神の左を持つ男、山中慎介のパンチが強いと言われている理由







2017年8月15日に行われた、WBCバンダム級世界タイトルマッチでは、惜しくも敗れてしまった山中選手ですが、彼の持つ神の左が衰えたわけではないでしょう。

数々の強敵を、左のストレートでマットに沈めてきました。

そんな山中選手の強さに迫っていきたいと思います。

 

山中慎介のファイトスタイル

山中選手のファイトスタイルは、サウスポーのアウトボクシングに近い、中距離型のボクシングだと言えます。

ジャブで相手との距離を作り出し、しっかりパンチを当てていくというタイプのボクサーです。

 

左ストレートをかなり警戒されているので、右のジャブや、フックなどが意外と当たります。

そこで相手がしびれを切らし、中に入ってこようとしたところを、左で迎撃する。というのが基本的な戦い方です。

多くのボクサーに見られるような、軽やかなフットワークはあまり用いず、獲物を狙う肉食動物のようにしっかり動いている印象が強いです。

足幅も比較的広めにとっているため、パンチが強く打ち込めているのだと思われます。

ガードの位置はあまり高くなく、パンチの軌道が読みにくいというのがありますが、逆にそれが原因でいいパンチをもらってしまうというシーンが何度かありました。

 

基本的には、相手のパンチをもらわずに、自分のパンチを当てるというのが山中選手の考え方である様なので、顔に傷などもなく、とてもきれいです。

例えば、ライトフライ級の元世界王者、八重樫選手は、激闘王ともいわれ、試合中何度も打ち合うシーンがありますが、顔はパンパンに膨れ、目はかなり腫れていることが分かります。

 

山中選手の左ストレートの打ち方

 

山中選手はサウスポーであるので、普通の選手の右ストレートと比較して考えます。

いちばん大きな違いは、肩甲骨の使い方です。

 

普通のストレートの打ち方としては、打点で拳がまっすぐになるときに、拳を一瞬止め、引きます。

手を伸ばした瞬間に顔に当たる距離感で打っているので、顔に拳が当たってる時間としては、コンマ数秒といったところでしょう。

 

山中選手のストレートは、打点は同じく拳がまっすぐになるところなのですが、そこから肩甲骨を開いて、より遠くに拳が届くようにしてパンチを打ちます。

これによって、相手の顔にパンチが当たっている時間が比較的長くなります。

感覚としては、打ち抜く感じです。

これによって、ダメージがかなり大きくなっていると考えられます。

 

これは、理科の物理で言うところの「力積」の問題です。

同じ力で殴ったときに、総合的なダメージとしては、同じなのですが、そのダメージを受けている時間が比較的長いほど、内部までダメージが浸透していくのです。

 

わかりやすい例としては、テニスボールの硬球より軟球のほうが事故率が高いことがあげられます。

硬球は、体に当たったときに、硬いので、すぐに跳ね返ります。

これは、普通の人のパンチで、当たっている時間が短い場合です。

反対に軟球に当たったときは、内出血がひどかったりします。

これは軟球が柔らかく、当たったときにへこんでしまうため、体にあたっている時間が、比較的長くなり、ダメージが深部までかかってしまう為です。

これを意識してやっているのか、無意識で編み出したのかわかりませんが、どちらにせよすごいことです。

 

左が強いと分かっているのならよければいいじゃん

 

素人丸出しのものいいですが、実際そうなんじゃないの?と思ってたくさん試合を見ました。

KOしたほとんどの試合で、左のストレートで決着をつけているのです。

当たる場所があごであったり、テンプルであったり、ストマックであったりと差はありますが、結局当たってしまっています。

 

山中選手と戦った相手や、トレーナーからの話を総合すると、パンチが来る!と気づくときには、もう山中選手の強力な左の射程距離で、よけることは難しく、顔に来ると思ってガードしても、ストマックにあたるということです。

前述したように、山中選手のストレートは、肩甲骨を開きながら打っているので、思っているよりも少し遠くまで届きます。

このパンチが初体験な選手にとってみれば、攻撃しにくい選手であることは間違いないです。

しかしそうなったら山中選手の思うつぼなのでしょう。

しっかりワンツーで、距離を詰めてこられて、射程距離に入ったら、ガードの上からでもお構いなく、左ストレートを打ち込んできます。

相手選手にしてみれば、自分の攻撃が当たらないので焦るのでしょう。

山中選手の左ストレートを当てさせないようにするのは、わかっていてもなかなか厳しいようです。

 

まとめ

 

いかがでしたか。

山中選手の魅力が少しでも伝わったでしょうか。

神の左を持っていてそればかりが注目されがちな山中選手ですが、もともとスタンダードな構えだったこともあり、リードの右ジャブの威力はかなりのものだそうです。

強いジャブで自分の間合いを作り、左ストレートで、心を折る。

ほかのコンビネーションでも翻弄する。

こんなカッコいい戦い方ができる。山中選手、まだまだ現役を続けてほしいですね!!










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