のどが腫れる原因は?のどが腫れる病気の症状や原因について詳しく紹介!







風邪をひいたり、カラオケで歌いすぎて「のどが腫れる」ことは、日常的によく経験しますね。

のどが腫れる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

のどは、空気と飲食物の通り道なので、病原体の感染や刺激を受けやすく、炎症をおこすと腫れて痛みます。

のどが腫れてしまうと発熱やだるさを伴い、呼吸や食事がしづらくなることも。

また症状によっては、急激に悪化する疾患や悪性腫瘍の場合もあります。

 

今回は、のど風邪からがんまで、「のどが腫れる」病気の症状や原因などを詳しくご紹介します。

 

食物と空気の通り道である喉は、感染により腫れやすい

のどは、「咽頭(いんとう)」「喉頭(こうとう)」からなる器官のことです。

 

「咽頭」は、鼻の奥から食道までをむすぶ、空気と食物の通り道です。

「喉頭」は、のどぼとけ周辺にある咽頭から気管までの器官で、声を出すための声門があります。

空気と食物は、喉頭の上部にある「喉頭蓋(こうとうがい)」というフタで、気管と食道に分けられて通過します。

 

口を開けると、のどの奥の両側に扁桃腺と呼ばれる「口蓋扁桃(こうがいへんとう)」が見えます。

扁桃は他に咽頭扁桃、舌扁桃、耳管扁桃があり、のどの奥を環状に取り囲みます。

 

リンパ組織である扁桃は、侵入する病原体(ウイルスや細菌など)から体を守る「免疫」の働きをしています。

過労やストレス、風邪や気温変化などで免疫力が低下すると病原体が増殖し、扁桃が炎症をおこしてのどが赤く腫れるでしょう。

 

のどが腫れる原因

のどはウイルスや細菌に感染すると炎症をおこし、腫れて痛みます。

食物や薬のアレルギーが原因の場合、のどや唇の腫れ、呼吸困難や嘔吐、蕁麻疹などが生じます。

また生活習慣として、口呼吸や喫煙、のどの使い過ぎ(大声や長時間の発声)なども原因となるでしょう。

最近は、性感染症(淋菌、クラミジア、梅毒など)によるのどの腫れも増加しています。

 

のどに腫れがおきやすい病気

 

のどに腫れが起きやすい病気には下記のものがあります。

  • のどの粘膜の腫れ:咽頭炎(いんとうえん)
  • 扁桃腺の腫れ:扁桃炎(へんとうえん)
  • 喉頭の腫れ:喉頭炎(こうとうえん)
  • 喉頭蓋の腫れ:急性喉頭蓋(がい)炎

 

一般的に「痛みがある、のどの腫れ」は咽頭や扁桃、喉頭や喉頭蓋の炎症が疑われます。

逆に「痛みがない、のどの腫れ」は腫瘍などが疑われます。

 

のど風邪と呼ばれる「急性咽頭炎」でのどが腫れる

「急性咽頭炎(きゅうせいいんとうえん)」は、ウイルスや細菌により、咽頭の粘膜とリンパ組織に炎症がおきる病気です。

 

のどの奥が赤く腫れて痛み、飲み込むときの違和感や発熱、首のリンパ節の腫れなどの症状がみられます。

全身症状では、倦怠感や筋肉・関節痛などが生じるでしょう。

 

原因となるウイルスは、パラインフルエンザウイルスやアデノウイルス(プール熱)、インフルエンザウイルスなどです。

細菌は、連鎖球菌やインフルエンザ菌などの、のどの常在菌(健康体にある細菌)です。

 

アデノウイルス感染症では、のどの腫れと痛みや高熱、白目の充血が特徴です。

容連菌(β溶血性連鎖球菌)に感染すると、のどの腫れが強く、合併症(リウマチ熱や急性糸球体腎炎など)をおこす場合があります。

なお、溶連菌は外来で10分ほどで検査できます。

 

患部を直接見て診察(視診)し、細菌培養検査や血液検査などで診断します。

症状により、尿検査や胸部X線検査、心電図や超音波検査などが追加されるでしょう。

 

ウイルスが原因の場合、解熱鎮痛剤や漢方薬などの処方、水分と栄養の摂取や安静が指示されます。

のどの痛みで食物が飲み込めないときは、点滴が施されるでしょう。

細菌性では、抗菌薬による薬物療法が行われます。

うがいと手洗いや加湿が予防になるので、日頃から心がけましょう。

 

のどの腫れといえば「急性扁桃炎」

 

「急性扁桃炎(きゅうせいへんとうえん)」は、ウイルスや細菌により口蓋扁桃に炎症がおこる、小児や青年に多い病気です。

扁桃が赤く腫れて、白や濁った黄色の分泌物がつき、のどに痛みや違和感が生じます。

嚥下痛(えんげつう:飲み込む時の痛み)や頚部リンパ節の腫れがみられ、口臭がすることもあるでしょう。

倦怠感や発熱、寒気などの全身症状があらわれ、悪化すると扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍をおこしたり、溶連菌による合併症をおこすこともあります。

