目がショボショボして疲れる!疲れ目や眼精疲労の原因と改善方法







目がショボショボして疲れる、目が赤くなって痛い……。

デスクワークに携わる人の約8割は、目に何らかの症状があるといわれています。

パソコンやスマホ、タブレットやテレビなど、仕事や生活のなかで、ディスプレイを見続ける時間は確実に増えています。

 

ITの普及による『疲れ目』『眼精疲労』に悩む患者さんの増加は、現代の社会問題といえるでしょう。

たかが疲れ目と放置して、目に負担をかけ続けると、心身に障害が生じることもあります。

さらに目の不調の”かげ”に、失明の原因となる病気が隠れているかもしれません。

 

今回は『疲れ目』『眼精疲労』原因改善法などをお届けしますので、早めの対策を講じてみてはいかがでしょう。

 

『疲れ目』と『眼精疲労』の違いは?

目の疲れや痛みが、休憩や睡眠で治るのが「疲れ目」

『疲れ目』は、目の動きをコントロールする6つの筋肉が、疲労した状態です。

また、目のレンズ(水晶体)の厚みを変えて、焦点を合わせる筋肉(毛様体筋)も疲労します。

これらの筋肉は、一点を長時間見たり、近くを見続けると疲れやすいのです。

以前はテレビやパソコンが主な原因でしたが、近年はスマホやタブレットの長時間使用も問題になってきています。

 

疲れ目の症状が改善せずに続き、目以外の症状を伴う状態が「眼精疲労」

『眼精疲労』は仕事や生活習慣などの原因が無くならないかぎり、自然には治癒しません。

また、目や心身の病気が、眼精疲労の原因になっている場合もあるので、症状が1ヵ月以上続くときは、専門医の受診をおすすめします。

とくに老眼が進む40歳代後半から60歳代は、眼精疲労の患者さんが最も多い年齢層ですので注意が必要です。

 

疲れ目はセルフケアで対処できますが、眼精疲労は眼科医の診察を受けたほうがよいでしょう。

 

疲れ目や眼精疲労の症状は?

疲れ目が悪化した眼精疲労では、心身の症状もあらわれます。

 

目の症状

  • 目が疲れる
  • 目が痛い
  • 目が赤い
  • 視界がぼやけたり、かすむ
  • 目がショボショボする
  • まぶしく感じる
  • 涙がでる
  • まぶたが痙攣する

 

心身の症状

  • 首肩こり
  • 頭痛
  • 吐き気
  • めまい
  • 倦怠感
  • やる気がなくなる
  • 思考力が低下する
  • 手足が痺れる

 

眼精疲労による心身の不調の原因は未だ不明ですが、見えづらいために姿勢が悪くなる、緊張する、ストレスを感じるなどが原因と考えられています。

また、目が画面から強い光を浴びると、虹彩(こうさい:目に入る光の量を調整)が反応して交感神経が優位になり、心身が緊張するともいわれています。

目と心身を休めるためにも、夜は寝室をなるべく暗くして休むようにしましょう。

 

疲れ目や眼精疲労の原因は?

疲れ目や眼精疲労の原因は一つではなく、複数の原因が重なって発症すると考えられています。

 

目の酷使と環境やストレスによる眼精疲労

疲れ目や眼精疲労は高度情報化社会への変化にともない、VDT(画像情報端末)作業による、目への負担が急激に増加したことが大きな原因のひとつです。

また、過度の照明や紫外線、赤外線の刺激なども目を疲れさせます。

エアコンの風や冬の乾燥した空気も、目に負担をかけます。

 

近年は、住宅の建材などから発する化学物質により、体調不良がおきる「シックハウス症候群」も、眼精疲労の原因とされています。

車やバイクの運転は、周囲に目線を配ったり、前方を集中して見なければならないので、長時間に及ぶと目に大きな負担がかかります。

昼間はサングラスの使用がおすすめです。

長距離運転時は定期的に休憩をとって、目を休ませてあげましょう。

 

眼精疲労は、不安、イライラ、不眠、血圧上昇、血流障害、胃潰瘍などの、強いストレスによる心身の異常のひとつです。

ストレスに加え、過労や睡眠不足があると、眼精疲労の症状はより悪化するでしょう。

 

