れというのでは役に立ちません。

モバイルバッテリーを持参するなどそれなりの対策を立てておく必要があります。

次回記事:山登り初心者が気を付けることVol.6 ビギナーの登山靴選びについて










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