 

原因となるウイルスは、アデノウイルス、EBウイルス、RSウイルス、エンテロウイルス、単純ヘルペスウイルスなどです。

細菌では溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などが多いでしょう。

 

近年は、性感染症(梅毒、淋菌、クラミジア、エイズなど)との関連も増加しており、問題視されています。

単純ヘルペスは、主に口唇や性器に接触感染し、水泡ができてピリピリ痛みます。

ウイルスは神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに活性化し、繰り返し発症します。

抗ウイルス薬の内服や点滴、塗り薬などで治療します。

 

患部を直接見たり(視診)内視鏡で診察して、症状に応じて細菌培養検査や血液検査、CT検査などを行います。

治療は、ウイルスが原因の扁桃炎は解熱鎮痛剤や消炎剤など、細菌が原因の場合は抗菌薬の薬物療法が行われます。

高熱がでても、通常は3~4日で治まるでしょう。

痛みが強いときは、飲酒や喫煙、入浴は避けてください。

 

重症例では、点滴や膿をだす切開治療が検討されます。

1年に4~5回以上扁桃炎を繰り返す場合は、口蓋扁桃の摘出手術が行われることがあります。

さらに、血尿があり腎炎が疑われたり、呼吸に支障があるときも手術の適応とされています。

 

成人も患い、慢性的なのどの腫れを伴う「慢性扁桃炎」

 

通常、扁桃は幼小児期に最大となり、その後小さくなっていきます。

しかし、急性扁桃炎を定期的に繰り返すと、成人になっても扁桃が縮小されずに「慢性扁桃炎(まんせいへんとうえん)」になります。

喫煙や飲酒による刺激も、扁桃炎の炎症を慢性化させる原因とされています。

成人が発症しやすい「慢性単純性扁桃腺炎」では、のどの腫れや痛みなどの症状は軽いことが多いでしょう。

 

主に未就学児が、1年に3回以上の扁桃の炎症を繰り返す状態を「習慣性扁桃炎」と呼びます。

扁桃表面がでこぼこして、くぼみに膿がつまり、のどの異物感や口臭、発熱や倦怠感などがみられます。

 

治療は、急性扁桃炎に準じますが、扁桃腺の免疫異常が生じると「扁桃病巣感染症」をおこすことがあります。

手足の皮膚や腎臓、骨や関節などに症状があらわれる病気で、扁桃腺を摘出する手術が検討されます。

 

のどの腫れと激しい痛みの「扁桃周囲膿瘍」は進行すると危険!

 

「扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)」は、口蓋扁桃の周囲に膿がたまる、20~30歳代の男性に多い病気です。

扁桃炎に続いておこり、のどの腫れと激しい痛みが特徴です。

嚥下痛が強く、高熱や倦怠感、開口障害や脱水を伴うこともあるでしょう。

 

悪化すると気道のむくみによる呼吸困難や、膿瘍が広がり死に至る場合もあるので、初期治療が大切ですね。

治療は、抗生剤の投与と脱水症状の改善が行われます。

重症例では入院しての点滴治療と、穿刺(針を刺し吸い取る)や切開により膿を出す処置が施されるでしょう。

 

呼吸困難をおこす程の喉の腫れ「咽後膿瘍」

 

「咽後膿瘍(いんごのうよう)」は、食道と背骨の間に膿がたまる、子供に多い病気です。

のど(扁桃腺)の腫れと痛み、発熱や首の痛み、嚥下困難や開口制限(口が開けづらい)などの症状がみられます。

 

咽頭炎や扁桃炎、副鼻腔炎などの合併症として発病しやすいでしょう。

また、異物を誤って飲んだり、外傷なども引き金になるようです。

 

悪化すると、大きくなった膿瘍(局所に膿がたまる)が気道を圧迫して、呼吸困難になるので要注意です。

治療には入院が必要になり、気道の確保と抗菌薬の点滴や膿瘍を切開する手術が検討されます。

 

片側だけの扁桃の腫れは要注意!

 

片側の扁桃が2~3週間以上、大きく腫れ続けるときは、痛みがなくても注意したほうがよいでしょう。

扁桃の腫れが触れると硬かったり、白色の膿が付着して痛む場合は、「扁桃のがん」や「悪性リンパ腫」の症状かもしれません。

首に大きく重なるような硬いしこりが触れるときは、悪性の可能性がより高くなるでしょう。

 

扁桃がんは、喫煙者や度数の高いお酒を飲む人に多く、パピローマウイルスも原因になると考えられています。

検査は組織を調べる生検のほか、CTやMRI、超音波やPET-CTなどで、他の部位の腫れや転移の有無を確認します。

 

治療は、放射線治療や化学療法(抗がん剤)、手術が症状に応じて検討されます。

片側の扁桃の腫れや違和感が長引くときは、耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。

 

扁桃の腫れが続くときは病院へ

 

のどが腫れて痛くても、すぐに病院にいけず放置したり、市販の風邪薬や鎮痛剤でしのいでいると、扁桃炎が悪化しやすいです。

また、普段から鎮痛剤を常用している人は、のどの痛みに気づくのが遅れ、のどの腫れをこじらせることもあるでしょう。

 

