日本の時代区分では縄文時代がいちばん最初の年代となっています。
縄文時代に関するキーワードのうち、最も重要なのは「縄文土器」です。
ところが、ただ「縄文土器」というワードを覚えても、次に学習する弥生時代では「弥生土器」が登場し、「縄文土器」と「弥生土器」の違いがよくわからないという方も少なからずいるのではないでしょうか?
本記事では、小6社会のテストで必ず出題されるであろう「縄文土器」について詳しく解説していきます。
縄文時代で最も重要な縄文土器
小学6年生になると社会で歴史を勉強します。
日本の歴史上では縄文時代が最初の時代区分となっています。
縄文時代で重要となるキーワードはいくつかあるのですが、その中でも特に「縄文土器」は最も重要なアイテム、キーワードです。
「縄文土器」というワードをただ覚えていても次に学習する弥生時代では「弥生土器」というアイテム・キーワードが登場し「何が違うのか?」と混乱してしまう方も少なからずいるのではないでしょうか。
本当の意味で理解し、覚える為にはその時代背景や用途などについて考えてみましょう。
縄文土器とはどんな時代に生まれ、どのような特徴があり、人々の暮らしにどう役立っていたのかを考えてみると、きっと我々の祖先である縄文人が予想以上に高度な技術や知識を持ち合わせていたことを知るきっかけとなることでしょう。
縄文土器の用途
縄文土器は食べ物を砕く、煮る、焼くといった調理、加工をするために作られはじめました。
また、食べ物の保存や盛り付けを行うための器としても使われていました。
それだけにはとどまらず、縄文時代にはすでに神々を祀ってお供えものを捧げる文化ができはじめており、供物を並べる器としての機能も果たしました。
青森の三内丸山遺跡では土器で作られた甕(かめ)のような形状のものには人間の子供の白骨死体が、楕円形のカプセルのような土器には大人の白骨死体が出土されており、土器が祭祀目的でも使われていたことがわかりました。
縄文土器が使われ始めた理由
縄文時代以前は地球上最期の氷河期と言われており今よりも気温は大変低く、毎日大地は雪で覆われ、北極や南極の氷はもっと大きかったそうです。
ところが縄文時代の早期に突入すると、地球の環境は急激に温暖化が進み、縄文海進と呼ばれる現象まで起きてしまいました。
縄文海進は縄文時代に日本で発生した海水面の上昇のこと。
約6,500年前-約6,000年前にピークを迎え、ピーク時の海面は現在より約5m高く、気候は現在より温暖・湿潤で平均気温が1-2℃高かった。~wikipediaより引用
その名の通り縄文時代に温暖化が進んだ環境でいままで大地や海を覆っていた雪や氷が溶けて海に流れこみ、海面が急速に上昇してしまったのです。
これらが原因でかつて日本列島に生息していたナウマンゾウや寒い環境に適していた大型の哺乳類が絶滅してしまい、人間たちは肉食中心だった食生活を変更しなければならなくなりました。
幸い温暖化が進むといままで芽を出すことができなかった植物たちが豊富に育つことができるようになりました。
そして人間たちも野草や木の実、山菜を食べることができることを知り、狩りや釣りなどで得た動物や魚だけでなく植物も食べるようになりました。
ところが植物は栗やドングリのように固いからで実が覆われているもの、ワラビなどのように灰汁を抜かなければ渋くて食べにくいもの、直火にあてると燃え尽きてしまう葉っぱなどがあり、どうしてもそれらを加工、調理するための道具が必要になりました。
また、氷河期では常に冷凍保存が基本だったのに温暖な気候では食べ物がすぐに腐敗してしまいます。
空気や湿気を遮断しつつ、塩漬けや天日干しをするために必要な器も必要なり、そこで登場したのが「縄文土器」でおなじみの土器だったのです。
「縄文」の意味
「縄文土器」の「縄文」は「縄の文様」のことを指します。
縄文時代に使用されていた土器には縄を巻き付けたり転がしたりして文様がつけられていたので「縄文土器」と名付けられました。
縄文とはいうものの、施されていた装飾は縄だけでなく笹の茎や動物の骨、貝殻なども使用されていました。
また、縄文土器の装飾の仕方は実に多様で本体に粘土を付加したり土器をへこます、棒などで削り取るなどして凹凸をつけていたものも現存しています。
縄文土器の種類
縄文土器にはいくつか種類があり各々目的にあった形状や装飾が施されました。
下記にその種類を記載します。
- 粗製深鉢形(そせいふかばちがた)
- 精製深鉢形(せいせいふかばちがた)
- 浅鉢形(あさばちがた)
- 有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)
- 注口土器(ちゅうこうどき)
- 火焔型土器(かえんがたどき)
深鉢形(ふかばちがた)の土器は主に食べ物を煮るときに使用されました。
これらの土器には煮沸痕(しゃふつあと)が残っているものがあり、煮る目的で使用されていた証拠があります。
深鉢形の土器は火で熱したときに底だけでなく側面からも熱が伝わるので効率的に加熱することができます。
有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)は酒を造る為に使用していた酒造具であると考えられていますが、諸説あり本当のところはわかっていません。
注口土器(ちゅうこうどき)はやかんのように注ぎ口がついている土器で液体を注ぐために使われました。
火焔型土器(かえんがたどき)は土器の縁の部分に四方または八方に炎が燃えさかっているような装飾が施されいる土器で、儀式などに用いられていました。
まとめ
本当のところはわかりませんが、縄文人が土器に縄文の装飾を施した理由には運搬のしやすさや識別の意味を含まれていたのではないでしょうか。
その根拠は縄目をつけることによって持ったときに滑り止めの役割を果たす、模様を変えることでどの器に何が入っているのか土器の見た目で把握できるからです。
以上、いろいろと説明してきましたが、器が残っているというだけで、何千年も前の日本人が生活していた様子をここまで想像することができるのです。
歴史を想像し、勉強する、研究するって面白いですね。
最後になりますが縄文土器については以下のポイントを押さえておきましょう。
- 縄で模様をつけたから「縄文土器」
- 食べ物の加工、調理、保存、祭祀目的で使用されていた
- 模様や形状によって使用目的が異なる
縄文土器と弥生土器の違いについてはこちらを参照して下さい
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