目や身体の病気と、加齢による眼精疲労

・近視、遠視、乱視、老眼

近視、遠視、乱視、老眼などの疾患では、無理に焦点を合わせようするため、毛様体などの筋肉疲労と不良姿勢が症状をおこします。

度が合っていない眼鏡やコンタクトレンズも、眼精疲労の原因となります。

特に左右の視力に差のある人は、要注意です。

 

近年は、若年者のあいだでも老眼と同様の症状があらわれる「スマホ労眼」が急増しています。

手元が見づらくなったり、夕方になると見にくいなどの症状は、目のピント調節機能の低下が原因ですので、情報端末の長時間使用時は気をつけましょう。

 

・ドライアイ

ドライアイは目の使い過ぎやコンタクトレンズの使用で患う人が多い、角膜や結膜などが乾燥する疾患です。

目の疲れや痛み、乾燥感や異物感、まぶしさなどの症状がみられます。

パソコンやスマホ使用時のまばたきの減少が、ドライアイの引き金になります。

ストレスにより自律神経がバランスをくずして、涙の分泌が減る場合もあるでしょう。

 

目が乾くと目の表面が滑らかでなくなるので、焦点が合いづらくなるため、無理にピントを合わせようとして目が疲れるのです。

また、目に酸素や栄養を届ける涙が減少するので、より症状を悪化させます。

冬場やクーラーなどで冷えると、目の周辺の血流が悪化し、油分の少ない涙になって、目が乾きやすくなるので注意しましょう。

 

通常1分間に約14回のまばたきが、スマホなどに集中すると5回程度に減ってしまうと言われています。

意識して、まばたきの回数を増やすようにしましょう。

コンタクトレンズで長時間パソコン作業などを行うと、ドライアイが進行するので、できれば適切な度のメガネがおすすめです。

 

おもな治療は、点眼薬と涙点閉鎖(涙の排出口を涙点プラグでふさぐ治療)になります。

ドライアイ用眼鏡(保湿眼鏡)がすすめられることもあるでしょう。

 

・緑内障(りょくないしょう)

緑内障(りょくないしょう)は失明原因の第1位であり、40歳以上の5%が患っていると報告されています。

眼圧の高い(眼球の硬い)人がなりやすい、視神経に障害が生じる疾患です。

 

視野の障害や視力の低下、目の痛みや頭痛などをともない、進行すると失明する危険があります。

眼圧を下げるために、薬物療法(目薬)やレーザー治療、手術などが施されます。

 

・白内障(はくないしょう)

白内障(はくないしょう)は水晶体が濁ることで、視力低下やまぶしさが生じ、眼精疲労をおこします。

また、白内障手術後の視力の変化が、目を疲れさせる場合もあります。

 

白内障の原因の多くは加齢ですが、先天性やケガ、アトピーや目の病気などによってもおこります。

治療は、局所麻酔下で眼内レンズを挿入する手術が一般的です。

手術に際しては、レンズの種類や術後の経過、合併症などについて、担当の眼科医とよく相談しましょう。

 

まぶしさを強く感じる人には、医療用フィルターレンズのメガネがおすすめです。

白内障手術後の違和感にも、有用ですよ。

 

・斜視、斜位(しゃし、しゃい)

物を見る場合に、左右の視線が違う方を向く状態が斜視(しゃし)です。

両目でぼんやり見たり、片目を覆ったときにだけ斜視になる状態を、斜位(しゃい)とよびます。

 

斜視や斜位では、物を立体的に見ることが難しいため、目が疲れてしまいます。

とくに目が外を向く「外斜位」の人は、スマホなどの近くの物を見る(寄り目になる)時に、目の筋肉により大きな負担がかかるので注意しましょう。

頭の血管が詰まったり、腫瘍が斜視の原因になる場合もあるので、物が二重に見えるときは、必ず専門医を受診してください。

 

・眼瞼下垂(がんけんかすい)

上まぶたが垂れ下がった状態を、眼瞼下垂(がんけんかすい)といいます。

目が開けづらく、上方の視野が狭くなるので、無理に目を開けようとして、眼精疲労をおこします。

 

まぶたを引き上げる筋肉や腱膜、神経の異常でおこります。

腱膜性の眼瞼下垂が多く、加齢により発症しやすいでしょう。

近年は、コンタクトレンズやアイプチなどが原因の、若年者の眼瞼下垂も増加しています。

 

治療は、まぶたを引っ張る筋肉(眼瞼挙筋)を短縮させる手術などが行われます。

軽症であれば、眼瞼下垂矯正眼鏡(クラッチグラス)が有効な場合もあるので、眼科医に相談しましょう。

 