症状によっては、緊急入院や手術が必要な場合もあります。

のどの腫れや痛みのために、嚥下困難や睡眠障害があるときは、速やかに専門医を受診することをおすすめします。

特にヘビースモーカーや糖尿病患者、肥満の人は扁桃炎をおこしやすいので、普段から予防に努めましょう。

 

何度も繰り返す「のどの腫れ」(扁桃の腫れ)を予防する

何度も繰り返すしつこい「のどの腫れ」がありますが、予防することもできます。

しつこいのどの腫れにお悩みの方は下記の予防法を意識してみて下さい。

 

  • うがいやマスクで、のどを乾燥から守る
  • 柑橘類に含まれるビタミンで、扁桃の炎症をおさえ免疫力を向上させる。
  • はちみつを利用してみる。はちみつを摂ることによってのどの粘膜保護と、殺菌作用が期待できます。
  • 適度な休養とストレスの発散で、免疫力の低下を防ぐ。
  • のどが腫れてもすぐに病院に行けないときは、薬局などで薬剤師に相談し、早めに市販薬を使用するという選択肢もあります。(数日内服しても症状が改善せず悪化するときは、必ず耳鼻咽喉科を受診してください)

 

うがいや水分補給は、のどの粘膜の保護にとても効果的です。

普段のうがいは水道水で、一度口をゆすいでから、15秒ほど数回おこなってください。

うがい薬を使用するときは、医師や薬剤師に相談しましょう。

仕事中などでうがいができないときは、水を一口飲むだけでも病原体を洗い流せます。

こまめな水分補給を心がけて、のどの腫れを予防しましょう。

 

のどが腫れて声がかれる「喉頭炎」

 

「喉頭炎」では、気管の入り口となる喉頭がウイルスや細菌感染、のどの酷使や喫煙などで炎症をおこし、腫れて痛みます。

喉頭には声門があるので、炎症による声のかれやせきが生じ、喉頭が腫れると呼吸がしづらくなるでしょう。

治療は、薬物の内服やネブライザー吸入が処方され、原因によっては禁煙や声の安静が指示されます。

 

年配男性の喫煙は「喉頭がん」に注意

喉頭内面の粘膜にできたがんで、50歳以降の男性に多く、患者の約9割が喫煙者とされています。

声門に発症しやすいため、声がれや呼吸困難、血痰などの症状が特徴です。

 

検査は視診と生検(組織の病理検査)で診断、超音波とCTやMRIでがんの広がりを確認します。

治療は、手術と抗がん剤や放射線治療、免疫細胞療法や陽子線治療などが、症状により検討されます。

 

急激に進行する「急性喉頭蓋炎」

 

「急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)」は喉頭蓋が細菌感染などで炎症をおこして大きく腫れる、成人の男性に多い病気です。

喉頭蓋は、気管の入口の喉頭上部にあり、食べ物が気管に入るのを防いでいるフタです。

喉頭のフタが腫れると空気の通り道が狭まり、急激に進行すると死に至る場合もある危険な疾患です。

 

喉頭蓋の腫れにともない、激しいのどの痛みや飲み込むときの痛みが強くなり、唾液が口にたまります。

また気道が狭くなると声がこもり、やがて呼吸困難をきたすでしょう。

空気の通りをよくしようと、首を前に伸ばして下顎を突き出す姿勢をとることもあります。

 

急性喉頭蓋炎の原因菌は、インフルエンザ菌B型や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌やレンサ菌などです。

ヘビースモーカーや糖尿病患者さん、免疫抑制剤で治療中の人などは、発病のリスクが高いでしょう。

内視鏡による患部の観察と、X線やCT検査などで診断します。

 

呼吸困難があれば、気道の確保が優先されます。

呼吸のための管を気管に挿入する「気管内挿管」や、首の前を切開して管を気道に直接挿入する「気管切開」などが検討されます。

薬物療法は、抗菌薬やステロイド剤などの内服や点滴、ネブライザー(吸入治療)になります。

通常は7~10日間の入院治療で、人工呼吸も行われるでしょう。

 

症状が現れてから1日未満に、呼吸困難がみられるときは、窒息の可能性が高いとされています。

こごもった声やかすれた声になり、つばを飲み込めずよだれを垂らし、呼吸がしづらかったら迷わず病院へ急いでください。

 

のどが腫れて呼吸が苦しく、水も飲みこめないときはすぐ病院へ

 

のどが腫れる疾患をご紹介しました。

のどが腫れる症状が出る病気には、数日で治まるものから悪性腫瘍まで多岐にわたります。

のどは空気の通り道なので、腫れると呼吸困難に直結しやすく、緊急の処置が必要な疾患も多いです。

のどが腫れたときに、のどの痛みや違和感が強く、熱が出たり食物が飲み込めない、呼吸しにくいなどの症状が続く場合は、早めに耳鼻咽喉科か内科を受診しましょう。










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