DMMのゲーム『刀剣乱舞』がきっかけで、若い女性たちの間では刀剣ブームが起こっています。
歴史上の武将など、有名な人物が持っていた刀剣に宿る付喪神を集めるゲームですが、今年七月からはアニメ新シリーズが始まり、ブームはさらに熱を上げています。
日本にいるということは日本刀ファンにとっては最高の環境です。
なぜなら日本に現存している日本刀はたくさんあり、本物の刀剣に“会いに”行けるからです。
博物館だけでなく、神社やお寺に奉納(ほうのう)されている刀剣もあります。
ゲーム実装未実装に関わらず奉納された刀剣はどういうものなのか、また展示されている刀剣を見るときのマナーについてなどもまとめてみました。
神社仏閣に奉納された刀
刀剣といえば人斬りの道具という印象が強いのではないでしょうか。
日本では昔から、刀剣の鏡のように美しい刀身は魂のよりどころであり、霊器や神器として扱われてきました。
『刀鍛冶としての技術向上』『武芸上達』『悪鬼封印』など、刀剣を奉納する理由は様々です。
刀剣というのは鍛冶屋が数本打った刀の中でも一番出来の良いものを『真打(しんうち)』といい、この真打を神社に奉納したり依頼主に渡すというのが一般的だそうです。
そして、手元に残しておく一振りのことを『影打(かげうち)』といいます。
神社に奉納された出来の良い『真打』と別の場所で人目に触れる機会の無い同銘の刀剣『影打』が存在しているというのは、なかなか胸がアツくなります。
『石切劔箭神社(いしきりつるぎやじんじゃ)』では、三条有成作の太刀『石切丸』が『宝物殿』にあります。
石切丸は悪源太と呼ばれた武将『源義平(みなもとのよしひら)』の刀だとされています。
源義平には、斬首直前に「雷になって蹴り殺してやる」と言った斬首相手を本当に落雷で死なせたという『雷伝説』があって、義平の怒りを鎮めるために『石切丸』を『石切劔箭神社』に奉納したのではないかという説もあるそうです。
実際のところどうなのかは諸説ありますが、そういう理由で刀剣が奉納されることもあるんですね。
他にも『熱田神宮(あつたじんぐう)』は、2mをこえる末青江派の大太刀『真柄太刀(まだらたち)』通称『太郎太刀(たろうたち)』を
『本興寺(ほんこうじ)』は天下五剣のひとつ、重要文化財に指定されている『数珠丸恒次(じゅずまるつねつぐ)』を所蔵しています。
刀剣はいつでも見られるわけじゃない?
先程例に挙げた『石切丸』『数珠丸』は常に寺社の中にあります。が、いつでも誰でも見られる場所に置いてあるわけではありません。
石切丸は神事や祭事の時など、定期的に宝物殿公開の日があります。
珍しい神事と刀剣の両方を見られる貴重な日です。日程や時間に関しては公式サイトやSNSなどで確認できます。
数珠丸は非常に貴重で、年に一度『文化の日』に虫やカビなどを防ぐための虫干しで特別に公開されます。
元々日本刀人気は昔からありましたし、天下五剣であることもあって予想以上の混雑が予想されます。
御朱印をお願いするのも1時間待ちだと聞きました。たくさんのお坊さんたちが御朱印を自分たちのために一生懸命書いてくれます。
感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。
どちらの寺社も参拝者の列が出来ていて、刀剣を見るための列も出来ていて、御朱印をもらうための列も出来ています。
もちろん、刀剣目当てでない人がたくさんいらっしゃいますので、神社やお寺での参拝マナーなどには特に気を付けるべきだと言えます。
今日はどうしてこんなに混んでいるんだろうと驚かれる方もいらっしゃるかもしれないので、参拝も刀剣鑑賞も終わった後は敷地から出るようにしてもいいかもしれません。
賑わっていて喜んでもらえる場合もありますが、そうでない場合もあります。節度が一番です。
今後も刀剣の展示を続けてもらうために
神社仏閣ではご迷惑をおかけしないよう気を付ける必要があります。
お賽銭の他、おみくじやお守りなどをいただく時、御朱印をいただく時にもお金が必要です。
少額のものをいただく時に高額紙幣を出すのはあまり良くないですね。
両替機のある神社仏閣に出あったことはありませんので、あらかじめ小銭を用意しておくのは大切なことです。
神社仏閣は心穏やかに過ごす場所です。
大きな声で話したり笑ったり、他の参拝者の方のご迷惑にならないように気を付けましょう。
刀剣を鑑賞する列や参拝時に通る場所など、通行の邪魔になるような場所で立ち止まって話し込んでいたり、御朱印をもらって納経所の近くで談笑していたり、実際見かけることの多い光景です。
夢中になっていると他人に迷惑をかけていることに気付くのは難しくなります。
ゴミを持ち帰ったりすることもそうですが、常識的なことが出来ていればご迷惑をかけることも無いでしょう。
関係者の方だけでなく、参拝に来られている方々から刀剣好きの若者への印象が悪くなれば、刀剣の展示を続けるのも難しくなるでしょう。
貴重なものを見せてもらえる機会を失わないためにも、周りに気を配れるようにしたいものです。
まとめ
刀剣を公開してくれる神社やお寺は博物館とは違ってそう多くはありません。
神聖な霊器として大切にしているものを見せていただくので、騒いだりせず静かに鑑賞しましょう。
刀剣公開の日時は寺社によって異なります。
『いつでも見られるわけではない』ので、公式サイトなどであらかじめ調べてから伺うのがいいでしょう。
イベント会場ではなく、神社仏閣で特別に公開されているものです。
騒いだりして他の方のご迷惑にならないよう周りに気を配り、平常心で穏やかに敷地内で過ごすように心掛けたいですね。
やはり白い目で見られたり、刀剣好きの若者への印象が悪くなるようなことは誰も望んでいないはずです。
今後も美しい刀剣を鑑賞する機会を設けていただくためにも、マナーを守る大切さについて少し考えるべきなのかもしれません。
(Athor:仁科はる)
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