脊椎圧迫骨折の症状と原因、最新の手術やリハビリなどを詳しく解説







いつの間にか背中が丸くなった、身長が低くなってきた、寝返りや起き上がるとき、背中や腰が痛い……。

それはもしかしたら、骨が弱くなって発生する、脊椎圧迫骨折かもしれませんよ。

 

閉経後の女性に好発しやすく、高齢者の2人に1人が患うと言われている疾患です。

気づかないうちに骨折していることもあり、放置すると他の骨折のリスクが高くなります。

しっかり治さないと、腰痛が長引いたり、神経の障害が生じることもあるので、注意が必要ですね。

 

強い外力や腫瘍によっても脊椎椎体骨折はおこりますが、今回は主に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で骨がもろくなり折れる「骨脆弱性の骨折」をとりあげます。

中高年以降に受傷しやすい骨折の一つ、脊椎圧迫骨折の症状と原因、最新の手術やリハビリなどをご紹介していきます。

 

圧迫骨折では、骨粗鬆症の治療も大事

 

人の体を支える背骨がもろくなってしまうと、体の重みに耐えきれず、わずかなきっかけで、円筒形の骨(椎体:ついたい)が潰れる圧迫骨折をおこします。

背骨は、上から頚椎(第1~7)、胸椎(第1~12)、腰椎(第1~5)と連なりますが、第11・12胸椎と第1・2腰椎が折れやすいです。

 

閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下により、骨がスカスカになってしまうことが、主な原因のひとつです。

高齢化社会の日本では、約1300万人の骨粗鬆症患者がいると推定され、60歳代女性の2人に1人とも言われる国民病です。

背骨以外にも、手首や太もものつけ根などが弱い力で骨折し、寝たきりの原因となるので要注意ですね。

圧迫骨折においては、骨折の治療と同時に、骨粗鬆症の治療を積極的におこなっていきます。

 

圧迫骨折の症状は多様、痛みを感じない場合もあるので要注意

 

受傷後1ヶ月ほどは、骨折部(主に胸腰椎移行部:みぞおちの後側あたり)が、寝返りや起床、移動や歩行時に強く痛むことが多いです。

しかし、骨折部以外に骨盤の周辺が痛んだり、痛みがほとんど無い場合もあり、症状は多様です。

起き上がる時は鋭く痛み、立ちあがってしまえば、あまり痛くなく歩行も可能であったり、1ヶ月以上経ってから、お尻や太ももが痛むといった症例もあります。

 

骨折の部位(椎体の後部)によっては神経障害が生じ、足のシビレや麻痺、排尿障害がみられます。

高齢者や複数の椎体骨折のケースでは、痛みがとれても背中が丸くなったり、身長が低くなることが多いでしょう。

前屈みの姿勢は、内臓が入る胸腔や腹腔などを圧迫して、肺活量や心機能の低下、食欲不振や逆流性食道炎、便秘などをおこしやすくなります。

 

腫瘍などの転移による骨折は、安静時にも痛むのが特徴です。

また、強い外力による圧迫骨折では、脊髄を損傷し両下肢麻痺を生じることもあります。

 

骨がもろくなると、くしゃみだけでも折れることが!

 

圧迫骨折は、尻もちをついて、力が集中した椎体の前方が、くさび形に潰れることが多いです。

また、お米や布団などの重い物を持ったり、中腰での草むしりや畑作業などでも発症します。

骨粗鬆症が進行してくると、お辞儀や勢いよく立ち上がったり、くしゃみをしただけで折れてしまうことも。

受傷原因が日常の生活動作にあると、痛くなったきっかけが思い当たらない患者さんも珍しくありません。

 

腫瘍の転移による圧迫骨折は、転移した骨がもろくなって、弱い力で骨折してしまいます。

交通事故や高所からの転落、水泳の飛び込みやスキー、ラグビーなどの強い外力による骨折では、骨全体がつぶれて不安定になり、脊髄の麻痺がおきる場合もあります。

 

圧迫骨折はX線検査で診断しますが、うつらないことも

X線検査で骨折の位置と程度を診ますが、受傷後すぐは骨折が判らないときがあります。

背中や腰の痛みが続くときは、無理をすると骨折が悪化することもあるので、安静を心掛けて、1~2週間後にもう一度X線検査を受けましょう。

 

粉砕骨折(骨が砕けたり、複雑に折れた状態)や脊髄損傷が疑われたら、CTやMRI検査が必要です。

骨折の詳細や、脊髄神経への圧迫の程度などが診断できます。

 

骨粗鬆症が疑われる患者さんは、骨密度を測定します。

腫瘍などの転移による骨折の疑いがあれば、MRI検査や骨シンチグラフィーなどの検査が行われるでしょう。

 

圧迫骨折治療の基本は、安静と装具固定です

 

骨粗鬆症が原因の軽い骨折では、サポーターのような既製品の簡易コルセットで固定して、前屈みになる動作を制限し、比較的安静を指示します。

骨粗鬆症の薬物治療をおこない、無理をせず、患部に負担をかけなければ、3~4週間でほぼ治癒するでしょう。

ただし、骨折の程度や年齢、糖尿病などの内科疾患や内服している薬(ステロイドなど)により、骨のつく期間が遅れることがあります。

 

痛みが強く不安定な圧迫骨折では、金属製の枠組みと強化プラスチックの硬性コルセットや体幹ギプスで固定し、痛みを軽減させ、骨折部の変形の進行を防ぎます。

※日本骨折治療学会(骨折に対する外固定法について) https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip31.html