・VDT(画像情報端末)症候群

パソコンやスマホ、タブレットやテレビなどのディスプレイ画面を長時間見続けることで、全身にさまざまな症状があらわれた状態を「VDT症候群」と呼びます。

画面を凝視するので、まばたきの回数が激減し、ドライアイによる眼精疲労がおこります。

疲れや痛みは目に限らず、頭・首・肩・背中・上肢・下肢におよびます。

 

さらに、慢性疲労により作業効率が低下し、メンタル面でもダメージを受けます。

とくに、パソコン作業が仕事の人は、極度の眼精疲労からうつ病になるリスクが高いとされています。

 

また、冷えやむくみなどに悩まされることもあるでしょう。

1時間以上作業を続けないように心がけ、10分程度はパソコンなどから離れて、目薬をさしたりストレッチなどをしましょう。

 

・身体の病気

更年期障害自律神経失調症血圧の異常貧血かぜ虫歯などが原因で、眼精疲労がおこることがあります。

また、耳や鼻の疾患、循環器や消化器、腎臓の障害でも目に症状がでる場合があります。

目以外の身体にも異常を感じたら、眼科治療とともに、各疾患の専門医を受診しましょう。

 

・加齢

40歳以降は、水晶体の弾力性が低下し、毛様体筋の働きも衰えてくるため、ピント調節がスムーズに行われません。

目が疲れやすくなり、眼精疲労をおこしますので、適切な老眼鏡などで矯正しましょう。

 

疲れ目、眼精疲労の対策は眼科受診と環境の改善

まずは、眼精疲労の原因となる病気がないか、眼科医の検査と診断を受けることが大切です。

眼科では、視力検査屈折検査眼圧検査眼底検査調節検査視野や眼球運動の検査毛様体筋の疲労度の検査など、さらに必要に応じて各種精密検査が行われます。

診断結果により、点眼薬や内服薬の処方と生活指導が行われ、眼精疲労以外の病気があれば専門医が紹介されるでしょう。

※日本眼科学会 専門医一覧 http://www.nichigan.or.jp/senmonlist/map.jsp

 

パソコン作業時の環境を改善しましょう

パソコン作業時は、正しい姿勢が保てるように、モニターやキーボード、マウスや資料の位置を調整してください。

長時間の作業で疲れてくると、前傾姿勢やモニターを覗きこむように見上げる姿勢になりがちなので、注意しましょう。

『目とモニターの距離は40~70cm』視線はやや下向き』がよいでしょう。

 

室内の照明や窓からの日差し、湿度やエアコンの風などにも注意を払いましょう。

照明のちらつきやモニターへの映り込みは、目を疲れさせます。

映り込みが多い環境では、マット加工された非光沢(ノングレア)のディスプレイ画面がおすすめです。

また、画面の明るさと、室内の明るさは同じくらいがよいとされていますので、ディスプレイの輝度の調整もお忘れなく。

光る画面を見続けることは、目にはとても辛いことですので、暗い部屋での作業も避けて下さい。

 

LED光源の液晶ディスプレイで多く発生する「ブルーライト」は、強いエネルギーを持っているので、目に負担をかけて眼精疲労の原因となります。

ブルーライト対策メガネ低減フィルムブルーライト抑制機能つきの液晶ディスプレイなどを利用するとよいでしょう。

睡眠障害の原因になるので、就寝1時間前にはパソコンやスマホの使用をやめて、ブルーライトを浴びないようにしてください。

 

仕事に集中しているときは、まばたきの回数が減らないように意識し、できれば1時間に1回は目を休ませてあげましょう。

休憩中は、スマホなどは見ないように気を付けましょう。

 

眼精疲労の対策にはメガネの調整と生活習慣の改善も大切

メガネやコンタクトレンズの度が合っているかどうか確認し、調整しましょう。

1日の使用時間や、使用時の状況により、レンズの度の強さを検討してください。

 

運動不足や不規則な生活、偏食や水分摂取不足などの悪い生活習慣も眼精疲労を悪化させます。

生活習慣を改善し、軽い運動や趣味など、自分に合った方法でストレスを解消してください。

また良質な睡眠は、目の筋肉と眼球を休息させますので、寝具や寝室の照明などにも配慮しましょう。

 

