私たちは、気づかないうちに日頃からさまざまな民間薬にお世話になっています。
なかでも、どこのご家庭の食卓にあります梅干しは一番身近な民間薬と言えましょう。
私は以前から梅には関心を持っていたものの、その薬効にあらためて驚いたのは、メキシコ滞在時代のある出来事からでした。
ある夜、急な激しい下痢と腹痛に襲われた私は、祖母から渡された梅干しが“腹痛に効くらしい”ということを思い出しました。
そこでダメ元で梅干しを食べてみたのですが、それが効果覿面!梅干しを食べたらすっかり腹痛が良くなり、梅干しの鎮痛効果パワーに驚かされたのでした。
胃腸薬の買い置きを忘れていた私にとって、あの梅干しは、まさに救世主だったのです。
それから私は梅干しのいろいろな薬効を調べたり、自分で梅干しを漬けたりして梅干しの魅力にどんどんハマっていってしまったのです。
そんな私から今回は、梅干しの薬効の源、効果効能について解説いたします。
日本人との梅干しの関係
皆さんもご存じのとおり昔から《梅は三毒を断つ》と言われていますように、毒消しの妙薬として親しまれてきました。
この三毒とは、体内に入る食べ物の毒、水の毒、血液の毒と言います。
梅はこのような毒を消し、健康維持が可能というわけです。
ところで、あの塩漬けの梅にシソを加えたシソ梅干しは、日本独自のものと言われています。
梅に塩とシソを加えることから、梅の薬効や保存性を高めたことに、昔の日本人の知恵力には関心します。
日本では、いつ頃梅干しがつくり始められたかは、定かではありませんが、文献では、平安時代の頃から病気の治療に梅干しと昆布の使用があったようです。
さらに、戦国時代には兵士の腹痛に疲労の回復剤として用いられています。
江戸時代になると、常備薬として庶民に普及し始め、明治期には、赤痢などの伝染病予防に梅干しの強い殺菌効果を利用していたそうです。
それ以来、梅干しは毎日食べる習慣が身につき、どの家庭でも常備食とするようになりました。
梅干しの薬効の源とは?
梅の約90%は水分で、タンパク質と糖質が主成分です。
また、梅には酸味のもとになるクエン酸とミネラルが豊富に含まれています。
梅に含まれるミネラルには、カルシウム、リンカリウムが多く、マグネシウム、ケイ素、鉄、アルミニウム、ナトリウムなどが含まれています。
これらのミネラルは体内で作用し、体内に溜まったナトリウムを体外へ排出したり、鎮痛作用にも関わっています。
また、梅干しに含むカルシウムは、吸収率が良く、カルシウム不足の方にもおすすめ出来る食品と言えましょう。
梅干しは、想像するだけで唾液が分泌される酸味(酸っぱさ)が特徴ですが、あの酸味は主にクエン酸によるものです。
このクエン酸はとにかく梅干しの多くの薬効の柱となると考えていただいてよいほど優れた成分です。
クエン酸は、身体全体の代謝を司る大切な含有成分です。
このクエン酸は、身体には不必要な老廃物を分解排出したり、また、必要な物質の合成に関係するなど代謝に必要不可欠な成分になります。
この代謝が上手く進むことで、疲労回復や自然治癒力が高められていきます。
梅干しのよいところは、梅自体の薬効に梅干しつくりには欠かせない塩とシソの薬効パワーがプラスされていることです。
梅干しで使用されている塩は精製された塩でなく、天然塩を使われているモノを皆さんにはおすすめいたします。
天然塩に含まれているミネラルと梅に含まれているミネラルの効果は、2つの効果が相乗効果となり、細胞の新陳代謝がより活性化されることになります。
そして、シソには毒を中和する解毒作用や胃腸が冷えるのを防ぐ作用があり、この胃腸を温める作用は私がメキシコで下痢のときにも効果を発揮した薬効パワーです。
梅干しは、梅の薬効を最大限生かすには食べ方はもちろん、つくり方にも秘密があるようです。
つまり、梅干しを作る際に使用する塩とシソが梅の持つクエン酸やカリウムなどミネラルのパワーを引き出すことになるわけです。
梅干しの効果効能!梅干しは食べても貼っても効果大
梅干しを食べることで唾液や胃液分泌が増加して胃腸の機能が向上します。
すると、消化吸収率がアップし、食欲増進、腸機能の円滑化によって普段皆さんが悩む便秘や下痢にも効果を発揮します。
梅干しの解毒作用は、肝臓の機能を高めます。
血液の循環が向上し、体内の毒素を素早く処理することが出来るようになるわけで、お酒を飲む方にある二日酔いの解消にも効果的です。
また、クエン酸は血液中に蓄積された乳酸(疲労物質)を排出して、新しい乳酸が作られるのを抑えて、体内の血液をきれいに保つ機能を考えると、梅干しのクエン酸は、疲労回復効果が得られることになります。
クエン酸の乳酸除去作用は、皮膚の血液や体液の循環をもスムーズにすることを考えれば、皮膚の代謝も向上することになり、女性のお悩みのシミ、シワなどの肌トラブルなど肌の老化防止にもなります。
外用法は、頭痛、歯痛などの鎮痛効果や解熱作用、消炎作用などです。梅干しを患部に貼ったりすることで、炎症を抑えることもできます。
まとめ
いかがでしょうか、梅干しはさまざまな薬効を期待できることがおわかりいただけたかと思います。
梅干しの素晴らしいパワーを発揮するためには、そのつくり方にも注意が必要です。
市販の梅干しを購入の場合には、合成着色料や保存料を使用していないものを、できればご自身で自家製の梅干しをおすすめします。
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