 

受傷後3~4週で、骨が形成されてきて楽になりますが、椎体の前の部分が治るまでは変形が進行しやすいので、治療は続けてください。

痛みを感じる動作、特に寝起きは負担になるので、回数を減らすよう努め、立ち上がりやすいベッドの使用が薦められます。

 

コルセットで一定期間固定しても、骨がつかず不安定な状態だったり、脊髄神経の障害がある場合は、「椎体形成術」や骨移植に椎弓用スクリューを併用した「脊椎固定術」などの手術が検討されます。



骨セメントを注入する経皮的椎体形成術(BKP)とは

 

最新の手術法のひとつBKPとは、風船を骨折した骨の中で膨らせた後、セメントを注入して、背骨を矯正する手術です。

椎体の中に針を刺して風船(Balloon)を膨らせて、つぶれた骨を持ち上げ、できるだけ骨折前の形に戻してから、骨セメントを充填して固まらせることで、痛みを改善させます。

とても粘度の高いセメントを使用するため、血管への漏出などの合併症が極めて少なくなりました。

手術直後から痛みが改善するのが特長で、有効性と安全性が認められて、平成23年1月より健康保険適応となっています。

傷口は1cmほどが2ヶ所、手術時間は約1時間、入院期間は通常2泊3日です。

 

※手術の詳細はコチラを参考にしてください。

京都岡本記念病院 脊髄・脊椎センター https://www.okamoto-hp.or.jp/oka2/medical/function/sekizui_center.html

 

※BKPは、認定病院での手術実習を受講し、試験に合格した医師のみが手術できます。

日本整形外科学会認定 脊椎内視鏡下手術・技術認定医名簿 http://www.joa.or.jp/search_doctor.html

 

痛みの出ない範囲内で、早期のリハビリを

 

圧迫骨折の治療には安静が必要なので、どうしても筋肉が弱くなったり、関節の動きが悪くなります。

リハビリでは、痛みを軽減させる低周波治療や温熱療法、マッサージなどと同時に、運動療法が重要になります。

痛みの出ない、患部に負担のかからない範囲で、ストレッチや筋肉トレーニングを施し、起き上がって歩けるようにしていきます。

 

急性期(受傷後1~2週間)は、安静が基本ですが、痛みと相談しながら早期の離床をめざすことが大切です。

腕や肩から背中のマッサージとストレッチで、上半身の柔軟性を引き出します。

膝や股関節周辺の筋肉が硬くなってしまうので、マッサージやストレッチを施します。

患部に負担がかからないように気を付けて、ゆっくりと筋トレも行いましょう。




回復期(受傷後2~4週間)は、痛みが軽減してきますが、未だ骨は完全にはついていないので、慎重なリハビリがもとめられます。

上半身と下半身の積極的な筋肉トレーニングを行い、前屈みにならないように気を付けながらの歩行練習をしていきます。

起床時は、横向きから腹這いになり、片足ずつベッドから降ろし、両手をついて上半身を起こしてから立ち上がりましょう。

痛みが強いうちは、前屈みや体を捻る動作は、なるべく避けてください。

寝返りは、上半身と下半身を一緒に、丸太のように回しましょう。

 

痛みが無くなると、つい骨折のことを忘れがちですが、骨が固まるまで通常2ヶ月は要します。

それまでは、骨がつぶれて腰が曲がったり、他の椎体が骨折する可能性があるので、十分気を付けましょう。

骨折が治癒すると、動かしての痛みは完全に無くなりますが、背筋が弱くなっているので、長時間の座位や前屈みの作業などで、腰に重だるい鈍痛が生じやすくなります。

無理のない範囲で、背筋と腹筋の筋トレに取り組み、少しずつ体を日常生活動作に慣らしていきましょう。



骨粗鬆症の治療が、圧迫骨折の予防!

 

脊椎圧迫骨折の予防は、食事・運動・薬物療法により、骨粗鬆症を患わないようにすることです。

カルシウム(乳製品・小魚・緑黄色野菜など)、ビタミンD(魚類・きのこ類など)、ビタミンK(納豆・緑野菜・果物など)、タンパク質(肉・魚・卵・豆など)を積極的に摂りましょう。

 

日光に当たり、適度な運動をすることも、骨粗鬆症の予防には大切なことですので、心掛けてください。

運動により筋力が向上し、バランス感覚がよくなれば、転倒による圧迫骨折の予防にもなりますね。

骨粗鬆症の原因と症状、予防法は?食事に気を付けて予防しましょう

2017年11月1日

 

閉経後の背腰痛は、圧迫骨折の可能性があります。早めに整形外科へ

 

中高年以降、骨がもろくなっていると簡単に折れてしまう、脊椎圧迫骨折。

多少痛くても無理に動いたり、あまり痛みを感じず放置して、他の椎体も骨折してしまうことがあります。

圧迫骨折が全くない場合に比べ、2ヶ所骨折していると、次の圧迫骨折がおきる確率は7倍以上と言われているので、注意が必要ですね。

骨折の連鎖を防ぐには、最初の骨折をしっかりと治すこと、圧迫骨折も他の疾患と同様、早期発見と適切な治療が大切です。

閉経後の女性で、背中や腰の痛みが長びく人は、早めに整形外科で診てもらってくださいね。











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