疲れ目、眼精疲労のセルフケアは温冷と体操やマッサージ

疲れ目の解消や眼精疲労の予防には、セルフケアがおすすめです。

温冷療法や体操、指圧などは手軽にできて、副作用もありません。

 

温冷療法は、手軽で気持ち良いケア

目の血行が悪くなると、目がショボショボします。

お湯で温めたタオルを絞って、目を覆いましょう。

両手をこすり合わせて温め、目に軽くあてる方法も有効ですよ。

入浴中に、手のひらで目を覆うだけでも、血行が促進されます。

 

目が炎症をおこすと、目が赤く充血してきます。

氷水で冷やしたタオルを絞って、目を覆いましょう。

 

簡単な体操も有効

顔を固定して、上下・左右・斜めをゆっくり見たり、目を強く閉じてから、パッと開く体操が有効です。

ピント調節の疲れには、近くの物を10~20秒見た後、遠くの物を5分間ぼんやり見るとよいでしょう。

時間がとれない人は、「1時間ごとに3m以上先を10秒間見る」方法もおすすめです。

疲れた毛様体筋のこりをほぐすのに、有効な体操です。

パソコン作業などの合間に、休憩をとって行ってください。

 

トリガーポイント療法とツボ指圧

目の治療をしても症状が改善しない場合は、筋肉のしこり(トリガーポイント)が原因かもしれません。

トリガーポイントが発生しやすい筋肉を押してみて、目にひびくしこりがあれば、そこが治療ポイントです。

痛きもち良いくらいの圧で、30秒間ほど押し続けてみてください。

押している途中で、目へのひびきが軽減してきたら、少し押す圧を強めるとより効果的でしょう。

また、「3~5秒間押してからパッと離す」を数回繰り返す方法も有効な場合があるので、お試しください。

 

  • 眼輪筋:上まぶたの中央で、骨のきわ
  • 側頭筋:目の外端から、指幅3~4本外方で、奥歯を噛むと緊張する、こめかみの筋肉
  • 胸鎖乳突筋:耳の後から、胸骨(胸の中央の骨)と鎖骨にのびる首の筋肉で、後頭骨の下と中央、鎖骨の上の3点
  • 板状筋群:上を向いたときに緊張する、首の後ろの筋肉の中央
  • 僧帽筋:肩をすくめると緊張する筋肉で、首の付け根と、肩先を結んだ線の中央
  • 後頭筋:後頭部にある筋肉の中央
  • 咬筋:奥歯を噛んだときに緊張する、下顎の筋肉

 

普段のケアには、疲れ目と眼精疲労のツボを3秒ほど数回押したり、ゆっくりと回しもむとよいでしょう。

 

  • 眼睛(がんせい):足の甲で、人差し指と中指の骨の間
  • 晴明(せいめい):目頭と鼻の付け根の間で、骨のキワ
  • 攅竹(さんちく):眉頭の内側で、骨のキワ
  • 太陽(たいよう):こめかみの下にある、くぼみ

 

目の周りを押すときは、指の腹を使い弱めの圧で、目を傷つけないように慎重に行ってください。

 

疲れ目、眼精疲労におすすめの食品と目薬

目によい栄養素は、ビタミンAB群CDEルテインDHAポリフェノールタウリン亜鉛などです。

目によい食品は、ブルーベリー黒酢レバーうなぎ青魚にんにくなどです。

緑黄色野菜などを豊富に摂り、バランスのよい食事を心がけましょう。

 

疲れ目や充血には、ビタミン配合や消炎作用のある目薬がおすすめです。

角膜の修復にはビタミンB2、神経の回復にはビタミンB12がよいとされています。

コンタクトレンズの人は、コンタクト専用の目薬を使用しましょう。

ドライアイの人は、防腐剤の入ってない目薬を選んでください。

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目の痛みが寝ても回復しないときは眼科へ行きましょう

 

人は外からの情報の約8割を、視覚に頼っているとされています。

ディスプレイに囲まれた現代環境のなかで、我々の目は否応なく酷使されているのです。

1日数時間は、パソコンやスマホから離れて過ごされることをおすすめします。

日夜頑張ってくれている目を、時には優しくいたわってあげましょう。

 

たかが疲れ目ぐらいと放置し、心身に障害が生じてしまう前に、適切な対策をとりましょう。

こわい病気が原因の、目の疲れや痛みもあるので要注意です。

目に異常を感じたら休憩をとり、それでも回復せず体調不良が生じたら、眼科医を受診してください。










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